2024年初め、中国共産党(以下、中共)当局は「反腐敗」を理由に8名の高官を摘発しました。中共軍の高層も続々と粛清されています。同時に、中共の機関紙も記事を掲載し、「反腐敗運動」を拡大し続けることを強調しました。
時事評論家によると、これは中共の党首である習近平が官僚に対する粛清の強度を高め、彼に反対する人々に対してさらに厳しい手段を採用することを意味し、中国の政治状況は必然的に悪循環に陥り、さらに不安定になるでしょう。
2024年初め、中国地質調査局の元局長である鍾自然が調査されたことが公式に確認されました。鍾自然は2024年最初に失脚した「虎(高官)」となり、中国自然資源(国土資源)システムで、最近十年で最初の失脚した高官でもあります。
2024年最初の一週間(1日から7日)だけで、中共高官8人が失脚しました。鍾自然の他に、チベット政治協商会議の姜傑元副主席、中国太平保険集団有限責任公司の肖星元副総経理、国家開発銀行の王用生元副頭取、広東省人民代表大会常務委員会の陳継興元副主任、中国光大集団股份有限公司の唐双寧元会長、中国石油天然気集団有限公司の徐文栄元副総経理の6名の中管幹部が処分され、審査起訴に移されました。また、河北省人民代表大会常務委員会の謝計来元副主任は収賄で実刑を言い渡され、2024年に刑を受ける最初の高官となります。
その中で、江傑、肖星、陳継興は公式の報道で共産党に「忠誠心がない、正直でない」と指摘されました。陳継興と謝計来は退職後5年で調査されました。
中国軍網は8日、「反腐敗闘争の堅戦持久戦」に勝たなければならないとする記事を掲載しました。記事では習近平の第二十回中央紀律委員会第三回全体会議での発言を引用し、当局による「反腐敗闘争」の集中統一指導を強化し、「影響面と深度」をさらに拡大することを強調しました。
習近平は粛清の強度を高める
米国に在住する政治評論家の陸天明は11日に大紀元とのインタビューで、習近平はさらに粛清の強度を高めるでしょうと述べました。
陸天明は、「もし習近平が粛清を行わなければ、政権はさらに不安定になるでしょう。しかし、一度粛清を行えば、不安定さは一層深刻になります。なぜなら、これらの失脚した官僚は必ず反抗し、手にした利益を簡単に放棄しないからです。さらに、習近平への不満がさらに高まるでしょう。したがって、習近平と中共にとって、これは難問であり、今年の状況の不安定さはさらに悪化するでしょう」と述べました。
彼は、中共にとって「厳格な党内統治を推し進める」ことは、法的な側面ではなく、政治的な側面から評価されると述べました。「つまり、習近平が、忠誠心がないと考える人や二心を持つ人は、彼によって粛清されます。したがって、今後もっと多くの官僚が粛清されるでしょうが、これは単なる政治闘争にすぎません」
中国政法大学の国際法修士である賴建平は大紀元に対して、「習近平が粛清の強度を高めるのは必然的なことです。習近平は個人独裁を行っており、これまでの行動により、国全体の政治、経済、社会が全面的な危機に陥り、民衆の不満が高まり、党内でも彼に対する不満が多くあります。この状況下で、彼の個人独裁の地位が脅かされており、危機を乗り越えるためには、さらに厳しい粛清を行うしかありません」と述べました。
賴建平はまた、「しかし、これらの被粛清の官僚と彼らの家族は大きな不満を感じ、巨大な反発勢力を形成し、状況を悪循環に陥れるでしょう。したがって、今後中共内部はより血なまぐさい風景となり、粛清の強度がさらに高まり、より多くの官僚が粛清されるでしょう」と述べました。
中共軍内部の粛清も一層厳しくなる
中南海のほか、中共軍内部の粛清の嵐もますます激しくなっています。
中共軍機関紙「解放軍報」5日に発表した記事では、軍の反腐敗が「圧倒的な勝利を収め、全面的に固められた」と主張し、「反腐敗の効果が継続的に現れている」と述べています。
不完全な統計によると、過去半年間に少なくとも10人の軍の高級将校と主管が粛清されましたが、当局はその理由を明確に公表していません。
中共の最新の将校解任公告は2023年12月29日に発表されました。9人の軍の将校の人大代表資格が剥奪され、その中には3人の上将と少なくとも4人の中将が含まれており、彼らは主にロケット軍と中央軍事委員会装備発展部出身です。公式の公表では、彼らが解任された理由は明らかにされていません。
中共は12月29日に、前海軍司令官の董軍を新しい国防部長に任命すると発表しました。これは、今年8月末以来、姿を消していた前国防部長の李尚福に代わるものです。
米国在住の時事評論家である陳破空は、「現在の中共軍の状況は非常に複雑であり、どの軍種も本当に習近平に忠実ではなく、どの将校も本心から習近平に忠実であるとは見えないため、明らかに軍内に分裂が生じています」と述べました。
文革大革命は再来するか
陸天明は大紀元に対し、「習近平は反対派に対してもっと激しい手段を取ることを考えているかもしれません。一方では、いわゆる『厳格な党内統治を推し進める』を通じて、反腐敗という形を取りながら粛清の強度を高め、他方では文革大革命のような方式を用いて粛清を行います」と述べました。
陸天明はまた「習近平は反腐敗の方式では、もはやこれらの人々を威嚇するには不十分だと考えているからです。反腐敗を理由としたら、法律を通じなければなりません。通常は直接関与者にのみ対処します」とし、「一方で、文化大革命のような形で行われれば、法律を通じなくても、政敵を粛清することができます。また、群衆を動員して行われるため、家族にも災いを及ぼすことがあります。これは心理的な脅威の効果がより大きいです。さらに、習近平は責任を転嫁し、最終的には共産党に煽られた理性を失った一般市民に責任を負わせることができます」と述べました。
陸天明は、「紅二代(中共政権の建立に貢献している高級幹部の子弟のこと)や高官が刑務所に送られたとしても、特権を持っています。しかし、文化大革命の時では、多くの人が生きるよりも死ぬほうがマシなほどに苦しめられました。刑務所に入れられなかった人もいましたが、そのような経験は刑務所にいるよりも苦痛であったでしょう。したがって、これはより無道徳的で、より卑怯な手段です」と述べました。
(翻訳・吉原木子)