2024年も9月に入りましたが、中国の製造業活動は6か月連続で縮小し、工場の出荷価格は14か月ぶりの低水準にまで下がっています。他の多くのデータも、中国経済の改善が見られず、引き続き苦境に立たされていることを示しています。

物価が過去6カ月で最高水準に上昇

 中国の野菜価格はこのところ上昇を続け、過去10年間で同時期の最高値に達しています。

 上海のネットユーザーは、「白菜の値段が高すぎて、もう食べられない。葉物野菜は豚肉よりも高い。日に日に価格が変わり、まるで贅沢品のようだ」と述べました。

 北京、上海、四川省、山東省では野菜の価格が倍になり、地元のネットユーザーは、「以前は自分へのご褒美に肉を食べることだったが、今後は野菜を食べることがご褒美になる」と嘆いています。

 中国では8月の消費者物価指数(CPI)が半年来の最高水準に達しました。この上昇は主に天候による食品価格の上昇が原因であり、生産者物価のデフレ悪化や国内需要の回復が原因ではありませんでした。

 中国国家統計局が9月9日に発表したデータによると、8月のCPIは前年同期比で0.6%上昇しました。

 今年の夏、大洪水や猛暑などの極端な天候が農産物の価格を押し上げたため、インフレを加速しました。中国の官製メディアの報道によると、2024年8月、中国ではさまざまな自然災害により145.57万ヘクタールの農作物が被害を受け、直接的な経済損失は424.8億人民元(約8414億円)に達しました。

 中国国家統計局の董莉娟(とうりけん)首席統計師は、「8月は高温多雨などの天候の影響で、全国の消費者物価指数が前月比で季節的に上昇し、前年同月比での上昇幅が引き続き拡大した」と述べました。

 8月の食品価格は前月から2.8%上昇しました。非食品類商品の価格は0.2%上昇しましたが、7月の0.7%を下回る結果となりました。

証券会社の投資銀行業務純収益が4割減少

 しかしながら、物価が上昇しているのは景気が良くなっているからではありません。それどころか、多くのデータが示すように、中国経済は低迷を続けています。

 上海拠点の金融情報サービス大手、万得信息技術(ウインド・インフォメーション)のデータによると、2024年上半期、中国の上場証券会社43社の投資銀行業務からの手数料収入は41%減少しました。

 また、証券業界のメディア「証券中国」によると、今年上半期の資金調達規模は、IPO(新規公開株式)もリファイナンス案件も前年同期比で60%以上減少し、エクイティ(株主資本)による資金調達の総額は前年同期比で74%減少しました。

 株安・債券高という状況は、株式投資業務を主とする証券会社の業績を惨憺たるものにしています。コストを差し引けば、一部の証券会社では投資銀行ビジネスが赤字に転落しています。

 ウインド・インフォメーションのデータによると、17社の上場証券会社の投資銀行業務の純利益はマイナスで、そのうちチャイナ・インターナショナル・キャピタル(中国国際金融股分有限公司)は7.84億元(約155億円)の赤字を記録し、首位に立ちました。華安証券、山西証券、長江証券、中信キャピタルを含む7社は、投資銀行業務で5000万元(約10億円)以上の損失を計上しています。

上場不動産企業100社の純利益が8割減少

 2024年上半期、中国の上場不動産企業の業績も引き続き低迷しています。統計によると、100社以上の上場不動産企業の純利益は前年同期比で80%減少しました。

 中国の民間不動産調査大手、中国指数研究院(チャイナ・インデックス・アカデミー)のモニターリングデータによると、2024年上半期、A株およびH株に上場している105社の不動産企業の営業収益は前年同期比で13%減少し、純利益は82%減少しました。

 A株は中国本土で設立された企業によって発行され、深センまたは上海に上場されています。一方、H株は香港に上場され、海外投資家がより自由に取引することができ、国際的な会計・財務報告基準に従っています。

 中国を拠点とする証券会社であるテンフウ・セキュリティズ(天風証券股分有限公司)の統計によると、上半期のA株上場不動産企業113社のうち、大型企業7社、中堅企業28社、小企業78社のいずれも営業収益は前年同期比で21%減少し、親会社に帰属する純利益は290%減少しました。

 テンフウ・セキュリティズのリサーチレポートでは、不動産業界の売上高と利益の減少は、全体的な販売不振と住宅価格の下落が重なり、短期的には販売圧力がしばらく続くと予測されています。

経済の実態を無視し続ける中国当局

 8月のコア・インフレ率、つまり食料品とエネルギー価格の変動を除いた物価の変動率は0.3%で、過去3年半ぶりの最低水準となりました。この値は7月の0.4%を下回っています。消費者物価指数は前月比0.4%上昇しましたが、上昇率は前月から0.1ポイント減少しました。一方、8月の中国の生産者物価指数、つまり生産者が出荷した製品や原材料などの販売価格の変動を調査・算出した経済指標は前年比で1.8%減少し、4か月ぶりに最大の減少幅を記録しました。このデータは7月の0.8%の減少よりも悪化しています。

 キャピタルエコノミクスのアシスタント・エコノミスト、ガブリエル・ウン氏は、「財政支出の増加は、今後数か月の内需を押し上げると我々は考えている。しかし、政府の政策は依然として投資を優先しており、これは問題をさらに悪化させ、インフレの重石となり続けるだろう」と述べました。

 中国の経済活動の減速により、世界中の証券会社は2024年の中国経済成長率予測を下方に修正し、中国当局が設定した約5%の公式目標を下回っています。

 多くの海外のネットユーザーは、中国経済の現況がすでに非常に懸念されるものであるにもかかわらず、中国当局は外部からの善意のアドバイスを受け入れず、むしろカネをばらまき続けていると指摘しました。

 中国人民大学の金燦栄教授は、かつてある動画で次のような事実を明かしました。「アフリカ諸国の指導者の多くは、中国に来る目的が特になく、北京を見物し、遊び、おいしいものを食べるために中国に駆けつけるだけだ。中国側に『1つの中国政策を断固支持する。台湾は中国の不可分の一部だ』ということを言えば、すぐに手を差し出してお金を求める。清華大学の統計では、この原則を維持するために、中国は毎年300億元(約6000億円)を費やしている」

 9月5日に開催された中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)サミットの開幕式で、習近平氏は現代化への「十大パートナーシップ行動」計画を発表しました。そのうち2番目の貿易パートナーシップ行動計画では、アフリカ33カ国を含む、中国と国交を樹立した後発開発途上国(LDC)100%の関税ゼロ待遇を提供することを一方的に決定しました。また、「今後3年間で、中国政府は3600億元(約7.1兆円)の資金支援を提供する用意がある」と約束しました。

 これに対し、あるネットユーザーは、「対外では一帯一路でカネを振る舞い、対内では地方の財政を賄うために地方政府の資産を売却しており、さらに民間企業や国民をニラとしてを刈っている」とまとめました。

(翻訳・藍彧)