広東省広州市では最近、デング熱の大規模な流行が発生し、管轄する11区全てが感染地域となり、被害を免れた区はありません。広州市疾病予防管理センターによると、過去1週間で437例の新規感染者が確認され、そのうち3例が重症例でした。これは広州市がデング熱の重症例を初めて公表したケースです。

 広州市疾病予防管理センターは15日、デング熱の最新状況を発表しました。データによると、10月7日から13日の期間に、広州市では437例の新規デング熱患者が報告され、前週の252例から185例増加し、前週比73.41%の増加となっています。

 このうち、360例が現地での感染、77例が外部からの輸入症例で、さらに3例の重症例が確認されました。広州市で初めて重症例が報告されたものの、死亡例は確認されていません。10月14日時点で、市内の11区にある、143の街・村でデング熱対策が進行中であり、広州市の多くの地域が、この感染症の影響を受けていることが明らかです。

 360例の現地感染例は、市内の11区に分布しており、最も多いのは白雲区の100例、次いで番禺区の67例、荔湾区の46例となっています。77例の輸入症例は、8区に分布しており、最多は海珠区の29例、次いで越秀区の16例、従化区の9例です。

 広州市疾病予防管理センターの劉文輝医師は、広州日報とのインタビューで、今年に入ってから、デング熱が世界的に多発しており、南米や東南アジア地域では、感染者数が昨年同期と比べて、倍以上に増加していると述べました。広東省は対外経済および貿易活動が活発で、輸入感染の圧力に加え、今年は雨が多く、蚊の密度が例年より高いため、デング熱の感染拡大が加速しているとのことです。

 『南方都市報』の報道によると、今年5月以降、広州市では現地と輸入のデング熱感染者が、相次いで報告されています。最近、南方医科大学南方病院に訪れた発熱患者の中で、デング熱の陽性反応を示す割合が、大幅に増加しているとのことです。同病院の難治性感染症診療センターの彭劼主任によると、以前は発熱患者100人の中、約10〜15人がデング熱と診断されていたのに対し、現在ではその割合が40人を超えることがあり、主に軽症患者が多いと述べています。

 『南方都市報』はさらに、デング熱はデングウイルスによって引き起こされる急性の蚊媒介性伝染病で、主に蚊によって伝播されると警告しています。感染が重症化すると、命を脅かす可能性があるため、症状の軽重に関わらず、感染が疑われた場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。

 また、中国「国家応急広播」の公式アカウントは16日、「デング熱には特効薬がありません!以下の症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください」と緊急に呼びかけました。症状には、突然の高熱、顔面や首、胸部の赤み、激しい頭痛などが含まれます。

 広州市疾病予防管理センターは、過去1週間で437例の新規デング熱感染者が確認され、死亡例は報告されていないとしています。しかし、発表された感染者数が過小に報告されているとの疑念が広がっています。中国共産党政府は従来、感染症に関する情報を隠蔽する傾向があり、昨年9月に雲南省でデング熱が流行した際も、民間から死亡例が報告されていたにもかかわらず、政府は公式に発表しませんでした。

 広東省のネットユーザーからは、「家の蚊が多すぎて、蚊取り線香も効かず、街道事務所から配布された蚊取りシートも役に立たない。夜に10回以上刺されました」、「自分も感染しているかもしれない。立ち上がると目眩がし、食事をすると吐き気がします」、「すでに感染してしまい、新型コロナより辛い」といった声が上がっています。

 地元住民だけでなく、広東省を訪れた観光客の中にも、デング熱に感染したケースがあります。王さんは家族と共に広東省を訪れ、重慶に戻るとすぐに発熱し、体温が40℃まで上がり、咽頭痛や全身の痛みが現れました。最初は風邪だと思い、風邪薬を服用しましたが、症状は改善せず、全身の痛みが悪化し、さらに大規模な青あざが出現しました。最終的に、王さんは家族に付き添われ、西南病院の感染症科を受診しました。医師は問診と検査を行い、王さんがデング熱に感染していることを確認しました。

 報道によると、広東省ではデング熱の感染が、すでに広範囲に拡大しており、9月末時点で、少なくとも20都市に感染が広がっています。特に仏山と広州での感染が深刻で、仏山の病院は満床状態となり、多くの患者が入院するのに苦労している状況です。デング熱には特効薬がなく、広東省の住民はこの状況に対して不安を感じています。

 デング熱の潜伏期間は通常1~14日で、患者の大半は5~8日で発症します。患者および無症状感染者は主要な感染源であり、発症の前日から発症後5日間は感染力を持っています。一部の感染者は発病しないものの、血液中にウイルスが存在しており、蚊を介して他の人に感染を広げる可能性があります。特に注意すべきは、デング熱による発熱が高熱であり、体温が39℃から40℃に達することが多いことです。発熱の他に、患者は強い疲労感、食欲不振、吐き気、激しい頭痛、眼窩痛、全身の筋肉痛や関節痛を感じ、顔や首、胸部に赤みが現れることもあります。
デング熱はデングウイルス(DENV)によって引き起こされる、蚊媒介性の感染症であり、主に熱帯や亜熱帯地域で流行しています。毎年、世界中で約320万例の感染が報告され、約2.2万人が死亡しており、これは世界的な重大な公衆衛生問題となっています。異なる血清型のウイルス間の交差防御効果は弱く、抗体依存性感染強化現象が存在するため、デング熱ワクチンの予防効果は限定的で、現在のところ特効薬はありません。治療の重点は痛みの管理、早期の水分補給、出血の予防、蚊の防除および隔離の徹底です。

 広東省のネットユーザーによると、広州市およびその周辺地域は、デング熱の深刻な脅威に直面しています。この流行は公衆衛生の安全を脅かすだけでなく、経済や社会秩序にも悪影響を及ぼし、公衆衛生システムに大きな課題をもたらしています。

(翻訳・吉原木子)