中国株式市場は政府の政策の後押しを受けて、9月末から急激に上昇し、この「強気相場」は多くの人々を株式市場に引き寄せました。同時に、多くのインフルエンサーが中国株式市場の将来を過度に煽り、投資家の熱狂をさらに助長しました。多くの投資家がこの熱狂の中で冷静さを失い、家や車を売却して巨額の借金を背負ってまで全力で株式市場に参入し、一攫千金を狙いました。しかし、10月8日の株式市場は一時的にストップ高となった後、急落し、多くの投資家が瞬く間に巨額の損失を被りました。

 長期休暇の前、中国A株は1週間連続で上昇し、証券会社は口座開設希望者で溢れ、市場の熱気が一気に広がりました。インフルエンサーもこの熱気をさらに煽り、Douyin(中国版TikTok)で1000万人のフォロワーを持つ「大藍」は、投資家に株の買い増しを促し、株価は今後も上昇すると断言しました。

 ネット上に出回っている写真には、僧侶が証券会社で口座を開設している様子が映されています。また、袈裟を身にまとった僧侶が混雑した取引所で真剣に株価をチェックしている写真もあり、投資熱の高まりを象徴しています。

 さらに驚くべきことに、あるスクリーンショットには、ネットユーザーが「国慶節」の休暇中に複数の銀行からローンを申請し、親戚や友人から資金を借りて、合計129万元を調達し、10月8日にそのすべてを株式市場に投入しようとしていたことが記されています。

 また、ある山東省の夫婦は、ローン返済用に取っておいた50万元の貯金を使い、さらに親戚や友人から50万元を借りて、合計100万元を株式市場に投じたことが明らかになりました。彼らは動画の中で、株価が上昇した後に新しい車を買うことを夢見ていました。

 これらのエピソードは、現在の中国社会における株式市場の狂乱の一端に過ぎません。株式市場に関心のなかった一般の人々でさえ、この熱気に引き込まれています。あるネットユーザーは「今では市場で野菜を買うおばさんや配達員まで株式について話している」と述べました。現在の株式市場は「かがんでお金を拾う」ような状況で、市場に参入すれば簡単に利益が得られると信じられています。

 8日の取引が始まると、中国の投資家たちの熱狂は最高潮に達しました。取引開始からわずか20分で、上海・深セン両市場の取引額は1兆元を突破し、9月30日に記録された史上最速の1兆元突破記録を更新しました。約1000銘柄がストップ高となり、市場の熱気は異常なほど高まりました。

 その後、招商証券と中信証券のアプリが一時的にダウンし、多くの投資家は操作に大きな支障をきたし、注文を何度もやり直したり、より低い価格での取引を余儀なくされました。さらに、銀行と証券会社間の資金移動にも障害が発生し、多くの人々が入出金を行えない状況に陥りました。明らかに、巨額の資金流入がシステムの許容量を超えていたのです。

 投資家たちが中国株式市場の順調な上昇を信じていた中で、A株は突如として「高台からの急降下」を見せました。わずか1時間足らずで、株価は最高点の3,674ポイントから3,372ポイントまで急落し、マーケットは一気に反転しました。多くの投資家が高値で株を買い増したものの、利益を享受する間もなく、突然の暴落によって巨額の損失を被りました。取引終了時には若干の回復を見せたものの、高値で買った投資家たちは期待に反して大きな損失を抱える結果となりました。

 8日の取引終了後、中国のSNSには投資家たちの嘆きが広がりました。多くの人々は、この強気相場で大儲けしようと計画していましたが、わずか数時間のうちに巨額の負債を抱えることになりました。さらに、車や家を売って株式市場に参入した投資家たちもおり、結果的に全財産を失うことになりました。

 中国政府による今回の政策に対しては、国内外でさまざまな見方が存在します。一部の人々は、これは経済を刺激するための強力な政策だと考えていますが、他の一部は、これは民間の富を大規模に「収奪」するための誘いだと捉えています。最終的な結果がどうなるかは、近いうちに明らかになるでしょう。

(翻訳・吉原木子)