先日、南京市である女性が大手国有企業の前で、夫の未払い給与18万元の支払いを求めて跪きました。彼女は、家計がすでに逼迫し、米を買うお金も治療費もないと訴えましたが、その場で警察に脅されました。

 ネット上で出回っている動画によると、この事件は中国化学工程第十四建設有限公司(以下、中化十四建)の前で発生しました。一人の女性が地面に伏し、男性の足を抱え込んで給与の支払いを懇願していました。彼女は涙ながらに次のように訴えています。

 「お願いですから、給与を支払ってください。家ではもう食べるものもなく、子供2人が学校に通っており、老人の世話もしなければならないんです。私自身も体調が悪く、治療費もないんです。給与を支払ってください。私たち庶民は本当に大変なんです。」

 現場にはパトカーが停まっており、警察官は女性に手を放すよう命じ、「こんなことをしても問題は解決しません。このような行動は間違っています」と諭すように話しましたが、女性にとってはむしろ脅迫と感じられる場面でした。

 その後、男性は女性を振り払った上で冷たく「この件は解決できない」と言い放ち、会社の中へと戻っていきました。

 中国メディアの報道によると、この女性は房さん(38歳)で、江蘇省連雲港市灌雲県に住んでいます。彼女の夫は水道電気工として数年前から中化十四建で働いていましたが、現在までに約18万元の給与が未払いとなっています。夫婦は何度も会社側に給与の支払いを求めましたが、いまだ解決には至っていません。

 房さんは次のように語っています。「彼らはいつも『お金がない』と言いますが、私たちの家計は本当に厳しい状況です。子供は2人おり、上の娘は12歳、下の息子は10歳で、まだ学校に通っています。さらに、老人の世話もしなければなりません。どうかこの給与を早く支払ってほしいです。」

 11月19日午前9時頃、房さん夫婦と他の2人の労働者が再び中化十四建の前に赴き、給与の支払いを求めました。しかし、誰も対応しないため、やむを得ず警察に通報しました。警察は「しばらくすると誰かが対応に来るだろう」と告げました。

 その後、会社からある男性が出てきました。房さんは、この男性が以前、問題解決を担当していた責任者であると認識し、契約に基づき給与を支払うよう求めました。しかし、男性は「自分には決定権がない」と答えました。この時、房さんは感情が抑えきれず、男性の足を抱きしめて泣き崩れました。

 房さんは記者に「中化十四建」の公印が押された調停合意書を提示しました。その内容には次のように記されています。

 「協議の結果、2024年10月31日までに灌雲県四隊鎮隆興安置区プロジェクトの水道電気、型枠、塗装、瓦工事、鉄筋工事などの班の給与47.63万元を、農民工の給与代行形式で関係者の給与口座に振り込む。」

 しかし、この合意書の期限はすでに20日近く過ぎており、相手側は約束を果たしていません。

 この事件はネット上で大きな反響を呼びました。多くの人が未払い問題について批判し、次のようなコメントを寄せています。

 「国有企業や中央企業の未払いが多すぎる。」「国有企業に未払いをされたら、どうしようもない。訴えることも、陳情することもできない。」

 一方で、警察の態度に対する批判も多く集まりました。

 「給与を求めるのが間違いだというなら、未払いの方が正しいというのか?」
 「警察はなぜ未払い側を取り締まらないのか?」

 さらに、一部のネットユーザーは最近の社会的な報復事件についても言及し、次のように述べています。「どれだけの悪質事件が救済の道がなくて生じたのか?」「珠海や常徳の教訓をまだ学んでいないのか?」

 公開された資料によると、中化十四建は1966年に設立され、中国化学工程グループ有限公司の完全子会社であり、大規模な石油化学建設を専門とする唯一の企業です。本社は江蘇省南京市にあり、登録資本金は10億元に上ります。

(翻訳・吉原木子)