米国のエコノミスト、ミルトン・エズラティ(Milton Ezrati)氏が6月5日、「エポックタイムズ(大紀元時報)」英字紙で掲載した記事で、日本企業が中国経済の将来に対する信頼を急速に失い、多くの企業が中国への投資を削減または停止していると述べました。
エズラティ氏は記事の中で、かつては中国への主要な投資源であり、中国ビジネスの支持者であった日本企業が、今や過去の熱意を捨ててしまったと述べました。日本商工会議所が今年実施した大規模な調査では、そのメンバーの中でますます多くの人が今年残りの期間おびそれ以降に中国の経済状況が悪化すると考えています。それに、この見解の変化は突然のものでした。今年の1月には、中国経済が弱体化していると考えている人は約39%に過ぎませんでした。これは決して少ない数字ではないが、3月から4月の調査で過半数が否定的な見解を持っているのに比べると相対的に少ないと言えます。ほぼ4分の1の回答者が中国への投資を減らすと答え、さらに4分の1の回答者が中国に一切投資しないと答えました。投資を増やす予定の回答者はわずか16%でした。
中国当局は現在、経済を再び軌道に乗せ、米国や増え続けるヨーロッパ諸国との対立に対処するために苦闘しています。このような状況下、日本の商業界や投資家の中国に対する態度の変化は、間違いなく中国当局にとって頭痛の種となるでしょう。
日本の商業界の対中態度の変化は、日本を他の西側諸国の対中姿勢と一致するようにさせました。現在、米国や欧州連合(EU)の企業は、中国での投資収益にほとんど信頼を失っています。新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)のパンデミック中のサプライチェーンの中断や混乱、およびその後の中国共産党の「ダイナミックゼロコロナ」政策による隔離・封鎖が、多くの西側企業にとって最善の選択肢はサプライチェーンを多様化し、中国から他のアジア諸国へシフトすることだと思い至らせました。
2020年から、多くの外資系企業が中国を離れ始めました。日本政府は2020年に、中国で操業する工場などを閉鎖し生産拠点を日本に回帰させる企業に対し、費用の一部を支援する内容で、約2400億円の予算が充てられました。当時、中国にある1700社以上の日本企業が政府に申請を提出しました。
外資系企業が中国から大量に撤退することで、中国の輸出貿易額が大幅に減少し、中国国内の経済活力が低下し、大量の雇用機会が失われました。
中国メディア「財新網」は2023年7月21日、北京大学の張丹丹準教授の分析記事「過小評価される可能性のある若者失業率」を掲載しました。記事によると、「躺平(タンピン)」や「ニート」で働いていない1600万人を計算に入れると、3月の中国の若年失業率は46.5%に達する可能性があり、若者の約2人に1人が失業することになるでしょう。
また、中国経済の成長が依存する外資の流入も大幅に減少しています。
中国国家外貨管理局(SAFE)が2月18日に発表したデータによると、昨年の中国の国際収支における直接投資の増加額は330億ドルで、2022年の増加額と比較して82%減少し、1993年以来の最低水準となりました。昨年、日本企業による新規投資は過去10年間で最も少なく、日本の新規海外投資のうち中国本土への投資はわずか2.2%でした。日本政府が今月初めに公表したデータによると、これはベトナムやインドへの投資を下回るばかりか、オーストラリアへの投資の4分の1にも満たない水準です。
西側諸国は中国に対するビジネス上の信頼を失っただけでなく、中国共産党の「戦狼外交」や商品ダンピングに直面した西側諸国の政府も、中国共産党に対する態度を根本的に変えました。
バイデン米大統領は3月7日夜(日本時間8日午前)、連邦議会の上下両院合同会議で内政・外交方針を示す現任期中の最後の一般教書演説を行いました。演説の中で、バイデン大統領は、中国との衝突は望んでいないと主張したものの、中国をアメリカの競争相手と見なしていることを明確にしました。
バイデン大統領は、現任期中にドナルド・トランプ前大統領が2018年と2019年に中国輸入品に課した関税を引き継いだだけでなく、それらの関税を拡大し、最近では中国製の電気自動車、バッテリー、ソーラーパネル、コンピューターチップなどの関税を引き上げました。
欧州連合はすでに中国電気自動車の反ダンピング調査を終え、暫定的な税率(暫定税率)の徴収を開始しました。ラジオ・フランス・アンテルナショナルの6月4日の報道によると、EU当局は6月3日に中国自動車メーカーに対し、欧州委員会が7月4日から中国製電気自動車に暫定関税を課す予定であることを伝えました。また、7月4日以降、欧州委員会は加盟国と協議し、暫定関税を恒久的なものにするための4か月の期間を持つことになります。
欧州委員会は昨年9月にこの調査の開始を発表しました。当時、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は、大量の中国製電気自動車が欧州に流入したことで、10年前に欧州の太陽エネルギー産業がほぼ完全に壊滅されたように、欧州大陸の自動車産業も破壊される恐れがあると警告しました。
一方で、日本政府は関税やその他の反貿易措置に関しては控えめな態度をとっているが、別の形で中国当局に対する不信感を示しています。この不信感の根源は、数年前に中国当局が日本へのレアアースの供給を打ち切ったことにさかのぼります。当時、中国当局は、日本政府が東シナ海の島々に対する領有権を放棄しないことに憤慨していました。日本政府はこれに対し、G7内でレアアース鉱床の開発に努めました。
もちろん、日本などの他国の商業界の悲観や、各国政府の対中対抗策に比べて、中国当局自身が直面する国内経済や財政問題はさらに深刻です。現在、中国当局は巨大な不動産危機に直面しています。中国当局が最近、巨額の資金を投入して空き家処理の計画を打ち出したが、国民の反応は冷淡でした。中国国民は将来への希望を失い、消費意欲が低下しており、その大多数の中国国民は実際、手元に消費できるお金がないのです。
中国国家発展改革委員会の下部機関が2023年12月に公表した「中国収入分配年次報告2021」によると、中国で月収2000元(約4万円)以下の人口は9億6400万人に達しています。
中国社会の富裕層である民間企業家たちも苦境に立たされています。十分な注文を受けられないため、廃業する企業が大量に増え、まだ事業を継続できている企業も投資を削減し、従業員を解雇しています。
中国のあるネットユーザーは、「今年は過去10年で最悪の年だが、おそらく今後10年で最良の年でもあるだろう」と述べました。
(翻訳・藍彧)