近年、中国では多くの有名ブランドが倒産や大規模な閉店に追い込まれています。その中でも、上場企業である中国女性ファッションブランド「ラシャベル」が破産清算を申請したニュースは、多くの人々に衝撃を与え、話題となりました。

 「衣食住」という言葉があるように、人々の生活において「衣」は非常に重要な要素の一つです。

 現在、中国は世界最大規模で、かつ最も充実した服飾産業の生産体系を持ち、世界全体の服飾生産量の半分以上を占めています。国内需要を満たすだけでなく、服飾輸出においても国際市場で重要な地位を占めています。

 国家統計局のデータによると、2019年、中国の衣料、靴、帽子および繊維製品の小売総額は1.3兆元に達しました。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックを経た2023年には、この数字は約1兆元まで減少し、約25%の減少率を記録しました。この数字は、消費能力の大幅な低下を物語っています。

 一方で、中国の服飾輸出は増加傾向を示しています。中国税関の統計によれば、2023年の服飾輸出総額は1591.4億ドル(約1.1兆元)で、2019年と比較して8.5%の増加となりました。

 国内需要が23%減少した一方で、輸出は約9%増加しており、中国の服飾業界が国際市場への依存度をさらに高めていることがわかります。

 資本市場においても、パンデミック前後で中国の服飾上場企業の時価総額には大きな変化が見られます。

 2020年4月時点で、中国のトップ100の服飾上場企業の時価総額は合計で7300億元、平均73億元でした。中でも、上位3社は安踏体育、申洲国際、李寧公司で、いずれも香港証券取引所に上場している企業です。2019年、安踏体育と申洲国際の時価総額はそれぞれ1400億香港ドル、1200億香港ドル、李寧公司は540億香港ドルでした。

 しかし、2024年になると、これらの大手企業の時価総額は大幅に減少しました。

 安踏体育の現在の時価総額は約2100億香港ドルで、2021年の最高値5100億香港ドルと比較して半減以上となり、申洲国際は約925億香港ドルと約2000億香港ドルの減少、李寧公司は約370億香港ドルとピーク時から2400億香港ドルの減少を記録しました。

 また、一部の企業は深刻な経営危機に直面しています。例えば、海瀾之家は2022年末時点で約8200店舗を展開していましたが、2023年には2200店舗を閉鎖しました。ラシャベルの破産清算は、中国の女性ファッションブランドが抱える困難を象徴しています。全盛期には全国で1万店舗近い直営店を展開していましたが、現在では経営が行き詰まっています。

 他の中国ブランドでも、淑女屋のように全ての店舗が閉鎖された例もあり、MetersBonweやSemirなどのブランドも業績が大幅に悪化しています。

 森馬服飾の2023年の収入は130億元で、純利益は前年同期比57%減の6億元となり、2019年の収入200億元に遠く及びません。一方、美特斯邦威の状況はさらに深刻で、全盛期の時価総額389億元が現在では43.72億元まで減少し、上場廃止の危機に瀕しています。

 海外ブランドもまた、中国市場から撤退する動きが見られます。かつて商業施設の黄金地帯を占めていたZARA、H&M、C&Aなどのブランドは、現在、多くが閉店や規模縮小に追い込まれています。Inditexグループの財務報告によると、ZARAの中国本土での店舗数は2018年の183店舗から2024年には96店舗に減少しました。

 2024年上半期、中国国内の42社の服飾業界上場企業の純利益は合計67億元にとどまり、その半数が赤字状態にあります。閉店数は合計で1万店舗を超え、業界トップクラスの企業ですらこの状況であれば、中小企業の経営環境はさらに厳しいものとなるでしょう。

 統計によれば、規模以上(年売上高2000万元以上)の服飾企業において、2024年上半期の赤字企業の割合は約30%に達しました。また、2020年から2023年までの間、服飾業界の年間赤字率は20%以上を維持しています。一部の研究では、実際の赤字企業の割合は少なくとも30%に上ると推定されています。

 報道によると、中国の服飾業界は約1.7億人の雇用を支えています。この業界での失業率が30%~50%に達した場合、その影響は社会経済に深刻な打撃を与えるでしょう。

 現在、中国経済危機の深刻さは、1929年から1933年の世界恐慌を超えている可能性があります。当時、アメリカでは国民所得が20%~50%減少し、失業率は25%に達しました。資産価格は大幅に下落し、人々は将来に希望を持てなくなりました。

 現在、中国では不動産価格が30%~50%以上下落し、多くの住宅ローンが返済不能に陥っています。消費は大幅に減少し、若者の失業率は40%に達する可能性があり、企業倒産が相次ぎ、金融システムは多くの危機に直面しています。これらの状況は、中国経済危機の深刻さが世界恐慌を超えていることを示唆しています。

 また、中国のショッピングモールや服飾店の萎縮を映した動画がインターネット上で広く拡散されています。これらの動画では、内装が豪華で陳列が整っているにもかかわらず、来店客がほとんどいない店舗や、経営不振で閉鎖に追い込まれた店舗の様子が映し出されています。これらの映像は、現在の経済不況と消費低迷の現実を如実に物語っています。

 さらに、中国は国際社会においても緊張関係を深めています。香港経済への圧力や台湾への頻繁な挑発、さらには高度な技術や人材の窃取行為などが、国際社会の不満を招いています。

 次期アメリカ第47代大統領に就任予定のドナルド・トランプ氏は、中国に対して60%の関税を課すことを提案しており、これが実行に移されれば、中国の服飾輸出は大きな打撃を受けることが予想されます。

 現在、中国経済の主要な柱は輸出に依存しています。しかし、輸出が減少すれば、経済状況はさらに悪化し、最悪の場合、崩壊に至る可能性があります。

(翻訳・吉原木子)