2024年に入って以来、中国南部では豪雨と洪水災害が頻発しています。4月には、華南、西南東部で豪雨が続き、特に広東省北部が降雨の中心地となりました。洪水や土砂崩れが多発し、約6万人が避難を余儀なくされ、少なくとも11人が行方不明となりました。

 6月中旬、中国南部は再び持続的な豪雨に見舞われ、広東省、広西チワン族自治区、福建省、湖南省などが影響を受けました。広東省だけでも、豪雨による洪水で47人が死亡しました。

 広東省梅州市は今回の災害で特に大きな被害を受けました。6月16日、市内の多くの場所で大雨が降り、平遠県泗水鎮では24時間の降水量が369.3ミリメートルに達しました。住民は「かつてない大雨」と表現しています。あるネットユーザーが投稿した動画では、地元の水位が3時間で2メートルも上昇した様子がはっきりと映っています。

 洪水は猛獣のように荒れ狂い、家屋を瞬く間に破壊し、洪水が引いた後には住んでいた家が無残な状態になり、心が痛む光景が広がっています。6月23日には、13年間の努力が一夜にして消え去り、涙ながら巨額の損失を被ったと語る梅州のある夫婦の動画がネット上で話題となりました。

 あるネットユーザーが自宅の2階のエアコン室外機の上に豚が乗っているのを撮影しました。2階の壁には洪水の跡がはっきりと残っており、当時の水深が2階を超えていたことがわかります。現在、一部の地域ではまだ電力が復旧しておらず、一部の家庭ではろうそくで照明をとっています。

 梅州市は深刻な被害を受けましたが、現場には武警や兵士が泥の清掃を手伝っている様子は見られませんでした。政府の対応が遅れ、被災した村民たちは自力で復旧作業を行わざるを得ず、多くの若者が他の地域から故郷に戻り、泥の清掃や家屋の再建に取り組んでいます。
一方、6月19日には、広西チワン族自治区桂林で「30年に一度」の洪水が発生しました。同日、桂林市の38の気象観測所で過去最高の降雨量が記録されました。午後5時、桂林水文観測所の水位は1998年の大洪水時の148.4メートルを超え、148.55メートルに達し、1958年以来の最高水位となりました。増水した川の水が市内の道路に逆流し、10か所以上で交通が遮断されました。また、桂林駅も浸水のため当日夜から運休となりました。

 桂林洪水の水位は急速に上昇し、市内の一部の地域では朝は浸水がなかったのに対し、数時間後には膝上まで水に浸かる状況となりました。ネット上では、一部の人々が深刻な内水氾濫がダムの放水と関係があるのではないかと疑問を呈しています。公式の説明によれば、連日の降雨によりダムは満水状態となり、上流からの流入量に応じて放水せざるを得なかったとのことです。
現在、桂林の洪水はすでに引いています。地元のネットユーザーが投稿した動画によると、街道にはゴミや泥が積み上げられ、混乱した様子が映し出されています。

 広東省と広西チワン族自治区のほか、福建省と湖南省でも洪水の被害が深刻です。6月22日朝まで、常徳市桃源県では8人が洪水に流されました(そのうち7人が救助され、1人が行方不明)。3か所で通信が途絶えました。梅州に隣接する竜岩市上杭県では、少なくとも6人の住民が山崩れで亡くなりました。国家級の文化遺産に指定され、「客家第一の祠」と称される「官田李氏大宗祠」も大雨で大規模に崩壊しました。

 さらに懸念されるのは、現在降雨帯が長江中下流地域に移動していることです。報道によると、6月22日から25日の間、貴州北部、湖南西部および北部、湖北東部、安徽南部、浙江北部および江蘇南部で豪雨が予想されています。これらの地域の一部では「極端な降雨」が見込まれています。

(翻訳・吉原木子)