中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(略:三中全会)は、7月15日から7月18日まで北京で開催されました。しかし、この敏感な時期に、ネット上では中共党首が脳卒中を起こしたという噂が広がっています。
7月16日の夜から、中国国内のソーシャルメディアから海外のソーシャルメディアまで、このような情報が広がっています。「叔父がグループの株主総会で脳卒中を起こしたと聞いた。グループの幹部たちは混乱し、一部の人はこの情報に喜び、目覚めた人々は彼が早く寝たきりになることを望んでいるが、もっと見識のある人々は彼がもう一度立ち上がって、グループの業務を続けることを望んでいる」、他にも、「社長がスピーチを終えた後、意気揚々と拳を振り上げ、主要な株主たちもそれに続き、全社員も拳を振り上げて、掛け声を上げた。雰囲気は非常に熱烈だったが、その後社長が突然机に倒れ込んだ。株主たちは大混乱となり、社長は緊急に病院に運ばれた」というような情報もあります。
中国の国情を知らない人々にとっては、これらのメッセージはあるグループのリーダーが脳卒中を起こしたという情報にすぎないかもしれません。しかし、政治に少し敏感な人々にとっては、その隠された意味は明白です。中国共産党(以下、中共)当局が厳しい言論統制を行っているため、あまりに露骨な情報を発すると、すぐに検閲され、削除されます。安全を確保するために、人々は暗号のような方法を用いて、交流することが多いです。上記のメッセージのいくつかのキーワードを少し関連付けるだけで、その意味が明らかになります。
例えば、メッセージ中の「叔父」や「社長」を現在の中共党首に置き換え、株主総会を先ほど開催された「三中全会」に、グループの幹部や株主を「国家総理や常務委員」に、全社員を「三中全会に参加した人々」に置き換えると、その意味は一目瞭然です。つまり「習近平が三中全会の会議中に突然脳卒中を起こし、各層の指導者から全ての参加者までが混乱し、どうしてよいかわからなかった」ということです。
なぜ「目覚めた人々は彼が寝たきりになることを望み、もっと見識のある人々は彼が業務を続けることを望む」のかというと、大多数の人々は現在の党首が就任して以来、中国の社会環境が急速に悪化し、国際社会との関係もますます緊張し、国民が困窮していることをすでに見抜いているため、彼が早く退陣することを望んでいるのです。しかし、もっと見識のある人々は、誰が就任しても中共体制が存在する限り、中国の問題を根本的に解決することはできないと見極めています。習近平の存在は中国を非常に危険な状況に追い込んでいる一方、中共の解体を加速させています。したがって、彼の統治を通じて中共政権が早期に解体されることを望んでいるのです。
近年、習近平の健康状態に関する噂が絶えません。しかし、中国の独裁体制の下では、指導者の健康状態は高度な機密とされており、人々は細かい部分から情報の真偽を推測するしかありません。現在まで、習近平が脳卒中を起こしたという噂は確認されておらず、公式メディアも関連報道をしていません。したがって、この情報の真偽を判断することはできませんが、これらの「噂」が広まる中で、中国社会の民意、すなわち現党首や執政党に対する強い不満が浮き彫りになっています。
現在の中国社会では、失業率が高止まりしており、若者は仕事が見つからない問題に直面し、中年層は給与削減やリストラの圧力にさらされています。さらに、国際社会との関係が悪化し、多くの工場が注文を受けられず、大量の企業が倒産しており、経済発展をさらに悪化させています。さらに、不動産業界の危機、大量の未完成物件、相次ぐ発生する洪水、干ばつも民衆の不満を増幅させています。2022年11月、上海の市民がウルムチ中路に集まり「習近平は退陣せよ」、「共産党は退陣せよ」と堂々に叫んだ後、ますます多くの中国人が公の場で中共政権や習近平への不満を表明するようになり、その中には習近平の退陣を求める声も少なくありません。
このような社会背景の下、習近平の健康問題は当然のごとく民衆の関心事の一つとなっています。なぜなら、もし習近平の健康が悪化し、政権を続けられなくなれば、現在危機に直面している中国に新たな変化がもたらされる可能性が高いためです。さらに、ネットで流行している曲「可惜不是你」(残念ながら君ではない)も、習近平の退陣を望む中国民衆の心情を反映しています。安倍元総理大臣が2022年7月に銃撃され後、李克強が突然亡くなった後、イランのライシ大統領が墜落事故に遭った後、多くのネットユーザーが「可惜不是你」という曲をシェアし、習近平に対する不満を表現しています。
実際、一部の人々が中国を現在の危機に追い込んだ主要な責任を全て習近平に帰しています。彼らは中共という独裁体制を問題視していません。そのため、習近平が退陣し、開明な指導者が登場すれば、中国の問題はすぐに解決すると考えています。これらの人々は中共体制に対してまだ幻想を抱いていると言えるでしょう。一方で、より見識のある人々は、中国の問題は習近平一人に起因するものではなく、中共政権が淘汰されるべきだと明確に認識しています。
三中全会の開催前、「歴史のガベージタイム」という言葉が中国のネット上で話題となりました。「ガベージタイム」(garbage time)は元々スポーツ用語で、試合の勝敗がほぼ決まっている残りの時間を指します。中国社会科学院の元研究員である劉軍寧氏は今年2月、メディアで「歴史のガベージタイム」を用いて、中共がすでに政権交代のカウントダウン段階に入っていると表現し、この期間中、誰も歴史の進行を逆転させることはできず、民衆ができるのはこの期間を何とか乗り切る、つまり「躺平(寝そべる)ことだと述べました。
三中全会前に「歴史のガベージタイム」という言葉が広がり、当局はこれに恐れを抱き、公式メディアは緊急にこの考え方を全面的に批判する記事を掲載しました。アメリカ在住の中国人権弁護士である呉紹平氏は、新唐人テレビとのインタビューで、「歴史のガベージタイム」という言葉の流行は、民衆が中共政権に対する見方が質的に変化したことを反映していると述べました。
オーストラリア在住の歴史学者である李元華氏も新唐人テレビに対して、現政権がいかに自らを美化し、いかに新政策を打ち出そうとも、すでに誰もそれを期待していないとし、(歴史に淘汰されることは)不可逆的であると見ていると述べました。
(翻訳・吉原木子)