中国では近年、結納金が熱い話題となっています。若いカップルが結納金を巡ってもめたり、結納金について、合意に達せず、結婚できなかったりすることもあります。2021年に2006人を対象に実施した社会調査によると、回答者の81.0%が結納金で合意に達せず、不和になる結婚予定のカップルが身の回りにいると述べました。
中国では、婚姻の約束が成立した時、お互いに結納金と嫁入り道具を交換する習慣があります。結納金と嫁入り道具の本来の意味は、長老が新婚の夫婦に祝福と金銭的支援を与えることです。
近年、中国の経済発展に伴い、結納金も上昇しています。2000年代以降、一人っ子政策や男尊女卑といった伝統的な観念のために、中国の出生性別比が不均衡になり、女児の死亡率が男児よりも高くなったため、結婚適齢期の女性が男性よりもはるかに少なくなっています。男性は強い圧力に直面しています。個人や家族は高額な結納金を支払わなければなりません。
例えば、中国の江西省は農業を主とする人口の多い省です。一人っ子政策の影響で、江西省では男女比の深刻な不均衡が生じ、男性人口は女性人口よりはるかに多いです。これにより、女性側はより高い結納金を要求することができ、男性側は結婚するために、女性側の要求をのまなければなりません。江西省の一部の地域では、結納金が数万元、場合によっては数十万元に達すると言われています。これは一般の農民にとって、非常に膨大な金額です。男性側の中には、結納金のために、親戚や友人からお金を借りたり、家や土地を売ったりしなければならない人もいます。これにより、彼らは重い借金を背負い、結婚後の生活も困難になります。
これは、結婚を約束した新郎新婦の両家族が、結納金について実際に話し合っている動画です。
動画から感じ取れるように、この父親は確かに誠意を持って、息子の結婚相手の家族と交渉しています。まず地元の結納金の標準を説明し、その後、地元で最高の標準に達する結納金を提供すると表明しました。一連の交渉の後、最終的に結納金は19万8千元に決まりました。しかし、この父親が先に3万円だけを贈ることができるかと尋ねたとき、女性側の家族は一斉に沈黙しました。さらに、結婚相手の母親はその話を聞いてただちに頭を振りました。この光景を見た父親はすぐに借用書を書くことを提案し、必ず約束通りの結納金を贈ることを表明しました。この動画を見た多くのネットユーザーは、「すごい侮辱感を感じた。結婚のために一方が自己の尊厳を放棄する必要があるとは思わなかった」とコメントしました。
一方、中国独特の面子文化も結納金の価格に影響を与えています。一部の女性側の家族にとって、結納金の多寡は男性側の財力と誠意を示すものだけではなく、自家の面子をも代表しています。
例えば、河南省の一部の地域では、結納金は女性側の家族の名誉と面子と見なされています。そのため、女性側は非常に高い結納金を要求しています。面子と名誉に関わると、男性側は値下げすることができなくなります。女性側の要求を飲まないと、誠意がないとか、能力がないと思われてしまいます。河南省の一部の地域では、結納金が数百万元に達することも言われています。これは一般のサラリーマンにとって、手に負えない数字です。そのため、多くの人は重い借金を背負っています。これは、新しい家族ができる前に、すでに重い借金を背負っていることを意味します。
高額な結納金に対して、多くの若いカップルは結婚に踏み出せずにいます。これに対して、一部のネットユーザーは、「中国では、愛情はお金に勝てない」、「結納金の本来の目的は新婚家庭への金銭的な援助なのに、なぜ最終的には女性側の家族が娘を売るようなことになったのだろう」とコメントしました。
このような社会環境の下では、多くの中国の女性が依然として、結婚において物質的な条件を過度に重視すべきではなく、もしより良い生活を望むなら、それは二人が共に努力すればいいと考えています。しかし、同時に、多くの人々が影響を受けており、結納金は結婚における非常に重要な要素の一つだと考えています。結納金は男性が自分の誠実さと経済力を示す手段であると同時に、女性の「価値」を高め、男性の家に嫁いだ後でより多くの発言権を持つことができるようにするものです。
(編集/翻訳・吉原木子)