古代の建物には鉄筋コンクリートなどがありませんでしたが、いくつかのものを精製して使うと、レンガをしっかりと接着させて、頑丈な城壁を構築することができました。
四川省の北西部の高原に、有名な古城があります。この城壁は何百年も変わらず丈夫に立ち続けており、古城を支えてきました。しかし、その建築材料の一つは食用の「もち米」なのです。
この古城は「松潘古城」で、山の上に築かれ、標高2849.5m、城壁の長さ6.2km、高さ12.5m、厚さ12m以上もあり、レンガの重さは1個あたり30kgです。明の時代、四川省の北西部、兵家の争う要地に建設されました。城壁の長さ、高さ、厚さ、建物のレリーフアートなど、すべてが中国屈指のものです。
松潘古城には7つの門があり、門の基部にある大きな石にはさまざまな模様が刻まれており、独特の工夫が凝らされています。古城は金城鉄壁(きんじょうてっぺき)のようで、建築材料は厚い青いレンガで、レンガの接合部分にはもち米、石灰、桐油で作ったモルタルが使われています。
思いがけないことに、古代中国人は食用のもち米を建築材料として使用し、これほど頑丈な建物を建てたのです。これは一体どういうことなのでしょうか?
もち米は、紀元前221年の先秦時代から中国南部地方の重要な食料であり、北部では「江米(ジャンミー)」と呼ばれています。建築におけるもち米の使用は、約1,500年前の中国の南北朝時代、つまり紀元500年代まで遡ります。古代中国では、建設者がもち米を煮て、その混合物(スラリー)を三和土(タタキ)に注ぎ、均一に混ぜて「もち米モルタル」を作り、レンガ壁の接着に使用していました。その機能は今日のセメントコンクリートに似ています。
「もち米モルタル」は純粋な石灰モルタルよりも丈夫で耐水性があり、古代中国の建物を長持ちさせる重要な要素です。建設者はこの「もち米モルタル」を使って塔、城壁、住居を建てました。古代の建物の中には、ブルドーザーでもなかなか倒せないほど頑丈で、大地震にも耐えられるものもあります。
では、なぜ「もち米モルタル」で丈夫な建物を建てることができたのでしょうか?しかも、食用のもち米は長期間放置すると腐ってしまいますが、城壁はなぜ腐らないのでしょうか?
研究の結果、「もち米モルタル」は特殊な有機および無機合成材料であることが判明しました。その無機成分は炭酸カルシウム(石灰)で、有機成分は「アミロペクチン」です。「アミロペクチン」は、モルタルに加えられたもち米のスラリーから由来するものです。モルタル中のアミロペクチンは阻害剤として作用し、結晶の成長を制御する一方、緻密な微細構造を生成し、この微細構造がモルタルの強度を高めていると考えられています。さらに、炭酸カルシウム(石灰)の防腐効果により、でんぷんの腐敗を抑制し、モルタルを耐久性のあるものにすることができます。
このため、もち米は古代中国人が強固な城壁を築くために使用した「秘密材料」となったのです。
(文・米雅/翻訳・宴楽)