(イメージ:このはな / PIXTA)
英国最大の小売業者であるテスコ(Tesco)は2月25日、中国本土での合弁会社の保有株式の売却を完了し、中国から完全撤退したと発表した。
テスコは2014年に中国国有企業のチャイナ・リソーシズ・エンタープライズ(華潤創業)との合弁会社であるGain Landを設立し中国での事業を開始したが、最近その合弁会社の保有株式20%全てを約2億7500万ポンド(約390億円)で華潤創業の子会社に売却した。
去年の12月下旬に、テスコは中国のある仕入先との取引を停止したと発表した。その原因は、ロンドンのテスコで6歳の少女が購入したクリスマスカードの中に、助けを求めるメッセージを発見したからだ。このメッセージは上海青浦刑務所の外国人受刑者からのものであり、中国共産党の人権なき強制労働から救って欲しいと、人権組織に支援を求めるものだった。
当時、テスコのスポークスマンは「この事件に大変なショックを受けている。テスコは刑務所労働者の使用を非常に嫌っており、そのような行為がサプライチェーンに現れることを許さない!」と強調し、「直ちにカード製造工場との取引を中断し、調査を開始した」と述べた。
調査の結果で、この工場が浙江雲広印刷有限会社に所属していると判明した。
テスコは現在、米国のウォルマート(Walmart)、フランスのカルフール(Carrefour)に次ぐ英国最大の小売業者で、世界3大スーパーマーケットグループとして知られている。
多くの有名な国際的小売業者が中国本土で不調
カルフールはテスコの半年前に中国本土の一部の株式を売却した。昨年6月、カルフールは中国本土の80%の株を中国家電量販最大手の蘇寧易購集団の完全子会社である蘇寧国際に売却した。当時のデーターによると、カルフールは完全に中国から撤退する意図もあったようだ。
ウォルマートは中国本土に400店舗以上を展開している。しかし、近年は公表こそしてはいないが本土での事業縮小のため、一部の実店舗を閉鎖しネットショッピングに転換している。
今回の新型コロナウイルスの発生では、ウォルマートも大きな打撃を受けたようだ。ウォルマートから中国本土の店舗の閉鎖等に関する明言はないが、「地方政府の指示に従う」とだけ発表された。
この2年間、国際的な小売業者が中国本土から撤退し続けている。データーによると、過去20年間に中国本土で上場した外資系小売大手19社のうち、既に12社は撤退している。例えば、韓国のロッテグループ(Lotte)とフランスのオーシャン(Auchan)は2018年に中国からの撤退を発表し、日本の高島屋とドイツのメトロ(Metro)は2019年に中国から撤退した。
(翻訳・謝 如初)