最近、中国の配達業界で導入された新規則が社会的に広く注目されています。この新規則では、配達員が勝手に荷物を置き場(配達サービスステーション)に置くことができず、顧客の要望に応じて配達しなければならなくなりました。この新規則は、各地の配達業界に大きな影響を及ぼし、多くの配達員が辞職の道を選びました。

 改訂された「配達市場管理法」が3月1日に正式に施行されました。これによりますと、配達企業は顧客の同意を得ずに、宅配ボックスや配達サービスステーションなどを利用して、荷物を配達するのは規則違反で、最高3万元の罰金が科せられるということです。

 「配達員が30分で完了していた配達が、現在は12時間もかかるようになった」、「新規則が導入されて2日後、多くの配達員が辞職した」といった話題が多くの人の注目を集めました。

 一部の配達員は、「かつて30分で配達していたものが、今は朝9時から夜9時まで働く必要があり、収入はわずか60元(約1200円)しか増えない。新規則の要求が厳しすぎて、仕事量が著しく増えた」と述べました。

 ここ十数年で、インターネットの発展に伴い、中国人のショッピング習慣は大きく変わりました。現在、ほとんどの人が物を買う際には、オンラインショッピングを選択しています。しかし、中国の人口が非常に多いため、京東(JD.com)や順豊(SF Express)などの少数の宅配会社を除き、多くの配達会社は宅配サービスを実現していません。一般的な配達方法は、配達会社は数キロ四方のエリアをカバーする配達サービスステーションを設置し、配達員がこのエリアの荷物を配達サービスステーションに集中して保管し、その後顧客が自分の荷物を配達サービスステーションから受け取るというものです。この方法は配達効率を高めるものの、一部の消費者から不満を買っています。

 3月1日に施行された新規則は、このような状況を一定程度回避できるものの、新たな問題も引き起こしました。配達員はより多くの時間と労力を費やさなければならなくなり、さらに、クレームがあると巨額の罰金を科されるリスクに直面しています。

 そのため、新規則が実施される前に、辞職を選ぶ配達員がすでに現れました。また、新規則施行後、配達員の利益がほとんど保護されず、発生した罰金を配達員が負担することになり、結果として配送員が相次いで辞職しています。

 中国メディアの報道によると、現在、一部の配達サービスステーションが正常に運営できなくなり、配達の滞りが発生しているとのことです。

(翻訳・吉原木子)