台湾の立法院で対立を引き起こした国会職権関連法改正案は28日、立法院院会(国会本会議)で可決されました。当日、雨が降っていたにもかかわらず、立法院の周辺には約50の市民団体が主導した「青鳥行動」に応じた多くの市民が集まり、国会の権力乱用に抗議しました。夕方には、抗議者の数は3万人に達しました。

 聯華電子の創業者である曹興誠氏は夕方に現場に訪れ、台湾の国会はネズミに汚染されたスープだと表現しました。彼はこう言いました。「このネズミは誰かと言うと、4月27日に北京で王滬寧に会った傅崐萁(ふ‧こんき)と16人の国民党立法委員です。王滬寧の主な任務は統戦です。統戦とは何かと言うと、中共がいわゆる次要の敵と協力して主要の敵を攻撃することです。今日の中共の主要な敵は誰かと言うと、私たちです。私たちとは、中国と台湾が互いに隷属しないことを主張し、民主と自由を維持する人々のことです。だから彼は傅崐萁と協力して私たちを打倒しようとしています。私たちを打倒するために国会に入り、私たちを麻痺させ、混乱させようとしているのです。」

 台湾中央研究院の学者である吳叡人(ご・えいじん)氏は5月24日に立法院の外で講演を行い、「(立法院の混乱は)実質的には国民党と民衆党が立法権を利用してクーデターを起こし、大統領の行政権と独立司法権を架空にし、台湾の国会を中共の代理人にしようとしています。これは過去20年間、台湾危機の最新の形です」と述べました。

 元弁護士の頼建平(らい・けんへい)氏は「今回の改正で、立法院は捜査権を拡大し、国会侮辱罪を追加しました。これにより国会は監察部門であると同時に刑事部門でもあり、最終的には裁判官にもなり、何の拘束も受けない権力になりました」と述べました。同氏はまた、「これは非常に危険で、重大な違憲です」と強調しました。

 カナダの華僑作家の盛雪(せい・せつ)氏も今回の台湾立法院の混乱の背後には中国共産党(以下、中共)の影があると考えています。「これまでの数年間、国民党と民衆党の主要なリーダーたちは、中共との癒着や台湾を売り渡す行為が多く見られてきました」と述べています。

 今回の改正案では、内容が議論を引き起こしただけでなく、審議過程も「ブラックボックス操作」と批判されました。審議段階では、与党の民進党が発言権を奪われました。

野党の支持率は大幅に低下
 台湾メディア「美麗島電子報」は1~2ヶ月ごとに国政調査を実施しており、5月21日~23日に行った最新の調査によると、国民党と民衆党が立法院で物議を醸す法案を強行可決したため、両党への好感度が低下し、反感度が大幅に上昇しました。一方、与党の民進党への好感度は上昇し、反感度は低下しました。

 驚くべきことに、国民党の台北市での反感度は7%上昇し、高雄地区では25.3%も上昇しました。

 民衆党の支持者は主に20~29歳の若い有権者で、彼らの民衆党に対する反感度は14%も増加し、好感度は12.9%減少しました。

 これらの調査結果は24日に立法院に10万人が集まる前のもので、多くの台湾メディアは次回の調査で国民党と民衆党がさらに大きな打撃を受けると予想しています。

台湾は次の香港になるのか?
 今回の改正案の影響を受け、多くの人々は台湾の民主制度が破壊されるのではないかと心配しています。

 盛雪氏は「もし彼らが立法院の民主的な構造と民主的なメカニズムを利用して、中共の台湾への浸透、崩壊、操作を実現するならば、台湾は非常に危険な状態にあると言えます。直接的に影響を受けるのは台湾の国家安全です」と述べています。

 多くの人々は台湾が次の香港になるのではないかと懸念しています。

 吳叡人氏は28日に立法院の外で、希望之声の記者のインタビューを受けて、台湾が次の香港になることはないと断言しました。

 彼は「台湾は香港とは違います。現在、国民党を中心としたこの一部の政治家たちは、台湾の国家としての認識において、主流社会との間にギャップがありますが、台湾社会全体は国家認識において一致しています。これは社会の基盤です。また、我々の体制には三権分立がありますので、国会でのわずかな多数派が、国家体制を覆すことはできません。私たちには行政権と司法権があり、さらに強力な市民社会があります。この市民社会は国会内のわずかな多数派が台湾の国家体制を覆すことを許しません。そしてもう一つ重要なのは、我々は国際民主連盟の一員であり、国際的な民主主義の友人たちが台湾の民主主義の発展に注目し、台湾を保護しているのです。内外の圧力の下で、この親中(共)派が行動を起こすのは難しく、計画があっても実現できず、中途半端に終わるでしょう」と述べました。

米国と日本の支持
 台湾国会が混乱している一方で、23~24日、中国当局は台湾を取り囲む海空軍演習を行い、再び台湾海峡の緊張を高めました。

 米国連邦議会下院外交委員会のマイケル・マッコール(Michael McCaul)委員長は27日に賴清徳総統と会談し、米国議会の両党が「この美しい島を強く支持している」と述べました。マッコール氏は中国の威圧的な軍事演習を非難し、「すべての民主主義国家は団結して、侵略と暴政に反対しなければなりません」と語りました。

 マッコール氏は、アメリカの「台湾関系法」には、台湾に対する防衛兵器の提供、平和的な方法で台湾の将来を決定すること、そして台湾が外部からの侵略に十分な抑止力を構築することが含まれています。これらは米国が引き続き堅持するものだと強調しました。

 バイデン米大統領は25日にウェストポイントの卒業式で、「我々の国家、同盟国、そして我々の核心的利益を守るために、必要であれば常に武力を行使する用意があります」と述べました。

 林芳正内閣官房長官は、中国軍の演習の初日に公開声明を出し、北京に対して「直接かつ明確に」台湾海峡の平和と安定の重要性を伝えました。

(翻訳・吉原木子)