クリームとジャムを添えたスコーン(Takeaway, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 ふんわりしながらもしっかりとした食感が人気のイギリス菓子「スコーン(scone)」。イギリスのアフタヌーンティー文化の発展とともに、欠けてはいけない定番のお菓子となり、現在に至っております。
 16世紀にスコットランドのお菓子として誕生したスコーンは、18世紀のヴィクトリア朝の時代、イギリスのアフタヌーンティー文化の流行とともに人気を高め、イギリスの上流社会の定番お菓子となりました。伝統的なイギリスのアフタヌーンティーでは、スコーンは欠かせない存在であり、通常は3段のアフタヌーンティースタンドの中段に乗らせ、下の段にはサンドイッチ、上の段にはケーキやフルーツタルトを置くのが一般的なようです。最初は下の段の塩味のあるものから始まり、次に真ん中の段のスコーン、最後に上の段のデザートを楽しむ、という順番で召し上がります。
 そして、スコーンの味わい方も地域によって異なります。最初、スコーンに加えられていたのはレーズンだけでしたが、アフタヌーンティーの文化が発展するにつれて、スコーンにクロテッドクリームと様々なジャムを塗る習慣が広まりました。一説には、イングランド南西部のデヴォン州の修道院の修道士が教会を修復する職人さんたちのために用意した紅茶、パン、クロテッドクリーム、イチゴジャムが、現在のイギリスのアフタヌーン・ティーの一種「クリームティー(Cream Tea)」へと発展したそうです。
 また、スコーンにジャムとクロテッドクリームを塗る順番も2つの流派に分かれており、それぞれに支持者がいます。しかし、客観的に考えると、ジャムを先に塗ってからクリームを塗った方が、クリームが溶けるのを避けられるし、スコーン本来の素晴らしい風味をより保てるような気がしますね。
 伝統的なイギリスのスコーンを作る工程は、小麦粉とバターと牛乳だけを使うという非常にシンプルなものですが、このシンプルさこそがアフタヌーンティー文化の重要な要素として、現在まで守られてきました。時代の変遷とともに、抹茶、チョコレート、かぼちゃなど、さまざまな新しい味のスコーンも開発されました。
 ここでは新しいフレーバー、塩味のパンプキンスコーンの作り方をご紹介します。

〈材料〉

1)粉類の材料:
小麦粉 240g
アーモンドパウダー 60g
ベーキングパウダー 3g

2)他の材料:
砂糖 35g
塩 2g
冷たいバター 30g
かぼちゃピューレ 90g
牛乳 60cc
卵 1個
パセリ 少々(苦手な方は入れなくても大丈夫です)

〈作り方〉

1)大きめのボウルに粉類をふるい入れ、砂糖、塩を加えてよく混ぜます。
2)冷たいバターを砕いて1)に加え、バターが細かくなって全体がパウダー状になるまでよく混ぜます。混ぜている間にバターが溶けないように注意しましょう。
3)溶いた卵(少し残しておく)、牛乳、かぼちゃピューレとパセリを加えて混ぜ、生地を作ります。生地を手で3cmくらいの厚さになるまで軽く押し、金型で丸く形を作り、耐熱皿に並べます。
4)生地の上に溶いた卵を塗り、180℃に温めたオーブンで約18分、スコーンがきつね色になるまで焼きます。

 以上、パンプキンスコーンの作り方をご紹介しました。秋めいたこの季節に、旬のカボチャを使って手の込んだアフターヌーンティーを作り、紅葉を見ながら優雅な午後を楽しむのはいかがでしょうか?

(翻訳・玉竹)