1966年2月のある朝、アメリカ中央情報局の元ポリグラフ専門家クリーブ・バクスター(Cleve Backster)さんが、ある鉢植えのアンスリウムに水をやっていました。思いつきで、彼はポリグラフの電極をアンスリウムの葉に接続しました。水分が根から葉先に移動すると、驚くことに、装置は画像を描き出しました。それは人間が喜びを感じているときにしか見られないような画像でした。まるで植物に感情があるかのようでした!
この仮説を確認するために、バクスターさんは多くの実験を行い、植物が周囲のすべてを“感知”し、人間の思考さえも“読み取る”ことができることを示しました。一連の実験結果は1968年に『国際超心理学雑誌』に掲載され、世界中で大きな話題となりました。しかし、1974年の学術会議で、多くの学者が同じ結果を再現できないと述べたため、いわゆる「バクスター効果(Backster Effect)」は当時の科学界に受け入れられませんでした。
それから何年も経ち、カナダのブリティッシュコロンビア大学の森林学者・スザンヌ・シマード(Suzanne Simard)教授は、植物がかなり高い知性を持ち、さらに互いにコミュニケーションを取ることができることを、バクスターさんとは異なる方法で証明しました。これは、バクスターの当時の発見を有力に支持するものでした。
シマード教授によると、約90%の陸上植物は相互利益の共生関係を維持しており、菌類がその関係を維持するためのパイプラインとなっています。菌根が形成する「地下ネットワーク」は、人間界のインターネットと多くの類似点があり、「ワールドワイドウェブ」ならぬ「ウッドワイドウェブ」と呼ばれています。森林の中の植物たちは一見それぞれ独立するように見えても、実際にはその根と菌根が地下で脳の神経束のような生態系を形成し、そこから驚くべき“知恵”が現れます。
シマード教授は次のように例を挙げて説明しています。森林の中にある一本の老木があり、それを「母木」または「ハブ木」と呼びましょう。それは地下ネットワークを通じて数百の若木と接触することができ、その後、これらの苗木に炭素、窒素、リン、水、そして防衛信号を伝え、若木たちの成長を支援します。
母木は、根と根の交流の中で、近くの苗木が自分と同じ種類の木であるかどうかを「見分ける」ことができます。自分の苗木に対しては、「えこひいき」でより大きな菌根ネットワークを使ってそれを占有し、より多くの栄養を供給したり、子木が成長するためのスペースを空けたりします。この認知能力は、生態学と成長の過程においてとても重要です。これにより、苗木が自分自身の同種や親戚類との競争を避けることができます。
害虫に食べられると、木々は互いに“通知”します。通信チャネルは地下の菌根ネットワークだったり、空気中に放出される“ガス信号”(植物ホルモン)だったりします。その目的は、隣の木に敵襲を“警報”するだけでなく、敵の天敵を“呼び寄せて”害虫を駆除することにもあります。これにより、木々は食物を“共有”するだけでなく、互いの生存を「助ける」ことをも試みることがわかります。
では、なぜ植物はこんなにも知性に似た行動ができるのでしょうか。植物と外部環境との間の複雑な相互作用は、彼らが脳に似た情報処理システムを持っているからです。彼らは光、水分、重力、温度、土壌構造、栄養、毒素、微生物、または他の植物の化学的な信号などを分析・計算し、そして反応を示すことができます。
さらに、森林の母木が傷ついたり、枯れかけていたり、完全に腐敗する前に、自身の幹に沿って“知恵”を菌根ネットワークを通じて次世代に「伝える」ことができると、シマード教授は研究を通じて発見しました。これにより、苗木は未来の生存ストレスに抵抗する能力を強化します。したがって、共生メカニズムの中で、森林の老木(「母木」)は遺伝子の伝承者として、森の母親として、そして巨大なデータベースとして機能しています。その老木を破壊すると、他の若木の生存に悪影響を及ぼすだけでなく、供給と需要のバランスを保つ生態系全体を破壊することになります。これが、大規模な原生林が伐採された後、人工林が生き残るのが難しい理由の一つとも言われます。
(翻訳・宴楽)