中国当局が水田に水道メーターを設置

 中国メディアの報道によると、最近、四川省宜賓市(ぎひんし)は5万ムーの水田に水道メーターを設置し、農民が灌漑用水を使用する際にはバルブを開けて自分の田んぼに水を引かなければなりません。バルブを開けると水道メーターが使用量を記録します。1トンあたり3元(約50円)で計算すると、中国当局はまたしても巨額の収入を得られます。

 中国公式の説明によると、スマート水道メーターの設置により、農民はリアルタイムで田んぼの灌漑を監視・管理することができ、農地の水利用が高度に最適化され、水の無駄が大幅に減少するため、農民は一滴の水もより大切にするようになるといいます。

 実際、昨年7月には、河南省鄭州市のある地域で、灌漑用の井戸に強制的に水道メーターを設置する様子を撮影した動画が流れました。動画では制服を着た2人の職員が農民に対して、公式文書に基づき地下水資源を使用するには計量が必要であると説明していました。つまり、水道メーターを設置しなければならないということです。

 また、2017年7月には北京の機関メディアが、市内の1.7万箇所の灌漑用井戸にスマート計量装置が設置され、3年後には北京市郊外の農業灌漑用水が「すべて正確に計量され、料金が徴収されると報じました。しかし、水田に水道メーターを設置するという話は、おそらく多くの人にとって初耳でしょう。

新たな搾取手段「水道料金の徴収」

 問題は、南方に位置する四川省宜賓市が水不足になる可能性があるのでしょうか?水田に耕作が可能であるということは、水不足ではないはずです。これは基本的な常識です。なぜなら、稲作は大量の水を必要とします。データによると、宜賓市の地域面積は四川省全体の2.33%を占めているのに対し、水資源量は四川省全体の24.37%を占めています。地域全体の水力資源の埋蔵量は520.48万キロワット(境界河川は半分のみ計算)で、開発可能量は353.60万キロワットとなっているはずです。

 これほど豊富な水資源があるため、農民が稲作を行うのは自然の恩恵に依存していると言えます。また、豊富な耕作経験をもつ農民は、無駄な灌漑を行わず、適切な水管理を行っていると思われます。したがって、農民が水資源を無駄にしているという主張には疑問が残ります。さらに、節約された水は最終的にどこへ流れるのでしょうか?最終的にはすべての水は貯水池や河川へ戻り、自然に還るのではないでしょうか?それとも、水道会社に奪い取られ、ろ過されて人々に販売されるのでしょうか?

 地下水を含む水資源は自然の恵みであり、世界中のすべての人々のものであります。人が飲む水は浄化が必要であり、一定の費用がかかることは理解できるが、農民が河川や湖沼、地下水を農地の灌漑に使用する際に、中国当局が料金を徴収する理由は何でしょうか?中国当局が地域住民の同意なしに水資源を独占することは合理的でしょうか?

 中国の農業専門家によると、中国の水資源の70%は農業用水であり、農業用水の70%は水稲の灌漑に使用されているとのことです。つまり、中国の水資源の半分は水稲の栽培に使われています。全国の半分の水資源を使用するコストを稲作農家が負担するとすれば、その負担は想像を絶するほど重いです。

 ある農民は、「これでは経済的負担も経営コストも増えるし、政府は補助金を出さない」と不満を示しました。

 また、あるネットユーザーは「雨が降る時は5万ムーの水田をすべて覆わなければならない。さもなければ、農民は自然灌漑を受け入れる法律に違反することになるだろう」と皮肉を言いました。

 稲田に水道メーターを設置することは、地方政府の財政難を反映していると考えられます。3年間の新型コロナウイルスのパンデミックの間、中国共産党は人権を無視した過酷な封鎖政策を実施したことにより、多くの外資系企業が中国から撤退し、国内の民間企業が大量に閉鎖または停滞し、不動産市場が低迷し、失業率は急上昇し、中国経済は長期にわたって停滞しています。過去十数年にわたって土地の売却収入に頼ってきた地方財政も窮地に陥り、値上げや罰金で政府運営を維持するしかありませんでした。四川省宜賓市当局は、ついに最も弱い立場にある農民をターゲットにした新たな搾取手段を見つけたのです。このような人民の略奪は、中国の歴史上希だけでなく、世界的にも希です。

農民は稲作を続けるだろうか

 中国の農業産業データサービスプラットフォームが発表したデータによると、2011年から2022年まで、中国の稲の平均コストは毎年上昇しており、2011年の1ムー当たり897元(約19500円)から、2022年には1ムー当たり1362元(約29600円)に上昇しました。一方で、同じ期間の稲作の純利益は急速に減少しており、2011年の1ムー当たり371元(約8000円)から、2021年には1ムーあたり60元(約1300円)に減少し、2022年には1ムー当たりマイナス23元(約500円)となりました。つまり、農民は稲作を行っても利益を得られず、逆に損失を被ることになります。

 もし今年も同じような状況であれば、新たな水道料金が加わることで、農家はさらに大きな損失を被ることになるでしょう。
このような政策の結果、ますます多くの農民が稲作を断念する可能性があります。多くの税金や負担が農民を苦しめており、生活が成り立たない状況に直面しています。

 最近話題になった動画では、ある農村の女性が9450キロの小麦を収穫し、7ヶ月間苦労をかけたて作業したところ、すべての費用を差し引いてわずか1500元(約33000円)しか収益を得られなかったのです。

 中国の農業産業データサービスプラットフォームによると、2022年の7大作物の中で小麦の純利益は第2位であり、1ムーあたり426元(約9200円)です。利益が比較的高い小麦の栽培でさえ、農民の間では利益が低すぎると感じられています。2022年の稲作がすでに赤字の状況下で、今年からは新たに水道料金が課されるため、今後、農民が稲作を続けるかは疑問です。

 より多くの農民が稲作をあきらめたとき、中国人の食料はどこから調達するのでしょうか?すべて輸入に頼るのでしょうか?

 中国国家統計局のデータによると、2023年の中国のコメ生産量は2億トンであり、穀物生産量の29.7%を占めています。もし中国の農家が稲作りをやめ、すべて輸入に頼るとしたら、その影響は甚大です。なぜなら、2023年には世界最大の輸出国であるインド、タイ、パキスタンを合わせても3170万トンしか輸出できず、これをすべて中国に売っても、全く足りません。

 中国共産党の支配下で起こる奇妙な出来事、悲惨な出来事、ばかげた出来事は、常に世界の人々の常識の底ラインを破っています。

(翻訳・藍彧)