中国広東省珠海市でこのほど凶悪事件が発生し、社会に大きな衝撃を与えました。珠海市公安局の発表によると、11月11日午後7時48分頃、1台の小型SUVが珠海市体育センターに強行侵入し、場内の道路で運動中の市民を次々とはね、そのまま逃走しました。運転手の範某(62歳)は、すでに警察により拘束されています。
事故現場にいた40代の珠海市民である陳さんは当時の状況について語りました。陳さんは地元のハイキングチームのメンバーで、事件当夜は6つのチーム、合計300人以上が体育センターで運動しており、多くが近隣住民で、日中は働き、夜にはここで運動をしていました。午後8時頃、突然1台の白い車が猛スピードで群衆に突っ込んできたといいます。陳さんは緑地帯に飛び込み、彼のチームでは10人以上が負傷し、7、8人がその場で死亡するのを目撃しました。
事件発生後、BBCの記者は、中国政府の最初の対応は情報を封鎖することだったと報じました。現場に到着したBBC記者は、身元不明の男に掴まれて押され、近くにいた女性は「外国人だ、外国人だ」と叫びました。記者は、「こうした対応は報道を阻止するものではなく、むしろ中国のイメージをさらに損なうだけだ」とコメントしました。
当局が報道を許さない理由について、ある情報筋は「被害者の多くが退職した官僚であったため、上層部が注目している」と述べています。一般の市民が被害を受けた場合には、同様の関心を引くことはないでしょう。
今回の凶悪事件はすでに中国高層部に注目され、習近平や李強も指示を出しました。中国公式メディアによると、習近平は「同様の事件を防ぐためにリスク源流での防止を強化し、矛盾やトラブルを解決し、極端な事件の発生を防止する」と指示しました。また、李強は「防止策を徹底し、リスクや社会的矛盾の解決をしっかり行い、社会の安定を確保せよ」と述べました。これらの指示から、中央政府が社会の安定を重視し、リスク源流の管理強化を求めていることがうかがえます。
12日には、広東省および珠海市の地方政府も会議を開き、公共安全分野におけるリスクと隠れた危険を取り除き、市民の管理と社会治安の防止を強化する方針を表明しました。
時事評論家の盛雪氏は、大紀元のインタビューで「中国共産党(以下、中共)は極めて独裁的で、人々の思想、言論、行動を制御している」と述べました。経済が低迷するにつれて中共政権は不安定化し、社会の動揺が深まっています。その結果、多くの人々が将来への展望や希望、尊厳を失い、生命さえも保障されていないと感じています。さらに、生活や仕事の不満が暴力事件の発生につながっているとも指摘しました。
彼女は、これらの不満は中共の体制構造に起因している可能性が高く、中国人がこうした問題を解決する手段を持たないと、より多くの人が弱者に対する暴力や怒りを発散するようになると述べました。
フランスの時事評論家で独立映画監督の王龍蒙氏も、中国社会で暴力が横行する根源は中共にあると指摘しました。王龍蒙氏は「習近平がリスク源流での防止を指示しているが、その源流は彼自身ではないのか? 彼の政策によって民間企業が衰退し、外国企業が撤退し、中国経済は崩壊し、庶民の生活は困難を極めている。だからこそ、このような事件が相次いでいるのだ」と述べました。
(翻訳・吉原木子)