中国の不動産市場は低迷が続き、住宅物件の価格は下落の一途を辿っています。最近、ある北京市民が自身の家を売却した後、別の住宅を購入した体験を通じて、ここ1年間の北京の不動産価格がどれほど急落したかを語りました。
中国当局の救済策が大失敗、成約価格が昨年より100万円下落
北京に住む女性ネットユーザー、「藍猫美窩(以下、藍さん)」は3月9日、1年前に北京市豊台区にある60平方メートルの家を売却した後、北京市房山区で89平方メートルの住宅を購入したことを投稿しました。藍さんは最近、中国最大級の不動産仲介会社「貝殻找房(ベイカージャオファン、KE Holdings)」で確認したところ、「1年前に売却した住宅と同じ団地で、同じ面積、同じ間取りの物件価格が、なんと昨年の売却価格から20万元(約400万円)も値下げされている」と述べました。
値下げに驚いた藍さんは次のように語りました。「私は驚いて、今住んでいる家を購入した際に利用した不動産業者に、房山区の住宅価格はどうなっているかを確認した。私が購入した第1区の団地物件はそれほど値下げしていなかったが、隣接する第2区は立地が悪いため、値下がりが特に激しいとの返答があった。(中国の大手不動産)万科(チャイナ・バンケ)の物件でさえ免れなかった。今年2月に成約された95平方メートルの住宅物件は396万元(約7900万円)で、昨年の上半期に同じ間取りの成約価格が490万元(約9800万円)だったのに比べて、約100万元(約2000万円)も下落している!」
「めちゃ驚いた!本当に唖然だ!わずか1年で、住宅物件の価格が滑り台のように下がり続けるなんて!」
藍さんは、「私を困惑させるのは、(中国)政府が昨年から不動産市場を救済するために、頭金を下げたり、金利を下げたり、仲介手数料を下げたりするなど、さまざまな措置を講じてきたのにもかかわらず、なぜ住宅物件の価格が下がり続けているのか?」と疑問を呈しました。
中国中央銀行の利下げが、北京物件の大量投げ売りの引き金となった
今年2月20日、中国の中央銀行が大幅な利下げを実施しました。
藍さんは、この利下げ策が逆効果となり、北京の不動産市場に大きな影響を与えたと述べました。「この利下げ策は予想外だったが、この朗報は物件の買い手を引きつけるどころか、逆に売り手の熱意を掻き立てた。中国の旧正月が過ぎると、北京の中古物件の掲載数は一気に14万戸を超え、バックエンドのデータではすでに17万戸を超えたと言われている。こんなに多くの人たちが必死に家を売っているが、買い手はほとんど現れない。住宅の取引がほぼ停滞する状態で、成約件数も激減している。期待されていた不動産市場の復活が見られず、むしろ余計に冷え込んでいる」
北京の住宅価格が崩壊した起因
中国の旧正月が過ぎた後、北京の西羅園(シロユアン)団地が注目を集めました。この団地は天安門広場からわずか5キロメートル、天壇公園からわずか2キロメートルの場所に位置しています。最近、この団地で106平方メートルの3LDKの住宅が、1平方メートルあたり3万7000元(約74万円)で成約されたことが報告されました。
藍さんは、「この売り手は本当にすごい!団地の平均価格が1平方メートルあたり5万元(約100万円)の物件価格を崩壊させたのだ。2021年の最高値に比べ、価格が40%下落した」と述べました。
北京市政府は2021年、離婚前に2つ以上の住宅を所有している家庭に対して、離婚日から3年以内、どちらの当事者も北京での住宅購入が禁止されるという規定を発表しました。しかし、2024年3月27日、北京市政府はこの規定を廃止すると発表しました。これは、最近の北京の住宅価格が急速に下落していることと関連している可能性が高いです。
昨年末には直接100万元(約2000万円)を値切る買い手が出ましたが、今では200万元(約4000万円)を値切る買い手も現れました。
多くの不動産仲介は、現在の市場では供給が需要を上回り、買い手が多くの選択肢を持っているため、数百万元の値下げを要求する現象が北京の不動産市場でますます蔓延するだろうと述べました。一方、強気になれない売り手はプレッシャーを感じているが、彼らは住宅物件を一刻も早く売却して現金化することを切望しています。
この動画を投稿した女性は、友人に同行して中古の住宅物件を内覧してから次のように述べました。
「本当に驚いた!私は今、友人と一緒に(北京市朝陽区)望京エリアの中古住宅物件を見てきた。友人がその物件を見て、まさか一気に200万元(約4000万円)も値切るとは思わなかった。家主がその値切りを聞いて怒って殴りかかってくるじゃないかと思ったが、家主は驚くほど冷静に『現在の市場状況では、買い手の申し出は理解できる。誠意があって本当に買いたいなら、それは相談できないことはない』と言ったのだ!」
北京市朝陽区建国路、中国伝媒大学の隣、長安街の延長線沿いの住宅物件は、2021年に1平方メートル当たり5.8万元(約116万円)で売られていたが、現在は1平方メートル当たり3.8万元(約76万円)に値下げされ、価格は30%下がりました。
また、北京のあるマンション物件は、2018年に1平方メートル当たり3.8万元(約76万円)で販売され、2023年末に1平方メートル当たり2.2万元(約40万円)に値下げされたが、現在では1平方メートル当たり1.9万元(約38万円)で、半額で投げ売りされています。
ネットユーザーは「あまりにも刺激的!」と驚くだけでなく、「住宅物件の価格が信じられないほど下落しているので、誰に理屈を言えばいいのか?」と嘆いています。
中国の複数のメディアは、北京の不動産市場では、買い手が圧倒的に強気となっていると報じられています。一部の不動産仲介スタッフは、北京の中古物件の成約価格が掲示価格より100万元(約2000万円)、あるいは200万元(約4000万円)安く売られるのがすでに一般的になっていると語りました。同じ団地で同じ間取りの住宅物件が半年で100万元下落する例も珍しくありません。買い手は売り手に対して、「今後の価格動向はおそらくさらに下落する可能性が高いし、特に古くて狭い物件、たとえ学区の物件であっても、今後はますます売れにくくなるだろう」と言うのです。
統計データによると、2023年、中国全国の各大都市の平均住宅価格が持続的に下落し、下落率はここ数年で最高水準までに落ち込んでいます。一線や二線の都市だけでなく、三線、四線の都市でも住宅価格の下落が見られています。このような全般的な下落現象は歴史上には珍しいものであり、市場が大きな変化していることを示しています。
(翻訳・藍彧)