台風20号(チャーミー)の影響で、10月26日以降、海南省の複数地域が継続的な豪雨に見舞われ、広範囲にわたる洪水被害が発生しました。10月30日時点で、海南省のほとんどの地域で降水量が100ミリを超え、瓊中リー族ミャオ族自治県、屯昌県、瓊海市などの一部地域では250ミリを超える降水量が観測されました。万泉河の水位が急激に上昇したため、当局は上流の水位を下げるため、牛路嶺ダムと紅嶺ダムの放水を決定しました。

 30日午前5時、牛路嶺ダムと紅嶺ダムの放水が開始され、下流の万泉河沿岸にある7つの町の123の村が浸水しました。特に被害が大きかったのは瓊海市の石壁鎮と龍江鎮で、通信が途絶え、道路も寸断され、外部との連絡が一時的に途絶えました。放水によって瓊海市では42本の送電線が遮断され、25,700世帯が影響を受け、22か所の道路が通行不能となりました。市当局は緊急措置として7,154人を避難させました。

 SNSでは現地の様子を撮影した動画が次々と投稿され、瓊海地区が深刻な浸水被害に見舞われ、多くの道路や車が水没している状況が映し出されています。住民の中には水位がすでに2メートルを超え、さらに上昇する可能性があると訴える人もいます。あるネットユーザーは「今回の瓊海は本当にひどい、ダムの放水で逃げ場がない」と嘆きました。

 放水によって農業や養殖業、住民の財産に甚大な損害が生じ、多くの住民が「何百万元も失われた。すべてが水に浸かってしまった」と嘆いています。ある村では、住民が水位の上昇により屋根の上に避難を余儀なくされ、救援を待つ状況が続いています。また、断水、停電、食糧不足が一部地域で続いており、災害の様子を映した動画には、多くの村が浸水し、自動車が水中に沈む深刻な状況が映し出されています。

 一方で、10月30日朝、瓊中リー族ミャオ族自治県では特大暴雨の影響で土砂崩れが発生し、少なくとも3人が死亡し、4人が負傷しました。

 一部の住民や専門家は、台風の到来前にダムの水位を事前に下げるべきだったとし、当局の放水決定に対して疑問を呈しています。中国社会民主党主席の劉因全氏は、当局が事前の放水準備を怠ったことで、国民の生命財産に対する配慮が不足していると批判しています。さらに民主中国陣線副主席の盛雪氏も、政府が住民の生命財産を軽視しているため、災害時に住民が無力で無辜の被害者となっていると述べました。

(翻訳・吉原木子)