2022年末頃から中国公安部が、日本や米国などに住む複数の中国人を監視対象とし、スパイ活動によって個人情報を収集していたことが、内部資料の漏えいによって明らかになりました。
海外メディア『大紀元』が報じたところによると、中国公安部から流出した内部資料には、監視対象となっていた大紀元記者9人の個人情報が詳細に記録されていました。中国共産党がスパイ活動を通じて個人情報を収集し、監視や妨害工作に用いているとのことです。
監視対象となった記者の中には、親族が中国警察から嫌がらせを受けた人もいます。また、中国当局の指示により、中国での電話番号が凍結され、オンラインショッピングのアカウントが使用不能になるケースもあります。
中国共産党幹部の子息で、現在は作家や起業家として活動する伊啓威(い・けいい)氏は大紀元とのインタビューで、中国共産党がハイテク企業と協力して、ビッグデータや生体認証技術などを用いて監視を強化していると指摘しました。そして、中国共産党は「脅威」のレベルに応じて異なる戦略を立案し、情報収集や監視、名誉毀損、脅迫といった手段を使い分けていると話しました。
伊啓威氏によると、監視対象には法輪功学習者のみならず、民主主義活動家や中国共産党に批判的な人々、外国メディアの駐在記者、外国の政治家なども含まれています。
2024年9月には、中国共産党が香港の『大紀元』や雑誌『新紀元』に対して破壊工作を行っていることも、中国共産党内部からの告発で明らかになりました。破壊工作には、中国共産党中央委員会宣伝部、国家安全部、統一戦線工作部などが関与していたとされています。
このような問題は人権組織のレポートでも明らかになっています。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は10月10日、日本に移住した中国人や、日本で中国に対する抗議活動などに参加した複数の中国出身者が、中国当局から脅迫や嫌がらせを受けたとする報告書を発表しました。脅迫は主に中国国内に残された親族を対象として行われており、海外に移住した中国人が抗議活動に参加するのを阻止することが目的とのことです。
(唐木 衛)