中国各地では最近、悪質な事件が相次ぎ、多くの人々に恐怖と不満を引き起こしています。あるネットユーザーによると、南方のある地域の労働市場で、手書きの《全国人民への呼びかけ》と題する複数のビラが出回っているとのことです。これらのビラは「全国の労働者、学生、人民が行動を起こそう」と呼びかけ、「共産党を倒せ」と公然と訴え、その矛先を中国政府に向けています。

 投稿者によれば、11月17日から18日にかけて、南方地域のある省の労働市場で、無錫襲撃事件に関連する3つの反中国共産党政府のビラを受け取ったといいます。それらのビラは「無錫事件の被害者を追悼するための行動を起こすべきだ」と呼びかけ、中国政府とその保護下にある悪徳資本家を非難していました。他の地域の労働市場や労働者が集まる場所でも、同様の内容のビラが確認されています。

 ビラで言及された無錫市の殺人事件は、11月16日夜、江蘇省宜興市にある無錫工芸職業技術学院内で発生した無差別殺傷事件を指します。同校の2024年卒業予定の21歳の男子学生、徐加金が、卒業証書の受け取りと実習の給与が支払われないことに不満を抱き、社会への報復を決意。校内の学生を刃物で襲撃し、8人が死亡、17人が負傷する惨事となりました。

 これらのビラの内容は、無錫事件に対する怒りを表明するだけでなく、さらに深刻な社会問題にも触れています。その中の一つ、「中国社会革命者」を名乗る署名入りの《全国人民への呼びかけ》には次のように書かれています。

 「全中国の人民よ!私たちの同胞よ!昨日の出来事は全国民に衝撃を与えた。江蘇省無錫市で、8人の若い女子学生が殺害された。犯人は、彼女たちと共に苦しんでいた同級生・徐加金である。」

 ビラには、徐加金が悪徳な仲介業者と学校の共謀によって「ブラック工場」に送り込まれたと記されています。そこで彼は1日10時間以上も働かされ、正当な賃金を得られなかったとされています。そして、「どんなに優秀な若者でも、資本家の搾取に耐え切れず、最終的には追い詰められてしまう。彼が社会への不満を残虐な方法で表現するしかなかったのだ。もし社会が彼に選択の自由を与えていたなら、なぜ彼は人を殺す必要があったのか?」と問いかけています。

 さらに、ビラでは「この社会、この政府、共産党と資本家が結託して、彼をこの道へと追いやったのだ!中国共産党、中国の資本家、中国社会全体がこの責任を負うべきだ」と強調しています。

 このビラは中国社会の問題を厳しく批判し、次のように指摘しています。「私たちは今、資本家と中共政府が結託して人民を圧迫する時代に生きている。政府が制定した労働法は形ばかりであり、合法的な理由をつけて搾取を正当化しているに過ぎない。資本家や仲介業者の搾取が野放しにされている結果、殺人事件が次々と発生している。」

 また、「中国の革命者」を名乗る署名入りのビラ(2024年11月18日付)では、「無錫事件の犠牲者8人を追悼する方法は、彼らを間接的に殺害したこの体制を打倒することだ」と主張しています。

 「中国人民は今日こそ立ち上がらなければならない!自分の声を発し、他人に代弁させないようにしよう!」と訴え、「人民万歳!プロレタリア万歳!労働者万歳!共産党を倒せ!政府に守られた資本家を倒せ!」と呼びかけています。

 さらにビラでは、全国の労働者、学生、人民に行動を呼びかけています。「これらが中国人民の本音だと広めよう。特に習近平に、我々中国の労働者は弱くなく、簡単に侮辱される存在ではないと見せつけよう。次の殺人者になりたくはない!我々は世界を変えるのだ!」と訴えています。

 こうした《全国人民への呼びかけ》が労働市場のような人々が多く集まる場所で出回っている現状について、多くのネットユーザーが意見を述べています。一部のユーザーは「ビラの内容は文化レベルが低い」と指摘していますが、それ以上に、その意図や背景を重視する声が多く寄せられています。

 「文字の美しさや表現のレベルは問題ではない。重要なのは底辺の人民が目覚め始めていることだ」との意見がある一方で、「ビラは労働者の権利や社会の不公正問題を浮き彫りにし、政府と資本家の癒着に対する深い反省を促している」と擁護する声もあります。
さらに、「労働者と学生が目覚め、自らの要求を表明していることは、新たな社会運動の芽生えかもしれない」という意見や、「革命が始まったのだ。中国の官僚やその追随者たちは、こうした声に恐れを抱き始めているだろう」とのコメントも見られます。

(翻訳・吉原木子)