中国経済が最も発展している上海は今年、度重なる台風の襲撃に見舞われています。10月30日朝、台風21号が浙江省や福建省の沿岸部に上陸または接近する見込みで、これにより上海では今後数日間で豪雨が予想され、1981年以来の11月における最大降水量が記録される可能性があります。上海市気象当局は緊急に市民に対し、台風による極端な天候に備え、飲料水や食料を事前に備蓄するよう呼びかけました。

 中国の公式メディアによると、台風21号は10月30日朝、太平洋上で大型で非常に強い台風に発達し、中心付近の最大風速は17級に達しました。台風の中心は台湾台東市の南東約520キロの海上に位置し、31日昼から午後にかけて台湾に上陸し、その後浙江省や福建省沿岸に沿って北上、もしくは上陸または接近する見込みです。

 台風21号の影響を受け、上海は10月31日夜から11月1日にかけて豪雨に見舞われる見込みで、降水量は120~180ミリ、局地的には220~280ミリ、1時間の最大降水量は40~70ミリに達する可能性があります。今回の降雨は極端なものであり、1981年以来の11月における上海の最大降水量になる可能性があります。また、31日夜からは風速も次第に強まる見通しです。

 上海市気象当局は、台風の影響が本格化する前に、飲料水や食料を適度に備蓄し、台風期間中は外出を控えるよう市民に緊急に呼びかけました。豪雨により局地的な浸水が引き起こされる可能性があり、強風により高所からの落下物が発生する恐れもあるため、屋外の物品はしっかりと収納し、安全確保を図るよう公式に勧告しています。

 今年に入り、上海は既に複数の台風の襲撃を受けています。台風13号は9月6日に上海に上陸し、続いて台風14号が9月19日夜に再度上海に上陸しました。これにより上海は短時間で2つの台風に連続して襲われ、観測史上初の記録となりました。また、これは上海が75年ぶりに経験する12回目の台風でした。豪雨により深刻な内水氾濫が発生し、多くの市街地が浸水、地下鉄駅がほぼプール化し、数多くのマンションや道路が水没、車両が水に浸かり、1階に住む住民の家が浸水しました。一部の市民は「上海がすぐに大海原に変わった」と嘆き、台風の猛威の後には珍しい竜巻も発生し、巨大な黒い風柱が雲を突き抜け地面に達し、多くの人々を驚かせました。この動画はSNSで拡散され、話題を呼びました。

 福建省沿岸部も台風21号の影響を受け、公式発表によると、10月29日17時に「台風警報」および防台風緊急対応レベルがⅢ級に引き上げられました。10月31日から11月1日にかけて、福建省全域で大雨が予想され、局地的には豪雨から大豪雨が降る可能性があります。29日18時現在、福建省沿岸部では16本の旅客フェリー航路が運航停止、32隻の旅客フェリーが運休となりました。また、67件の水上工事が中断され、84隻の工事船が停泊となり、関係船舶と作業員が事前に撤退しました。福建省海洋予報センターは30日9時に波浪オレンジ色警報を発表し、沿岸部の住民や船舶に対し安全確保のため避難を促しています。

 さらに、広東省防災総指揮部は10月30日9時に防風Ⅳ級緊急対応を開始し、全面的に台風防御態勢に入りました。応急管理部門と救援チームは応急準備を強化し、住民の安全を確保するため多方面から防洪対策と救援活動を進めています。

 台風21号による脅威に加え、海南省も台風20号の外側環流の影響により暴雨に見舞われました。瓊海市(けいかいし)では連続する降雨が洪水災害を引き起こし、複数のダムがやむを得ず放水を行い、下流地域に深刻な被害が発生しました。10月30日、万泉河(ワンチュェンホー)上流の牛路嶺(ぎゅうろれい)ダムと紅嶺(こうれい)ダムが放水を開始し、水流が迅速に万泉河の嘉積(かせき)ダムに達し、下流の7つの県市で広範囲の農地と家屋が浸水し、一部の村や町で通信が不能となり、外界と連絡が取れなくなりました。10月30日未明から牛路嶺ダムの放水量が毎秒3500立方メートルから4500立方メートルに増加し、これにより瓊海市の13の郷鎮が被害を受け、123の村が水に囲まれる事態となりました。石壁鎮(せきへきちん)や龙江鎮(りゅうこうちん)の一部の街道は完全に水没し、住民は外部と連絡が取れなくなっています。

 瓊海市の万泉河路では水深が約半メートルに達し、市内の42本の送電線が中断し、数万のユーザーが停電の影響を受けています。万泉河南北を結ぶ嘉積橋(かせきばし)も封鎖され、車両が長蛇の列を作っています。ダムの放水と洪水の脅威は続いており、現地の住民は不安の中、自宅や緊急避難場所での生活を余儀なくされており、交通、通信、供電システムも深刻な影響を受けています。

(翻訳・吉原木子)