レバノンの複数の地域で、現地時間の17日と18日に、ポケベルや無線機の爆発事件が発生し、少なくとも37人が死亡、数千人が負傷しました。この事件は世界中で大きな関心を集めましたが、中国ではこの事件が「アップル製品ボイコット運動」を巻き起こしました。多くの中国市民は、中米戦争が勃発した場合、アップルのスマートフォンがレバノンのポケベルや無線機のように遠隔で爆発し、「時限爆弾」になる可能性があると懸念しています。

 レバノンでのポケベルと無線機の爆発事件は、中国におけるアップル製品ボイコット運動の引き金となりました。一部の人々はこれを西側の陰謀だと見なし、アップルのスマートフォンが海外からの指令を受けると一斉に爆発するだろうと信じています。さらに、ネット上では、有名な人物が「非中国製のiPhoneがレバノンで爆発し、500人が死亡した」という虚偽の情報を拡散しています。最新のiPhone 16を分解し、Proバージョンの鋼鉄製バッテリーケースが爆発力を増すために設計されたと主張する人々もいます。また、悪意のある編集が施された古い動画がネット上に流れ、アップルのスマートフォンが遠隔で爆発する可能性があることを証明しようとしています。

 こうした噂に対し、南京大学の湯家鳳博士でさえもこの説を信じると発言し、家族全員にチップを搭載した電子機器を分解して検査するよう指示したほか、ファーウェイの最新の三つ折りスマートフォンを購入するよう呼びかけました。

 民間でのボイコット運動はさらに激化しています。多くの商店やレストランでは、アップル製品を持っている顧客の入店を拒否する通知が掲げられています。さらに、一部の企業では従業員がアップル製品を使用することを禁止し、違反した場合には解雇の可能性があるとしています。ネット上に流れている動画では、ある工場の経営者が従業員に対し、アップル製品を工場内に持ち込むことを禁じ、持ち込む場合はあらかじめ用意されたボックスに入れるよう指示しています。

 このような状況の中で、ますます多くの中国人が、アップルのスマートフォンが「隠れた爆弾」であると信じ始めています。あるネットユーザーは、自宅のすべてのアップル製品を水に浸けて、家族を守る様子を動画で公開しました。

 また、他のネットユーザーは自分のスマートフォンの安全性を心配し、アップルに代わる安全な中国製スマートフォンの登場を期待しています。

 一方、理性的な意見も多くあります。「アップルのスマホ爆発説は完全なデマです。現代戦争では民間人を巻き込むことは厳禁であり、アップルユーザーは世界中にいます。もし本当に爆弾が仕込まれていれば、アップルは自滅することになります。さらに、アップルの製造と販売は中国の品質管理部門によって厳格に監視されています」と指摘するネットユーザーもいます。さらに、中国の公式メディアも迅速にデマを打ち消し、アップル製品が遠隔で爆発するという説は虚偽であると明らかにしました。

 しかし、デマは一度広がるとなかなか収束しません。中国の公式メディアによるデマ否定記事のコメント欄にも、多くのネットユーザーが「アップルのスマートフォンが爆弾になる可能性はある」と主張しており、潜在的な危険性を疑っています。さらには、公式メディアが賄賂を受け取ってアップル寄りの報道をしているのではないかという声もあります。

 このような現象に対し、一部の分析家はこう述べています。「中国の公式メディアがアップルのデマを打ち消そうとしているのは、アップルが中国で巨大なサプライチェーンを持ち、多くの中国人に雇用を提供しているからです。もしアップルが中国市場から撤退すれば、今の経済状況下で中国政府にとって大きな打撃となるでしょう。しかし、長年にわたって中国政府が『海外の敵対勢力が中国を侵略させようとしている』と強調してきたため、民族主義が中国で広がり、今では公式メディアさえも疑われるようになっています。これが当時の宣伝が自分たちに跳ね返っている結果です。」

 また、あるネットユーザーは「中国人は長い間、情報が遮断された環境に置かれ、何を聞いても、それが党によって意図的に与えられた情報です。このような環境では、判断力が鈍り、真実を聞いてもそれが嘘だと思ってしまうのです」とコメントしています。

(翻訳・吉原木子)