ライブ配信や短編動画のブームに伴い、陝西省西安市の「大唐不夜城」はネット上で人気のスポットとなり、年間を通じて多くの観光客を引き寄せています。しかし、最近発表されたこの観光地の運営会社の半期決算報告は驚きをもたらしました。観光地は観光客で溢れかえっているにもかかわらず、運営会社は赤字に直面し、経営困難に陥っています。8月25日、「大唐不夜城半年でわずか23.53万元の利益」というニュースが注目を集めました。
曲江文旅が最近発表した「2024年半期決算報告」によると、全額出資子会社「大唐不夜城」は、上半期において営業収入3938.3万元を達成したものの、純利益はわずか23.53万元にとどまりました。
曲江文旅は西安を拠点とする大型文化観光企業グループであり、西安の有名観光地の運営・管理を担当しています。しかし、上半期における曲江文旅全体の営業収入は1.87億元の赤字を計上し、前年同期比で15倍もの赤字拡大となりました。
利益の大幅な減少について、曲江文旅は、売掛金の信用損失モデルが前年同期と比べて変更されたため、貸倒引当金の計上が増加し、2024年半期決算報告が赤字になる見通しであると説明しています。
このニュースが注目された理由は、全国的に有名な人気観光地が、なぜこれほど深刻な収益低下に直面しているのか、多くの人々が想像さえできないからです。ネット上では、いつもあれほど繁盛していた「大唐不夜城」が、なぜわずか23.53万元の純利益しか達成できないのかという疑問の声が上がっています。
中国最大の検索エンジンである「百度」では、「大唐不夜城」について次のように説明されています。「大唐不夜城は、陝西省西安市雁塔区の大雁塔の隣に位置しており、南北2100メートル、東西500メートル、総建築面積は65万平方メートルに及びます。北は大雁塔南広場から始まり、南は唐城壁遺跡、東は慈恩東路、西は慈恩西路まで広がっています」
ネットで簡単に調べると、「大唐不夜城」には261店舗の商店と12軒のホテルがあることが分かります。仮に261店舗の賃料を計算すると、店舗ごとの平均面積100平方メートル、額賃料500元と仮定した場合:1年間の賃料収入は、おおよそ1.56億元となります。この金額は、他のホテルの賃料収入は含まれていません。
したがって、常識的に考えれば、65万平方メートルの建物が1億元以上の賃料を稼げないというのは考えにくいです。一部のネットユーザーは、曲江文旅の収入は「大唐不夜城」の賃料ではなく、管理費によるものだと推測しています。
しかし、たとえ管理費であったとしても、23.53万元の純利益は非常に異常です。軽資産運用に特化した会社として、曲江文旅の収入源は主に管理手数料に依存しています。もし手数料を回収できなければ、会社は大きな財務リスクに直面することになります。 曲江文旅が最近約2億元の赤字を計上したのは、手数料が回収できず、直接貸倒引当金として処理されたためです。
ネットユーザーは次のように指摘しています。曲江文旅は、おそらく上場当初、財務状況を良く見せるために、管理手数料が非常に高かったのでしょう。例えば、3万平方メートル以上の大明宮遺跡では、年間管理報酬が1.28億元でした。しかし、現在の問題は、地方政府の財政が本当に厳しいということです。つまり、この問題は「大唐不夜城」が利益を上げていないのではなく、業主が手数料を支払うお金がないということです。
さらに懸念されるのは、西安の「大唐不夜城」の状況が、全国的に見ても決して孤立した例ではないということです。張家界、桂林、雲南など、多くの有名な人気観光地も同様の困難に直面しており、観光客数は多いものの、利益は惨憺たる状況にあります。
中国で非常に有名な人気観光地である張家界は、国内外の観光客に長年愛されてきましたが、張家界は上半期の純利益が5800万元から6300万元の赤字になる見込みです。
桂林観光が発表した上半期の財務報告によると、会社は報告期間中に約2000万元の純損失を見込んでいます。
雲南省では月平均で1億人近く(0.96億人)の観光客を迎えており、雲南観光にはもはや閑散期が存在しません。それにもかかわらず、雲南観光は2024年上半期に4000万元から6000万元の赤字を見込んでいます。
有名な人気観光地である重慶洪崖洞も、過去3年間の純利益はそれぞれ5.89万元、-343.46万元、-157.88万元であり、3年間の純利益は-495.45万元です。
客流不足が問題なのでしょうか?そうではありません。これらの人気都市や観光地には非常に多くの人が訪れています。それでは、何が問題なのでしょうか?それは各地の経済基盤が持ちこたえられなくなっているからです。なぜ、このような客流が多いにもかかわらず、利益が大幅に減少するという異常な現象が起こるのでしょうか?その答えは曲江文旅にあり、その経営モデルに関係しています。
曲江文旅は、軽資産モデルで運営されている経営管理方式を採用しており、観光地の固定資産を所有せず、日常の運営やテナント募集を担当し、管理手数料を受け取るというものです。
このビジネスモデルは、曲江文旅が多くの人気観光地の運営権を大きな投資を必要とせずに手に入れることを可能にしますが、収益モデルが単一であり、パートナーが何らかの理由で管理手数料を支払うことができなくなった場合、曲江文旅自身が巨大なリスクを背負うことになります。
現在、曲江文旅は多額の赤字を抱えており、売掛金は既に11億元を超えており、このリスクが長期間にわたって続いていることを示しています。
10年前の2014年から、曲江文旅は管理手数料の未払いに悩まされており、毎年の売掛金残高は当年の営業利益を上回っていました。2024年第1四半期末時点で、曲江文旅の売掛金規模は11.40億元に達し、2023年年末から1.07億元増加しています。
このように巨額の売掛金が回収できないと、表面的には経営が盛況であるように見えますが、実際には赤字が拡大し続けているのです。結局のところ、中国各地の経済状況が悪化していることが、根本的な原因です。
(翻訳・吉原木子)