中国には「すべてのものは太陽のもとで成長する」という諺があります。特に寒い冬には、暖かい太陽の光があるため、それほど寒さを感じなくなります。暖かさのほか、ビタミンDの「活性剤」としてカルシウムの吸収を促進することや、天然の「保険品」であることなど、太陽光は様々なメリットがあります。
 漢方医学によると、「冬陽の一寸も万金に値する」と言われます。冬は「閉蔵」といい、万物が納まり隠れる季節では、人体の陽気も隠れてしまいます。この季節では、太陽光を浴びることは鍼灸よりも効く「天灸」とも呼ばれ、健康保持に大きな利点があります。
 今回は、冬の日光浴の様々なメリットをご紹介します。

1、気分をよくする

 冬になると、胸のつかえ、イライラ感、不眠症に困る人は少なくありません。これらの症状は、日照時間の減少によって引き起こされる季節性情動障害です。
 一方、十分な日照があれば、体内のアドレナリン、サイロキシン、ゴナドトロピン産生レベルが上昇し、気分の落ち込みや抑うつ状態など、心理状態の悪化を改善することができます。

2、免疫力強化

 漢方医学によると、冬の日光浴は「陽気を補う」「正気を補う」効果があります。漢方医学で言う「採日精」とは、太陽光を採り、体内の清らかな陽気を発生させる健康促進法です。
 「陽気」とは、人体の臓腑機能が正常に作動する支えなのです。陽気が十分であれば、人体の免疫力も強化されることができます。

3、胃腸機能促進

 頻繁な下痢や腹痛に困る人は「脾虚(ひきょ)」、つまり胃腸の機能不調の可能性が高いと言われます。漢方医学によれば、冬の日光浴は胃腸機能を効果的に強くすることができます。背中、腰などの部位を重点として日光浴をすることで、小腸と膵臓の消化酵素の活性を高めることができると言われます。
 また、「太陽灸」という方法もあります。日光浴を浴びながら、ヘソ、「中脘(ちゅうかん)穴(みぞおちの骨の下端とヘソの中間点)」と「関元(かんげん)穴(へそから直下指4本分)」の三つのところを手でマッサージすることです。この方法は胃腸機能促進だけでなく、「宮寒(子宮の冷え)」にも効くと言われます。

4、近視眼予防

 冬の日照時間の短さは近視眼の原因の一つであることが、意外と多くの人に知られていません。日光はドーパミンの生成を促し、眼軸が伸びる(近視眼の成因)のを防ぐ効果があります。その結果、目に入った光にピントを合わせる際にピントが歪むのを防ぎ、近視のリスクを減らすことができます。

5、関節痛を和らぐ

 年を取ると「関節痛」や「足の冷え」に困る人は少なくありません。太陽光の中の赤外線は熱効果があり、日光浴をする時は局部の血液循環を促し、関節の炎症反応を減らすことができますので、関節痛を和らぐ効果が期待できます。

6、寒気を出す

 漢方では、「寒従脚起」といって「寒さ(冷え)は足下からやってくる」という考え方があり、足を冷やしてしまうと足だけではなく、経絡の陽気も損傷しやすくなるため、様々な疾患の原因になります。
 そこで、冬の日光浴で足に太陽光を積極的に浴びると、体内の寒気を出し、陽気を生むことができます。同時に「足三里(あしさんり)穴(膝蓋骨(膝のお皿)のすぐ下に内側、外側二つのくぼみ)」のマッサージをすれば、胃腸を整えるばかりでなく、老化防止と延命効果まで期待できると言われます。

7、骨を強くする

 カルシウムは、人体にとって必要不可欠な物質であり、その吸収にはビタミンDが必要です。ビタミンDの主な天然供給源は、日光を浴びることです。ビタミンDは体に吸収されると、カルシウムとリンの吸収を調整し、骨の成長と再形成を促進することができます。そのため、成長期にある若者も骨粗鬆症になりやすい高齢者も、屋外に出て活動し、日光を浴びることをお勧めします。

 以上、冬の日光浴の様々なメリットをご紹介しました。寒い冬の中、エアコンの暖房をつけて部屋の中に引きこもる傾向がありますが、エアコンによる乾燥が気持ち悪い暑さをもたらし、皮膚や粘膜のカサカサ感をもたらします。一方、日照時間の短い冬だからこそ、日光が浴びれる時間帯がより貴重ですので、短い日照時間をつかんで外に出て、太陽光を浴びて、免疫力を向上させるといいでしょう。
 ただし、体質・皮膚の状況によっては太陽光への耐性が異なりますので、ご自身の状況に沿って、適度な日光を浴びることをお勧めします。

(翻訳・常夏)