スマートフォンは、現代社会の人々にとって欠かせないアイテムとなり、仕事においても生活においてもほとんどの人にとって離れられない存在となっています。スマートフォンへの依存が高まるにつれ、使用時間も長くなり、目に優しいと謳う「ダークモード(Dark Mode)」が流行し始めています。パソコンのブラウザーやスマートフォンのOS、アプリなど、ソフトウェアの開発者はこぞって「ダークモード」をユーザー向けの設定オプションとして提供しています。しかし、「ダークモード」は本当に目を守ることができるのでしょうか?
Android 10のデベロッパーガイドファイルでは、「ダークモード」のメリットを挙げています。その中には、(1)電力使用量を大幅に削減できる、(2)明るい光に敏感なユーザーにとって、画面の見やすさが向上する、(3)すべてのユーザーにとって、暗い場所でのデバイスの使いやすさが向上する、という3つのことを強調しています。これらのメリットの中で、バッテリー消費の抑制は「ダークモード」の最大のメリットと言えるかもしれません。「ダークモード」で動画を見ると、通常モードと比べて、バッテリーの消費量を43%節約でき、バッテリーの持ち時間を延ばすことができることが分かりました。しかし、メーカーが「ダークモード」の良さを強調し続けても、この機能には他の懸念点も存在しています。
スマートフォンはブルーライトを発生させますが、目がブルーライトを浴びると、疲れやすくなると同時に、睡眠を助けるホルモンであるメラトニンの生成を抑制し、生活のリズムを乱してしまいます。「ダークモード」はブルーライトの放出を減らすことで、目の疲れを軽減できるとされていますが、残念ながら、現時点では、「ダークモード」でのブルーライトの減少が目の保護に顕著な効果を示した研究はありません。
ブルーライトに比べて、デジタル製品の光にさらされる時間とスクリーンの明るさは、ユーザーの目に与える影響がより大きいことがわかりました。Googleなどのメーカーは「ダークモード」を使えば、暗い環境でもスマートフォンを快適に読むことができると主張していますが、だからといって「ダークモード」が目を守れるわけではありません。
ある研究によると、暗い環境で「ダークモード」を使用すると、瞳孔が大きくなり、「ライトモード」よりも目にダメージを与える可能性があるということです。その理由は、明るい背景に黒いテキストを見るときに瞳孔が収縮し、集中力と視認性の向上に寄与するからです。一方、暗い背景に変わると、目に入る光の量が少ないため瞳孔が開きます。これが集中力の低下につながり、読むのにかかる時間が長くなります。これは特に乱視のある人には起こりやすい現象です。
このため、「ダークモード」で長時間スマートフォンを使用する場合は、よりこまめに目を休ませると良いでしょう。また、「ダークモード」を日没後に有効に設定しておけば、「ダークモード」のメリットを保ちながら、目にダメージを与えるリスクを減らすこともできます。
(翻訳・心静)