ウイグル人の漢民族への憎しみの根源

 近年、複数の国際メディアが中国共産党が新疆ウイグル自治区でウイグル人に対する大量虐殺を行ったと報じています。

 中国当局は「テロリストが政権の安定を脅かす」という理由で人々を逮捕し、数百万人が強制収容所に入れられています。新疆では洗脳、強制労働、暴行、さらには強姦や殺害といった残虐行為が日常的に発生しており、子どもたちさえもその被害から逃れることはできません。生存者によると、現在の新疆では「寡婦村(やもめ)」が至る所に見られます。

 ある記者が新疆でウイグル人が受けている迫害を調査する中で、ウイグル人の漢民族に対する憎悪は、主に中国共産党幹部や警察が漢民族の外見を持つからだということがわかりました。

 現在、中国共産党の弾圧は新疆の隅々にまで及んでいます。大都市では五歩ごとに警官が配置され、十歩ごとに監視亭があり、警察は5分以内に目標地点に到達し、迅速に対応することができるといいます。官製メディア「人民網」などは、武装警察は徒歩で巡回し、約15分ごとに特定の場所に現れ、毎回3~5分間公衆の視界内に留まり、8秒以内に銃を抜いて標的を撃つことができると報じました。

 新疆カシュガル地区公安局特殊警察支隊の副政治委員は、「我々は犯罪が行われたどんな場所でも1分以内に到達し、即座に攻撃することができる」と述べています。ウルムチ市反テロ弁公室の蒋永禄(しょう・えいろく)副主任は、「どんなに困難でも、攻撃で道を開く」と述べています。

 このように、ウイグル人を迫害しているのは漢民族全体ではなく、中国共産党当局であることは明らかです。実際、多くの漢民族の幹部や警察は、内心ではウイグル族の人々に好意的だといいます。

一人を逮捕するために村ごと抹殺

 最近、中国の退役軍人がソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」で、中国共産党によるウイグル人弾圧の内部情報を明かしました。

 新疆南部出身のこの情報提供者は安全のため「レオ(Leo)」と名乗りました。彼によると、事件が起きた村は新疆南部にあり、逮捕されたウイグル人は中国共産党に「テロリスト」として認定され、村に逃げ込みました。村民が当局の逮捕に協力しなかったため、当局は武装警察部隊を派遣して村を包囲し、夜間に戦車やブルドーザーを使って家屋や塚、洞窟などを破壊し、平地にしました。逃げようとした村民はすべて殺されました。当局は犯罪行為を隠蔽するために、村があった場所に木を植えました。それ以来、この村は人々の視界から消え去りました。

 恐怖心から、また地元の家族や親戚、友人の安全を考慮し、情報提供者は村民の名前や村の正確な名称、村の規模、人口などを明かしませんでした。そのため、外部からは村の地形や殺された村民の数および名前を確認することができません。しかし、情報提供者によると、町の行商人は包丁を箱やハンドル、人を鉄の鎖で縛っておくことが義務づけられており、包丁には持ち主の名前を刻印しなければならず、鎖から包丁を外すと逮捕される可能性があるといいます。

 その村が属する「鎮」では、「当局は人々が集まることを許さず、レストランで3人が一緒に食事をするだけでも逮捕される可能性がある」といいます。また、「警察はいつでも身分証や携帯電話をチェックすることができ、携帯電話から宗教的な情報や反中国共産党的な内容が見つかれば、その場で逮捕され最終的には新疆の強制収容所に送られる」とのことです。

外国メディア「中国共産党のウイグル人に対する血なまぐさい迫害」

 CNNは2021年10月に「サイコパスもいる: 亡命中国人警官、ウイグル人に対する拷問の実態を明かす」という記事を掲載しました。この亡命した元警察官の告発によると、襲撃は通常深夜に始まり、数百人の武装警察がウイグル人の居住区を一戸一戸捜索し、人々に手錠をかけ、頭巾をかぶせて引き摺り出し、抵抗すれば射殺すると脅すといいます。元警察官はCNNの取材に対し、「一晩で彼らを全員強制連行した」と述べました。

 また、あるジャーナリストは、新疆で働く35歳の女性幹部にインタビューしました。税務部門に勤めているこの女性によると、「幹部はウイグル人家庭を訪問するよう命じられており、特にその家庭に男性がいない場合、男性幹部は女性住人と一緒に食事をし、同じベッドで寝ることがよくある」「訪問に行かなかった幹部は、勤務時間外でも電話で呼び出され、私たちは仕事ではなく事務所で株取引やゲームをしていても、幹部が視察に来たときには事務所にいなければならなかった。 私たちの部署では誰もが落ち込んでいて、うつ病を抱えている」とのことです。

 強制収容所から釈放された後、国外に逃れたある男性によると、彼は陳全国が新疆ウイグル自治区の共産党委員会書記を務めていた時期に強制教育所に収容されました。そこで当局は彼らにいわゆる「暴力的テロリスト」を知っていると認めるよう強制し、知らないと言えば残酷な暴行を加えました。陳全国は法輪功学習者を直接迫害したことがあり、強制収容所でウイグル人が受けている拷問は、法輪功学習者への拷問手段をそのままコピーしたものです。拷問には、「タイガーベンチ」「飛行機」「吊し上げて殴打」「ベンチに縛り付けての洗脳」「強制灌食」「鉄棒で口をこじ開けて全ての歯を折る」「電気棒で生殖器を電撃する」といった手段が含まれています。被害者が暴力的テロリストを知っていると認めるまで拷問は続きます。

 CNNに情報提供した元警察官によると、中国共産党は中国の各地から15万人の警察官を募集して新疆に送り込みました。彼自身も新疆で勤務している間、給与やその他の手当を2倍受け取っていたといいます。この元警官は、自身が逮捕に関与した数百人のウイグル人の中には「犯罪者は誰もいなかった。彼らはみな普通の人々だった」と述べています。

 この元警官によると、警察官の間では、ウイグル人やその他の少数民族が1年間に90万人も拘束されているというのがほぼ共通の認識だったといいます。当局のこの一連の慣行に抵抗すれば、警察官であっても逮捕されることになるとのことです。

(翻訳・銀河)