台湾で13日、総統選挙が行われ、民主進歩党(民進党)の賴清德氏と、蕭美琴氏が選挙に勝利し、中華民国の第16代総統と副総統になりました。中国共産党(以下、中共)当局は以前、賴清德が当選すると、台湾海峡での戦争をそれは意味すると脅していました。これに対し、一部の学者は、中共は自身の安全さえ保障されておらず、軍の士気が動揺し、民衆が覚醒し、大規模な抗議事件が次々発生し、さらに台湾の民主選挙は、中共政権に大きな衝撃を与えているため、中共は台湾に対する軍事行動は、行えないと指摘しました。
中共は台湾に対して 恐喝以外には何もできない
中共は民進党が選挙で勝利することを恐れて、選挙前に常に台湾の民衆に対して、「今回の選挙は、平和と戦争の選択だ」と脅していました。中共は台湾の選挙に干渉するために力を入れ、文攻武嚇(言葉で攻撃し武力で威嚇する)、虚偽情報の拡散、世論の操縦、軍用機で嫌がらせ、政治家の買収など、あらゆる手段を使いました。
台湾総統選挙の結果が出た後、北京の法学者である楊天寧(仮名)氏は、大紀元とのインタビューで、「中共は台湾の選挙に対して、実際には有効な手段を持っていない。中共はこれまで民間、学界、メディア界での浸透が激しかったが、実効性のある手段はない。そして、恐喝の効果は必ず逆効果になる」と述べました。
中共は台湾に対する軍事行動を起こせない
台湾には確かに、中共による軍事行動を心配する人々がいます。これに対して、楊天寧氏は、中共は台湾に対する軍事行動を起こせないと考えています。主な理由は、現在の中国が内乱状態にあるからです。
「考えてみてください。中共軍は現在どんな状況にあるのか、どうやって戦争をするのか?現在、中共軍の士気が下がっており、民心については言うまでもなく、すでに制御不能に陥っている」
楊氏は、現在、習近平がロケット軍、国防部などを大規模に粛清しており、中共軍の士気は、間違いなく影響されると考えています。
「特に中上層の軍官たちは、士気が下がっており、個人の利益のために争っている。戦争は絶対に不可能だ。そのため、戦争の恐怖を煽るのは、ただの虚勢に過ぎない」
楊氏は、これまでの数年間、中共は政権の安全性に対する懸念が高まっており、一党独裁の危険性は、より深刻になっていると指摘しました。
「特に過去3年間の厳しい『ゼロ・コロナ』政策は、政治的権利意識が乏しい一般市民の覚醒を促した。新型コロナがもたらした政治的不安定は、中共が全く予期していなかったものだ。中共は国民のためだと主張しているが、実際には特権を行使しており、ますます多くの一般市民がそれを見極めている。去年から今年にかけて、さらに著しくなった」
「中国の民衆は民主政治を望んでおり、台湾は華人(移住先の国籍を取得した中国系住民をさす)世界で最初の民主国家だ。ここ数年にわたる両岸(中国と台湾)の経済、社会的交流は、各自の政体の長所と短所を明らかにした」
楊氏はまた、現在中国の一般民衆は、非常に困難な状況に直面しており、生存自体が深刻な危機にさらされていると述べました。
「例えば昨年末、河南省のある中学生が校内で突然死亡し、当局の粗暴な対応に対する、市民の不満が大規模な抗議を引き起こした。また今年初め、貴州省安龍県では、政府が強制的に売り、地元の苗族による自主的な埋葬を許さず、数百人の特警を派遣して、地元の苗族の村に侵入し、亡くなった人の遺骨を強奪したが、苗族からの激しい反発を受け、多くのパトカーが破壊された。年末から年始にかけての短い期間に起こった、これらの出来事は、規模が大きく、国民の不満が、火山噴火寸前のような状況にあることを示している。底辺の人々はいざ反抗に出ると、結果を考えずに行動する傾向がある」
台湾が民主制度で中国を統一すべき
台湾の民主主義制度は、中共政権に大きな衝撃を与えています。
楊氏は、「2000年の台湾で初めて、政党交代を果たした選挙から、今日に至るまで、台湾の民主的選挙はより成熟してきており、有権者の政治素養も高まり、より安定してきている一方で、中共はますます恐慌を感じている」と指摘しました。
彼は、台湾の選挙が中国に与える影響の潜在力は、まだ非常に大きいですが、民主的選挙が行われて20年以上が経過しても、台湾の二大政党は、どちらも広い視野を持つ政治家を出現させていません。民進党も国民党も、視野を広げ、旧中華民国の「憲法」を法理の根拠として、堂々と提示し、中華民国は中国大陸に対する主権を、公然と主張すべきであると考えています。
楊氏は、中華民国政府が共産党当局、中国の人々、そして世界中の華人に、「統一は可能だが、憲政、法治、民主、人権、選挙に基づく政体でなければならない」ことを、公然と提案することができると考えています。
「そうすれば、台湾政府は民進党であろうと、国民党であろうと、道徳的にも、法理的にも、高みに立つことができるだろう」
中華民国蒋経国前総統は1987年10月、「アジア・ウォール・ストリート・ジャーナル」のインタビューに応じた際、自由と統一の必然性について言及しました。
彼は、「国家統一は中華民国政府の一貫した努力の目標だ。この目標を達成するためには、中国大陸が共産主義を根絶して、自由、民主、共同富裕の三民主義制度を実施することが、重要な前提だ。このようにして初めて、国家統一の目標が、実現可能になる」と述べました。
(翻訳・吉原木子)