2024年に入ると、多くの専門家は中国の政治状況について展望を行っています。オーストラリアに在住する中国人学者である馮崇義氏は中国経済の回復は望めず、若者の失業が反共感情を高める可能性があると考えています。中国共産党(以下、中共)の習近平総書記は内外の困難の中で部下を身代わりにして責任を負わせようとすることが、新たな問題を引き起こす可能性があります。2024年には民間の反抗やクーデターが発生する可能性があり、中国当局もこの点を気づいており、今は針のむしろです。

高まる民衆の不満が新たな抵抗を生み出す

 シドニー工科大学の副教授である馮崇義氏は2日に大紀元とのインタビューで、2024年の中国経済に改善の可能性はなく、民衆の不満はさらに高まるだろうと述べました。「経済は急激に衰退し、中国の民生に深刻な影響を及ぼしており、特に若者たちが仕事を見つけることができず、彼らの不満が蓄積されています」

 2023年8月から、中共国家統計局は若者の失業率を公表しなくなり、7月に公表したデータによると、若者の失業率が21.3%に達し、過去最高を記録したことが分かりました。

 過去1年間、高まり続けている失業率に対して、中国の若者は皆、躺平(とうへい、寝そべる)になりました。馮氏は経済の更なる悪化に伴い、この状況も変わると考えています。「今の反抗は躺平になることですが、それには条件があります。つまり、働かなくても、貯金で生活できます。しかし、経済がさらに悪化し、人々の貯金が尽きれば、躺平さえできなくなります。その時、人々は別の形の抵抗を始めるでしょう。経済の基盤が崩れ、民生問題が深刻化し、社会的な抵抗は一層普及し、その方法は多様化するでしょう」

至る所で抵抗の火種が見られる

 最近、中共政法委員会や公安部は社会の安定を強調し、民衆の抵抗に対する弾圧を強化しています。国家安全部は経済管理に異例の介入を行いました。

 馮氏は、習近平政権は現在、特別な治安政策によって国家を運営しており、これは実質的に「国家はもはや国家ではない」という状態を示していると述べました。

 「国家安全部の責任者が経済工作会議に参加することができるようになり、経済学者でさえ中国経済の悪化について語ることができず、言論は禁止されています。そして、統計局は失業データを公表せず、多くの国家機関の機能が喪失しています。これはこの国が正常に機能していないことを示しています」

 馮氏は、「中国当局は元々城管(城市(都市)管理総合行政執法局)を持っているが、さらに農管や中央社会工作部を設立し、新たな職務を設計して民衆の抵抗を防ぐことで、社会的な衝突を悪化させるだろうと述べました。

 中国の政治変動について、馮氏は民衆の抗争、軍や政治的クーデターが相互作用し、共鳴を生み出す必要があるとし、「2024年、全国的な規模の抗争が発生するかどうかは予測できないが、地域的な抗争は必ずあります。至る所で抗争の火種が見られるでしょうが、それが燎原の火となります」と述べました。

クーデターがいつ発生するか

 クーデターがいつ発生するかについて、馮氏は「民間で新しい衝突が生じれば、中南海(中国の国家権力中枢、中国政府首脳、中国共産党中央幹部などを指す換喩としても用いられる)にも新たな動揺が生じるでしょう」と述べました。

 「昨年はロケット軍、外交部、そして国防部で、あれだけ多くの人が行方不明になっています。今年はさらに大きな動揺が生じ、(失脚した)その人物はより高い地位にあるでしょう。どういう風に発生するかはわからないが、中南海で渦巻いているのは間違いません」

 馮氏は、習近平派閥内の闘争や習近平とその部下との間の闘争が始まるだろうと分析しています。

 「習近平は自分の地位を守るため、間違いを犯しても、その罪を部下に負わせています。それを続けると、彼の信頼する人々の不満を引き起こし、災いの元となるでしょう」

政治変動を防ぐ 習近平は針のむしろに座る

 中共政治局は2023年12月21日から22日にかけて、いわゆる民主生活会議を開催しました。習近平は、「矛盾や問題を解決する際、政治的リスクの予防と緩和に注目し、様々な政治的潜在的危険を時宜に消去し、非政治的リスクが政治的リスクに変わるのを防ぐ」と強調しました。

 これに対して、馮氏は「習近平は明らかに非政治的事件が政治的事件に変わることを恐れています。非政治的事件の範囲は広いです。株式市場の大暴落や不動産問題など、経済的、社会的な問題は非政治的とされます。政治的な問題とは、白紙革命のようなもので、習近平や共産党の退陣を求めます。つまり、色の革命を防がなければならないと言っています。しかし、本当に政変の時が来たら、人民が大規模な抗議を起こすと、彼らは防げないでしょう。再び『天安門事件』のような抗争が発生したら、弾圧することができないでしょう。当時、鄧小平のような強力な統治者がまだいて、民衆を弾圧する力があり、人々は中共政権に対して期待をも持っていました。しかし、今はそれらが全てなくなりました。もし再びそのような色の革命が起これば、習近平を倒し、共産党を滅ぼす目標が達成されるでしょう。だから、習近平は針のむしろに座っていると想像できます」と述べました。

(翻訳・吉原木子)