北京市は最近、深刻な汚染を伴うスモッグの日が続き、視界が非常に悪く、空港のフライトが遅延、あるいはキャンセルされる事態となっています。しかし、中国の公式メディアはその深刻さを意図的に無視し、単に「濃霧」が発生したと報じています。さらに、当局は11月3日に天安門広場で3万人が参加するマラソンを実施し、北京市民の強い批判を招きました。
10月30日午後に中国中央気象台が濃霧の黄色警報を発表して以来、11月3日まで数日間にわたって警報が続き、一部地域では視界が500メートル未満、局地的には200メートル未満の濃霧が発生しました。11月2日が最も深刻であり、その影響で北京の多くの高速道路が一時的に閉鎖されました。北京首都空港と大興空港の一部フライトも遅延またはキャンセルされました。
中国南部から北京の中央民族大学に通っている大学生は、「11月2日の夜、図書館を出たとき、視界は5メートルもありませんでした。こんな悪天候は南方では見たことがなく、本当に衝撃的でした」と述べました。
北京市民の馬さんは、「10月25日の夜に北京に戻り、11月1日でちょうど1週間になりますが、その間、晴れた日はたった1日で、その他の日は全て霧に覆われていました。北京に戻った翌日に体調を崩し、さらに空気の深刻な汚染で呼吸が苦しくなり、現在の北京の居住環境は本当に劣悪です。最近北京を訪れようとしている人は、本当に慎重に考えたほうがいいです」と述べました。
北京市朝陽区の華さんも3日に、「ここ数日、スモッグが非常に深刻で、視界は極めて悪く、空気の質が悪いため、人々は不快を感じている」と述べました。
3日の早朝5時過ぎに病院から子供を連れて帰宅した王さんも議論に加わり、「子供を連れて病院から帰ったばかりですが、本当に命に関わる問題です。空気が臭くて、夫と相談して、実家に帰ろうかと思っていますが、子供は北京で学校に通っているし、息子がいつも病気になり、北京では本当に暮らせません」と話しました。
また、北京で働く外地の人々は北京の空気汚染に強い不満を抱いています。「私は昨年北京で仕事を始めましたが、来たばかりのときから北京の空気汚染が非常に深刻だと感じていましたが、今年はさらにひどいです。現在、鼻や喉が全て炎症を起こし、呼吸する際に鼻が痛く、嚥下する時も喉が痛くて、よく眠れません。」
当局やメディアがなぜスモッグの深刻さを無視しているのかについて、あるネットユーザーは、「環境保護局は5年間の大気汚染特別管理プロジェクトをすでに完了しており、深刻だと報じると罰金を科されるため、彼らは報告せず、ニュースでも伝えられないのです」と述べました。
多くの北京市民はスモッグの発生に疑問を持っています。北京の鉄鋼工場や汚染企業はすでに移転しているにもかかわらず、これらの汚染物質がどこから来ているのか追及する声が上がっています。一部の市民は「なぜここ数日、北京の霧霾がこんなにも深刻なのか?ここ数年、こんなひどい霧霾は見たことがないのに、それが数日も続いている」と問いかけています。
また、北京の一部の保護者は、幼稚園が10月31日から11月2日にかけて中度から重度の汚染が発生するという通知を事前に発表していたことに気付きました。「空気の質が悪いため、幼児の屋外自主活動は停止され、朝の受け入れは室内で行い、屋外活動は室内で代替される」とのことです。保護者は「なぜ重度の汚染が発生するのか?幼稚園が通知を出したばかりで、突然とても奇妙に感じました。この2日間、何が起こっているのでしょうか?これほどのスモッグはどこから来たのでしょう?」と疑問を呈しています。
市民からの疑問に対し、当局は特に反応を示していませんでした。一方、11月3日、中央気象台は引き続き大霧の黄色警報を発表しましたが、天安門広場でのマラソン大会は中止されませんでした。中国メディアによると、3日午前7時30分、2024年北京マラソンおよび全国マラソン選手権が天安門広場でスタートし、全国各地から3万人の選手が参加しました。参加者たちは、霧霾の中で視界が20メートルほどしかなく、完走しても周囲の景色がはっきり見えないと話し、多くのランナーが北京の空気質に対して不満を述べていました。
これに対して、北京市民の間では「北京のこの空気の質でマラソンを開催するなんて、あまりにも馬鹿げている。参加者を何だと思っているのか?人体空気清浄機か?みんなが空気中の汚染物質を吸い込んで持ち帰ることで、北京の空気を浄化するつもりなのか?」という声も上がっていました。また、一部のネットユーザーは「健康を犠牲にするのはやめよう、命を軽々しく扱わないでほしい」と呼びかけていました。
(翻訳・吉原木子)