2024年5月1日、広東省梅龍(ばいりゅう)高速道路で深刻な崩落事故が発生し、少なくとも48名の命が奪われ、30名が負傷しました。この深刻な事故は、中国での高速道路急速拡張による品質問題を浮き彫りにしています。近年、中国のソーシャルメディアの発信者たちは、この頻繁に発生する高速道路事故の背後には、中国共産党(以下、中共)による大躍進式(中国における社会主義建設に関して,1956年の小躍進に対して,58年から60年前半期までに行われた大々的な建設運動をいう)のインフラ建設が原因であると指摘しています。今、その代償を支払う時が来ています。

 これは初めての高速道路崩壊事故ではありません。中国の高速道路の歴史は比較的短いものの、崩壊事故は頻繁に発生しています。中国最初の高速道路である滬嘉(こか)高速道路は1988年に開通しましたが、2006年には崩壊事故が発生しました。同年、建設からわずか10年の石太(せきたい)高速道路でも大規模な崩壊が発生しました。次の年には、最も利益を生むとされる全長4500万キロメートルの広深(こうしん)高速道路が運営開始から10年後に大規模な崩壊を起こしました。

 それだけでなく、他の多くの高速道路でも問題が続出しています。2004年には、羅長(らちょう)高速道路が建設から2年後に大規模な崩壊を起こし、2011年には杭新景(こうしんけい)高速道路が建設から6年後に崩壊しました。2010年には京台(きょうだい)高速道路が建設された年に深刻な崩壊が発生し、衢州(くしゅう)区間で巨大な「穴」が現れました。2021年には、滬渝(こゆ)高速道路の湖北区間が建設から11年後に崩壊し、2019年には滬蓉(こよう)高速道路が建設から5年後にトンネル崩壊を起こし、2023年2月にも再び崩壊しました。2020年には、呼北(こほく)高速道路の広西区間が建設から7年後に崩壊し、2023年には恩広(おんこう)高速道路が建設から8年後に橋梁が崩壊しました。2016年には大広(だいこう)高速道路が建設からわずか1年後にトンネルが崩壊し、少なくとも2人が死亡しました。

 ある中国のブロガーはSNSで次のように述べています。
「梅龍高速の一度の事故で40〜50人の命が奪われました。この事故の責任者を徹底的に追及し、建設者から責任者まで誰一人として逃れられないようにすべきです」

 彼は、梅龍高速で発生した事故の根本的な原因は、中共による大躍進式の高速道路建設にあると指摘しました。
「中国の高速道路の総延長は約18万キロメートルに達し、地球を4周するほどの長さで、世界一です。1988年から2000年の間に5000キロメートルの高速道路を建設し、2000年から2010年の間にさらに5万キロメートルを建設し、2010年から2020年の10年間でさらに10万キロメートルを建設しました。そして2020年から現在までにさらに2万キロメートルが建設されました」

 これに対して、アメリカは最初の州際高速道路の建設から80年をかけて10万キロメートルを完成させましたが、中国はわずか12年で同じ距離を完成させました。

 「アメリカが80年かけて歩んだ道を、我々は12年で歩んだのです。ドイツは1万キロメートルの高速道路を建設するのに平均90年かかりましたが、我々はわずか1年半で建設しました」

 彼は「スピードの代償は品質であり、品質の代償は我々の命です」と述べました。

 このブロガーは現在最も緊急の課題は責任追及ではなく、高速道路の安全性を全面的に点検することだと強調しました。「高速道路建設に関与したすべての公務員、国有企業の職員、民間企業の職員は全員、連続100日間全国17万キロメートルの高速道路を全面的に点検するべきです。特に2010年から2020年に建設された10万キロメートルの高速道路を重点的に点検し、各トンネル、橋脚、コンクリートおよびアスファルトを細かく点検する必要があります。現在、大型連休中には数百万台の車がこれらの高速道路を走行しており、我々はもう一度梅龍高速の事故に対応する余裕はありません!」

 彼は交通運輸部に対し、新たな高速道路建設プロジェクトを即時停止するよう呼びかけました。「あなたたちは高速発展の恩恵を受けましたが、今こそその代償を支払う時です」

 しかし、当局はこのブロガーの呼びかけに応じていないようです。広東省当局は4日、会議を開き、梅龍高速の事故原因を天災に帰しています。会議では、最近全省で歴史的に稀な持続的な降雨が発生し、土壌の含水量が高度に飽和し、山崩れや路面崩壊などの地質災害が非常に起こりやすくなっていると指摘しました。また、大型連休中に人流や車両の流れが高度に集中し、災害リスクが増大しているとも述べています。しかしながら、会議の通報には高速道路建設の品質問題についての言及は一切ありませんでした。

 当局の対応に多くの人々はもう慣れています。中共当局は高速道路建設の品質問題に触れることを恐れているのです。なぜなら、中国の高速道路の背後には巨大な汚職の連鎖が隠されているからです。高速道路の建設には、プロジェクトの作成、投資、融資、工事請負、検査、運営などの関連する各段階で深刻な汚職が存在しています。

 佛山市検察院が発表した年間職務犯罪取り締まりおよび予防報告によると、2010年から2012年の間に江肇(こうちょう)高速道路の高明(こうめい)区間に関連する案件で25件の職務犯罪案件が立件され、計30人が調査されました。この区間の全長はわずか24キロメートルであり、平均すると1キロメートルごとに1人の汚職が発生していることになります。さらに驚くべきことに、多くの地方では高速道路の汚職案件が頻発しており、例えば河南省では歴代4人の交通庁長が失脚し、雲南省と貴州省でもそれぞれ3人の交通庁長または副庁長が調査されています。2014年、貴州省の元交通庁長である程孟仁(てい・もうじん)は収賄罪で無期懲役の判決を受けました。それ以前に、湖南省高速道路管理局の元局長である馮偉林(ふう・いりん)は収賄額が4000万元以上にのぼり、無期懲役を言い渡されました。

 以上のことから、中国の高速道路事故の頻発は、建設品質の問題だけでなく、深刻な汚職問題が原因であることがわかります。しかし、中共の支配下で腐敗官僚が横行している限り、汚職を根絶することは不可能です。中共の集権統治を解体し、公正で透明な社会体制を構築することが、中国の一連の悲惨な事故を防ぐために必要です。

(翻訳・吉原木子)