中国では1991年から中国中央電視台(CCTV)が「315特番」という特別番組を放送しています。この番組は消費者の権利を高く掲げ、中国の政府機関と協力して、消費者の権利を侵害する事例や企業を取り上げています。今年の「315特番」では、中国人に愛されている2つの食品「梅菜扣肉(メイツァイコウロウ)」と「でんぷんソーセージ」に深刻な食品安全問題があることを暴露しました。これにより、不名誉な中国産食品が再び炎上しました。

 梅菜扣肉は、中国の伝統的な美味しい料理で、豚バラ肉を煮て、醤油で色をつけ、揚げた後、スライスして、ネギや生姜などの調味料を加えて炒め、少量のスープで煮込みます。最後に、肉をボウルに戻し、上に広東省梅州地区で作られる漬物「梅菜」を乗せ、元のスープを加えて蒸します。肉は柔らかく、香りが良く、適度な塩辛さの中にわずかな甘さが感じられ、脂っこくなく美味しいです。

 梅菜扣肉は多くの人に愛されているため、近年では半調理品として製造されるようになりました。安徽省阜陽市はその主要な製造地の一つで、地元には約60社の半調理品「梅菜扣肉」を製造する企業が存在します。

 中国中央電視台の報道によると、地元の一部の製造企業が、厳格に処理されていない豚肉を原料として使用しているとのことです。これらの企業は主に豚の頭と胴体をつなぐ部位の肉を使用しており、この部位は多くのリンパ節、脂肪腫、甲状腺を含むため、厳格な処理が必要です。品質が劣るが価格が低いため、リンパ肉とも呼ばれています。

 3月15日の報道によると、通常のバラ肉の卸売価格は1㎏あたり24元(約518円)程度ですが、厳格に処理されていないリンパ肉の卸売価格は1㎏あたりわずか6元(約125円)程度です。記者が現地の冷凍品市場を数か所訪れた際、多くの店主が、処理が不十分なリンパ肉を使用して、半調理品の「梅菜扣肉」を作ることは、既に公然の秘密であると明かしました。

 店主の案内に従い、記者は阜陽市颍州経済開発区に位置する春天食品有限公司を訪れました。工場の近くでは、空気中に濃厚なスパイスの香りが漂っていました。

 工場の外から観察すると、この会社の製造現場は極めて「怪しげ」で、一階の工場には厚いカーテンがかけられていました。二階の工場の窓ガラスにも、視界を遮るステッカーが貼られていました。外からでは、製造状況を全く確認できませんでした。

 記者はバイヤーとして、同社の販売担当である楊マネージャーに接触しました。何度かの交渉の後、記者はついに楊マネージャーの信頼を得て、何の消毒措置も行わずに、同社で最も核心的で、秘密度が最も高い製造現場に入ることができました。製造現場では、リンパ肉を使用して作られたばかりの熟肉製品が数多く並べられていました。量と外見を保証するため、作業員はリンパ節と甲状腺を完全に除去しておらず、このような肉が同社の半調理品の「梅菜扣肉」の原料として使用されています。

 この現象は例外ではありません。別の半調理品の「梅菜扣肉」を製造する工場も取材した際、その工場が製造する梅菜扣肉にもリンパ肉が原料として使用されていることが判明しました。その工場の責任者は、甲状腺を含む肉を調理した後、味と通常の豚肉との差はないと述べました。

 記者がこれらの肉を食べることによる人体への影響について尋ねた際、その工場の責任者は、自分はこれらの肉を食べないと率直に答えました。

 梅菜扣肉以外にも、若者に人気の「でんぷんソーセージ」にも食品安全の問題があることが明らかになりました。でんぷんソーセージは、肉、水、でんぷん、砂糖、味の素、香辛料などを主原料とするスナックフードで、中国各地の屋台で販売されています。価格は2~3元/本(約40~60円)で、卸売市場では0.5-0.6元/本(約10円)ですが、製造コストはそれよりもさらに低くなります。

 市場で販売されているいくつかの人気のあるでんぷんソーセージを徹底的に調査した結果、これらの製品の主成分が肉ではなくでんぷんであることが判明しました。

 この現象は消費者の不安を引き起こしました。多くの人々がソーセージは主に肉で作られるべきだと考えているからです。しかし、実際には、多くのでんぷんソーセージの肉含有率は消費者の期待を大きく下回っています。

 河南省のでんぷんソーセージ製造工場の従業員は、「でんぷんソーセージには確かに肉が含まれていますが、非常に少量で、主に鶏骨泥(けいこつでい)(鶏の肉と骨をミキサーにかけたペースト)を使用しています。アヒルの場合はさらにコストを抑えることができます」と暴露しました。

 報道によると、鶏骨泥は主にペットフードに使用されており、人間には適さないとされています。鶏骨泥を使用する主な理由は、1㎏あたりわずか3~5元と、鶏肉よりもはるかに安価であるからです。

 中国農業大学食品科学・栄養工程学部の何計国准教授は、「鶏骨泥を正規の肉類の代わりに使用する行為は、偽物や劣悪品の混入と同じであり、その中の栄養素も人体に吸収されない」と述べました。

 特に中国人に愛されているこれら2つの食品が、深刻な食品安全問題に直面していることは憂慮すべき事態です。特にでんぷんソーセージは、学生から社会人まで多くの人々が学校や仕事の後に楽しむ人気のスナックです。あるネットユーザーは、自分がよく食べる食品が鶏骨泥で作られている可能性があると知り、「肉が含まれていなくても構わないし、全部でんぷんで作られていても構わないが、鶏骨泥が混ざっているとは夢にも思わなかった。これは本当に納得できない」と述べました。

(翻訳・吉原木子)