中国の弁護士である易勝華氏が8日、ネット上で暴露したところによると、山西奥瑞生物材料有限公司(以下、奥瑞生物)が盗難・転売された4,000体以上の遺体を不法買収し、3.8億元の不正利益を得ていたとされます。

 易勝華弁護士は同日午前、微博(ウェイボー)に「昨日の午後、弁護士の友人と話していて、この事件のことを知り、背筋が凍りました。刑事弁護士として様々な案件を手がけてきましたが、今回ほど衝撃を受け、怒りを感じたことはありません。誰の家にも亡くなった親族がいます。親族が亡くなった後に、このような残酷な『解体』を受けることを誰が想像できるでしょうか?私たちは、自分が受け取った親族の遺灰が、本物であるとどうやって確信できるのでしょうか?」と述べました。

 易勝華弁護士は、現行の法律ではこれらの犯罪者に対する処罰が最高でも3年以下の懲役刑しかなく、罰金もないことが最も絶望的であると感じたと述べています。

 中国メディア「澎湃新聞」の報道によると、易勝華弁護士はネット上で盗難、侮辱、故意に遺体を損壊する事件に関する資料を公開しました。この資料は、山西太原市公安局が今年5月23日に作成したもので、事件が太原市検察院に送られ、審査されていることを示しています。

 この事件には75人の容疑者が関与しており、関係する組織には奥瑞生物、四川恒普科学技術有限公司、山東青島大学付属病院肝臓病センター、桂林医学院、桂林市葬儀場、平楽県葬儀場、永福県葬儀場、雲南水富市火葬場、重慶巴南区火葬場、貴州石阡県火葬場、四川大英県火葬場などが含まれています。

 資料によると、2015年1月から2023年7月の間に、奥瑞生物は違法なルートで四川、広西、山東などの地域から遺体や断肢を違法に購入し、これらの違法に取得した遺体を原材料として処理し、「同種異体骨移植材料」製品を製造していたとされています。統計によれば、違法に盗難・転売された遺体の数は4,000体を超えています。

 この事件を捜査する過程で、警察は18トンの人体骨格原材料と半製品、34,077個の製品を差し押さえました。監査の結果、山西奥瑞の2015年から2023年までの売上高は合計38億元に達していたことが明らかになりました。

 資料によると、奥瑞生物が1999年に中国放射線防護研究院によって設立された子会社であり、業務範囲は「同種異体骨移植材料」の研究開発、製造、販売であると記されています。

 2007年から奥瑞生物が丛容疑者、蘇容疑者、李容疑者を雇い、中国輻射防護研究院及びその社員の株式を取得しました。2012年までに、丛容疑者は会社の54.08%の株式を保有し、最大の株主兼法人代表となり、取締役会長を務め、蘇容疑者は45.92%の株式を保有し、総経理を務めます。李容疑者は会社の運営を担当していました。

 2015年から2023年の間、李容疑者、蘇容疑者は従業員を指示して、広西チワン族自治区桂林市や四川省成都市などの地域に遺体を運搬させました。遺体の違法な出所を隠すため、李容疑者は複数の従業員に献体登録申込書、検査報告書などを偽造させ、遺体の出所の合法性と安全性を証明し、会社の大多数の従業員に家族を装って署名させました。

 資料によると、蘇容疑者は2014年に四川恒普公司を設立し、同社は奥瑞生物の人体骨格原料の重要な供給源となっています。

 2017年から2019年にかけて、蘇容疑者は契約、株式取得、スタッフの派遣などの方法で雲南水富市火葬場、重慶巴南区火葬場、貴州石阡県火葬場、四川大英県火葬場など4つの火葬場を管理下に置き、火葬場内で遺体を粗暴に解体し、一部の遺体を四川恒普公司に運搬してさらに処理を行いました。

 蘇容疑者の供述によると、上記の4つの火葬場は合わせて4,000体以上の遺体を同社に提供し、これらの違法に取得した遺体を「同種異体骨移植材料」の製造に使用し、一部の人体骨格を奥瑞生物に転売していました。

 さらに、2015年から2021年の間、山東青島大学附属医院肝臓病センターの副主任医師である李某強は、遺体を解体して冷蔵庫に保管し、1体当たり1万から2.2万元の価格で奥瑞生物に販売していました。合計で10体以上の遺体が販売されました。

 この事件には、桂林市の複数の容疑者も関与しています。事件の資料によると、2023年9月11日、国家監査署が特別監査を行い、桂林医学院解剖教学研究室の実験員である蘭容疑者が、1体当たり1万元の価格で322体の遺体を奥瑞生物に転売し、不正利益を得ていたことが判明しました。

 2019年から2023年初めにかけて、蘭容疑者は、桂林市、平楽県、永福県の葬儀場が提供した遺体の大部分が窃盗によるものであることを知りながらも、1体当たり900元の価格でこれらの遺体を購入しました。

 事件の資料によると、2017年から2023年の間、桂林医学院解剖教学研究室は上記の3つの葬儀場から450体以上の遺体を購入し、そのうち約300体が奥瑞生物に転売されました。

 警察の調査によると、桂林市葬儀場は身元が分からない遺体や家族が遺灰を放棄した遺体を桂林医学院に売却し、初期調査によると、合計で200体以上の遺体が販売されていました。平楽県葬儀場は家族が遺灰の引き取りを放棄した遺体を火葬せず、代わりに桂林医学院解剖研究室に転売し、職員総会を開いて決定を発表しました。平楽県葬儀場は180体余りの遺体を販売しました。永福県葬儀場は火葬費用を受け取った73体の遺体を火葬せず、蘭容疑者の元へ運搬し、1体当たり900元の価格で販売していました。

 4,000体以上の遺体が違法に盗まれ、転売されたこの事件が暴露されると、世論の憤りを引き起こしました。ネットユーザーからは、「このニュースを見て背筋が凍る」、「これで、多くの人の遺灰が本物でないことが明らかになる」、「全ての葬儀場を徹底的に調査してほしい」、「こんなことは恐ろしすぎる。遺体の供給が不足したときに何が起こるか想像してみてください。一匹のゴキブリを見つけたら100匹いる。これは氷山の一角に過ぎません。全国にどれくらいあるのでしょうか?」などのコメントが寄せられています。

(翻訳・吉原木子)