最近、中国各地で抗議活動が頻発し、社会的な対立がますます深刻化しています。11月25日、河南省鄭州市惠済区弓寨村で数百人の村民が地元政府前に集まり、不合理な安置政策に対して集団的に抗議しました。この過程で警察との激しい衝突が発生し、事件は大きな注目を集めています。

 ネット上で出回っている動画によると、当日、数百人の村民が鄭州市惠済区に集結し、地元政府の安置政策に抗議しました。村民によれば、この安置政策は弓寨村の立ち退き後、適切な住居を得られていない住民を対象にしています。政府が出した補償案は、1平方メートルあたり6200元の「住宅券」を発行し、それを使って指定された不動産開発業者の住宅を購入するよう求める内容でした。しかし、その開発業者が販売する住宅の価格は、最近大幅に値上がりし、もともと1平方メートルあたり8200元だった価格が16200元に引き上げられました。その結果、村民は3~4平方メートル分の「住宅券」を使用しなければ、1平方メートルの住宅を購入できない状況となっています。

 このような安置政策は村民から「極めて不合理」と批判され、大きな不満を引き起こしました。村民の話によると、これまで何度も村委員会や区委員会に問題を訴えたものの、何の回答も得られなかったため、最終的に数百の村民が自発的に抗議活動を組織しました。抗議現場では、村民たちがプラカードを掲げ、怒りを示しました。一部の村民は区政府前で座り込みを行い、一時的に道路交通が遮断されました。その間、警察が抗議中の村民を強制的に連行しようとしたことで、双方の間に激しい衝突が発生しました。

 動画には、寒さ厳しい中、多数の村民が道路に集まり、スローガンを叫ぶ様子が映されています。現場は人々の声で騒然とし、多くの警察官が警戒に当たっていました。また、村民と警察が衝突を起こしたシーンも含まれており、現場は一時的に混乱状態となりました。

 11月26日朝の時点でも、村民の訴えに対する政府の回答はありませんでした。怒りに満ちた村民は、政府と開発業者の「癒着と搾取」を非難し、「中共はまさに盗賊だ」との声がSNS上で溢れています。ネットユーザーの間でも、「1平方メートル6200元で土地を取り上げ、1平方メートル16000元の住宅を買わせるなんて、これは庶民を追い詰めている」「住宅券が指定された場所でしか使えないなんて卑劣すぎる」など、政府の対応に対する非難が相次いでいます。

 同様の抗議活動は全国各地でも発生しています。11月21日、上海市七宝鎮では大規模な労働者による抗議活動が行われました。国利汽車レザーインテリア会社(以下「国利」)の労働者たちは、長期間賃金が未払いであることや、退職届を強制的に提出させられることに抗議し、街頭で道路を封鎖しました。

 ネット上で出回っている動画によると、この事件は上海滬淞公路で発生しました。現場には労働者たちが集まり、交通が遮断され、警察との衝突が発生しました。警察は労働者を強制排除しようとしましたが、労働者たちは一致団結してこれに抵抗しました。一部の労働者が「警察が暴力を振るっている!」と叫ぶ様子が映されており、現場はさらに混乱を極めました。

 財新によると、国利は2024年3月以降、上海市の最低賃金基準である月額2690元しか支払っておらず、10月の賃金は全く支払われていません。この影響を受けた労働者は2000人以上に上ります。一方で、同社の管理職には高額な給与が支払われているとされ、現場の労働者たちは完全に無視されている状況です。

 アメリカの非営利組織「フリーダムハウス」傘下の「チャイナ・ディセント・モニター」が発表した最新の統計によると、2024年第3四半期に中国で発生した抗議活動は937件に上り、前年同期比で27%増加しました。そのうち41%は労働者によるもので、28%は不動産所有者によるものでした。他にも学生や農村部の住民、消費者なども抗議活動を行っています。報告によれば、これらの抗議活動のうち3分の1は監視、逮捕、暴力的な弾圧などの手段で抑え込まれています。

 「フリーダムハウス」台北事務所の責任者ケビン・スレーター氏は、これらの抗議活動の多くが経済問題に直接関連しており、4分の3は賃金未払い、建設中断物件、土地収用に関するものであると指摘しました。同氏は、経済の悪化が抗議活動の増加を招いていると分析しています。

 また、スレーター氏は、抗議者の不満が徐々に政府に向けられている点も注目に値すると述べています。「最初は企業の行為を非難する形で始まる抗議も多いですが、次第に政府の不作為への不満が高まっています」と指摘しました。

 中国人権弁護士の呉紹平氏も、「中国の司法制度は基本的に党と政府が支配する道具であり、公平と正義を提供するものではありません」と述べました。同氏によると、司法制度の腐敗や官商癒着が深刻であり、多くの民衆は司法手段で問題を解決することができず、抗議活動に追い込まれていると言います。

 中国経済の悪化が続く中、大量の外資企業が撤退し、工場閉鎖や失業が相次ぎ、庶民の生活はますます困難になっています。社会全体が「圧力鍋」のような状態にあり、いつ爆発してもおかしくありません。

(翻訳・吉原木子)