5月21日、中国上海市の復旦大学附属小児病院に「小児臓器移植センター」が設置されました。しかし、この情報は1か月後の6月下旬になって、ようやくメディアに報道されました。報道によると、この移植センターでは、小児レシピエントの腎移植や多臓器同時移植といった高度な手術が行われるとのことです。

 このニュースは中国で、人々の警戒心を引き起こしました。一部の人は、夏休みが目前だが、子どもたちからは絶対目を離さないよう呼びかけています。

後を絶たない青少年の行方不明事件

 中国では青少年の失踪事件が後を絶ちませんが、近年、特に江西省致遠中学の高校一年生の胡鑫宇(こ・きんう)死亡事件が発生してから、その真相が徐々に明るみに出始めました。多くの青少年は失踪後、臓器が摘出されていたのです。SNSに投稿されたある動画では、川で複数の子どもの遺体が発見されましたが、遺体には穴が開いており、複数の臓器がなくなっていました。2021年7月、河南省鄭州市の地下鉄5号線は連日の豪雨で冠水しましたが、水が引いた後、目をガーゼで覆われ、角膜が摘出された状態で横たわっている複数の遺体が発見されました。

 2022年4月23日、中国のメディアが報じたところによると、河北省石家荘市の運送会社の経営者がホームレスの男性を絞殺し、男性の5つの臓器を湖北省武漢市のある病院の臓器移植センターに売却しました。この報道は、中国の生体臓器収奪の対象が、刑務所に入れられている法輪功学習者から中国人全体に拡大していることを示しています。

 もっと恐ろしいのは、中国共産党の生体臓器収奪はとっくの昔から子どもや若者にも及んでいたことです。近年、多くの小中学生が学校で強制的に血液検査を受けさせられており、携帯電話に臓器提供に同意するよう強制するアプリをインストールするよう要求されています。中国国家衛生健康委員会と赤十字総会が共同で主導する「臓器提供宣伝活動」は学校でも行われ、生徒たちに臓器提供に参加する集団宣誓をするよう求めています。

 中国ではまた、白昼堂々と歩行者を無理やり車に引きずり込む事件が発生しています。さらに、官製メディアは移動式火葬車の存在を明らかにし、いつでもどこでも動物を焼却できると公然と宣伝しています。一方、一般市民らは、これらは生体臓器収奪を容易にするための手段であると疑っています。

武漢市では大学生が大量に失踪

 2013年から2016年にかけて、湖北省武漢市の大学に通う男子学生の失踪が相次ぎ、懸念の声が上がりました。2017年9月、「恐ろしい!武漢で30人以上の大学生が失踪したのはなぜか」というタイトルの文章がネット上に投稿され、話題になりました。文章では、失踪した学生たちがマルチ商法に巻き込まれた可能性、誘拐された可能性、犯罪に巻き込まれた可能性、あるいは宇宙人に拉致された可能性を排除した上で、「若い大学生たちは神秘的に失踪したが、未だに謎のままだ」と結論づけていました。

 しかし、中国当局はすぐに「デマを流した」として文章の投稿者を拘束しました。武漢の大学生の失踪数はその後も増え続け、その総数は数百人に上ると指摘するネットユーザーもいます。しかし、武漢の警察当局は行方不明者に自分の行動をコントロールする権利があるとして、失踪事件として立件することを拒否しました。警察のこのような無作為から、大学生たちが中国当局が主導する臓器狩りに巻き込まれたのではないかと疑わざるを得ません。

 米国に本部を置くエポックタイムズ(大紀元時報)の2020年3月14日の報道によると、湖北省随州市(ずいしゅうし)に住む程さんという男性の、武漢で大学に通う息子が、2014年11月28日に武漢の「第二武漢長江大橋」付近で行方不明になりました。程さんは、武漢では大学生など数百人が行方不明になっているが、遺体が見つかったのは3人だけで、警察は全員自殺だと説明していると述べました。程さんは、「世間では国が人間の臓器を売買していると言っている。心臓や腎臓など、人間一人の臓器を数百万元で売ることができ、高官がこれらの臓器を移植している。普通の人の臓器は必要とせず、丈夫で健康な人、ティーンエイジャーや大学生の臓器が必要とされている。大学生は騙されやすいと分析する人もいる」と述べました。

政府によって合法化

 中国当局は6月11日を中国の「臓器提供の日」と定めました。官製メディア「中央電視台(CCTV)」は、中国では死後の臓器提供が累計で45,800件以上行われ、13万9,000個以上の臓器が提供されたと報じました。現在、中国には臓器移植が可能な病院が183か所あり、臓器移植の件数は世界で2位となっています。

 中国共産党は中国全土の人々を臓器の供給源として見なしているだけでなく、臓器摘出を国際化し、香港、マカオ、台湾、日本、韓国との臓器移植に関する「相互運用、協力、共有」を一部実現しています。中国衛生部の元副部長の黄潔夫(こう・けつふ)氏は在任中、この方面の国際協力の推進に尽力していました。ミャンマーのゴールデントライアングル地域では、中国の「赤十字会」と一部の企業が中国人を騙して臓器摘出を行っています。

 情報筋によると、江沢民政権時代に共産党上層部の幹部に対し臓器移植を利用した賄賂を行い、汚職に加担させていましたが、現政権も一部の国の政府要人に対してこのような臓器移植賄賂を行い、彼らを買収しているといいます。その結果、臓器移植を受けたこれらの政府要人は、中国共産党が最も重要だと考える問題で中国の肩を持ち、あるいは中国共産党を批判することを拒否したりするようになりました。

各国政府と正義の人々の努力

 海外では、多くの国の政府や正義の人々が、中国共産党による生体臓器収奪の犯罪行為の停止を求める中国人を支援しています。

 6月24日、米国務省は世界各国の人身売買に関する2024年版報告書を発表し、中国を再び人身売買対策が最も遅れているグループ(ティア3)に分類しました。報告書は特に、中国共産党当局が特定のグループを対象に強制的な生体臓器収奪を行っていると指摘しています。

 米国務省はこの報告書の「特に懸念されるトピック」で、臓器収奪を目的とした人身売買は、人身売買の中でも最も報道が少なく、最も理解されていない形態の一つであると指摘しています。専門家は、この形態の犯罪は増加傾向にあると考えています。

 多くの海外在住の中国人は、中国共産党の生体臓器収奪犯罪に関する調査と証拠収集のために多大な努力を払っています。入手した信頼できる情報に基づいて、長年にわたり中国共産党のこの悪事を暴露し、各国政府や人々に呼びかけてきました。最近、海外在住の中国人たちが数年かけて制作した映画『国有臓器』が公開されました。この映画は、複数の生体臓器収奪の被害者や関係者への直接インタビューを通じて、中国共産党の法輪功学習者に対する生体臓器収奪の残酷な実態を観客に伝えています。6月23日、この映画は米ニューヨークのマンハッタン映画祭で「最優秀人権ドキュメンタリー賞」を受賞しました。

(翻訳・銀河)