2018年2月10日、米国ワシントンに拠点を置く人権団体「人権・法律財団(Human Rights Law Foundation, HRLF)」は、中国で行われている非自発的な移植手術が行われていると発表した。病院側のみならず、中国共産党の幹部も関与しているとの見方を示した。
HRLFは「2000年以来、中華人民共和国は臓器調達と移植の産業化を国家主導で進めている」と声明を発表、「臓器移植産業化は移植技術の向上や免疫抑制剤産業の発展、医師・看護師に対する臨床研修の提供、そして臓器移植に関する基礎的な科学研究の発展を中国にもたらした。こうした発展は、移植手術実施件数の大幅な増加と歩調を一にした」と説明した。
中国の移植産業の発展が問題となっている理由について、同声明は「当時の中国には自発的に臓器を提供するドナーがほとんど存在しなかった。そのため、多くの人が生きたままドナーにされており、その供給源は囚人であった」と指摘した。
実は、中国政府は移植用臓器の供給源が死刑囚であることを長年否定し続けていた。2005年頃、中国政府関係者は一転してこれを認めた。しかし中国で一年間に行われる移植手術の件数は死刑の執行件数よりはるかに多く、親族間の提供によらない一般的なドナー制度が未整備の状態でどのように移植用臓器を入手するのかが疑問視されてきた。
これについてHRLFはいわゆる「良心の囚人」や思想犯が強制的に臓器提供元とされているのではないかと主張した。HRLFは声明において、「2000年以降、中国で死刑判決を言い渡された死刑囚の数は着実に減少している。一方、迫害を受けた法輪功学習者やウイグル人などの思想犯の数は急速に増えている。こうした囚人たちが臓器の供給源として利用され、中国の移植技術は急速に発展した。これには証拠もある」と主張した。
また、「こうした超法規的殺人は、人道に対する犯罪であり、国際法に違反しているのみならず、中国の憲法・刑法を葬り去る行為である」「HRLFは、これらの人道に対する犯罪に加担した者(臓器調達のため無実の中国国民を非合法に殺害した者)を国際的な制裁の対象とすることを要求する。また、人権侵害行為を明らかにするために努力する人々を支援する」と言明した。
HRLFは、中国共産党政権のインターネット検閲システム「金盾」を構築したシスコシステムズ社に対する訴訟に携わったほか、法輪功の迫害に関与した江沢民・元中国共産党総書記や他の中国共産党幹部に対する訴訟を提起、スペインの裁判所で勝利を収めている。
2016年に出版された書籍「Bloody Harvest / The Slaughter:The Update」(「中国臓器狩り」・アスペクト社)にもこれらの証拠は掲載されており、中国では毎年約6万〜10万回の移植が行われているとされる。また同書は、「臓器収奪の主な標的は法輪功学習者であり、その他にはウイグル人、チベット人、そして一部のクリスチャン(家庭教会の信者)も臓器を得るために殺害された」としている。
(翻訳・木村秀実)