近年、中国各地で抗議活動が相次ぎ、その多くは経済的な困窮や官僚の腐敗が原因とされています。11月3日、陝西省咸陽市にあるマンションが予定通りに引き渡されなかったため、数百人のオーナーが街頭に出て横断幕を掲げてデモ行進を行い、「ならず者(流氓)」と叫びながら警察に抗議しました。現場の緊張は高まり、複数の抗議者が連行されました。このマンションは、開発業者の債務問題により長期間工事が中断されており、オーナーたちはこれまで何度も工事再開を求めましたが、状況が改善しないため、やむを得ずデモに踏み切ったといいます。
ネットに投稿された動画では、抗議者たちが「引き渡しがなければ、決して諦めない」と書かれた横断幕を掲げ、警察と対峙している様子が映されています。怒りのオーナーたちは「ならず者!ならず者!(流氓!流氓!)」と声を揃えて叫び、複数の抗議者が警察に強制的に連行される場面も見られました。この出来事に対してネット上では様々な意見が寄せられ、「30年も生きてきて、自分の立場がよく分かった。自分たちは政府に飼われる家畜で、選挙権もなく、自分の権利を守ることすら贅沢な話だ」といったコメントも見られました。さらに、他のユーザーは「これは犯罪組織であり、特権層に奉仕するために『人民のための奉仕』という建前を掲げているに過ぎない」と批判しています。
また、陝西省咸陽市では最近別の事件も発生しました。ある企業の従業員が勤務中に急死し、家族が政務ホール前で公正な対応を求めましたが、警察による弾圧を受けました。10月4日、咸陽市楊凌区の政務ホール前で、亡くなった王剛さんの家族が彼の急死について説明を求めましたが、警察により制圧され、一部の人が連行されました。王剛さんの家族によれば、彼は長年陝西陽鑫達運輸有限公司に勤務しており、10月29日に勤務中に急死しましたが、遺体は2日後に発見されたものの、会社側からは何の説明もありませんでした。王剛さんの家庭は経済的に苦しい状況にあり、80歳を超える高齢の両親と未婚の子供2人がいるため、家族は政府の助けを期待していましたが、代わりに警察の暴力的な弾圧に遭遇しました。
同時に、湖南省長沙市でも大規模な抗議活動が発生し、住民たちは「打倒貪官、村の幹部を解任せよ」と声を上げました。ネット上で広がっている動画には、数百人が深夜に歩道に集まり、反腐敗を訴えながら拳を突き上げる姿が映っています。この出来事はネットで急速に拡散し、大きな関心を集めました。あるネットユーザーは「抵抗こそが正義、覚醒こそが力だ!」とコメントし、住民たちがもはや我慢できず、地方政府の腐敗に対して立ち上がっているとの声も見られました。
2024年に入ってからも、中国では経済問題を中心とする様々な抗議活動が頻発しています。人権団体「フリーダムハウス」による報告によれば、今年第2四半期の抗議件数は前年同期比で18%増加し、805件に達しました。その多くは経済問題に関するもので、44%が労働問題、21%が住宅購入者の権利損失に関連するものでした。時事評論家の何良懋氏は、労働問題と住宅問題が抗議の65%を占め、民衆の切実な利益が脅かされていることを反映していると指摘しています。
住宅問題に関する抗議について、「異言網」の台北計画マネージャーであるケビン・スレイテン氏は、近年、中国の不動産市場は大手不動産企業の債務危機によって困難な状況にあり、未完成の建物が続出しているため、権利が損なわれた購入者たちが街頭に立たざるを得ない状況に追い込まれていると述べています。また、2023年上半期には労働者による抗議も大幅に増加しました。スレイテン氏は、経済不況が民衆の不満を増幅させ、中国政府にとっても重大な懸念材料になっていると分析しています。賃金未払いと住宅問題に苦しむ民衆が、政策や権威主義体制への不満を募らせ、さらなる社会不安が広がる可能性があると懸念されています。
各地で頻発する抗議活動について、一部の見解では、こうした抗議は、中国社会における腐敗問題に対する不満が、従来の陳情やひざまずく行動から集団抗議や役人の解任要求へと発展していることを示していると見られています。また、中国共産党が「基層幹部」に責任を押し付けようとする動きも見られますが、地方官僚が「スケープゴート」とされることで、体制全体に対する民衆の不満がさらに高まる可能性も指摘されています。
(翻訳・吉原木子)