近年、中国の多くの病院で患者の家族が臓器寄贈を強要される事例が頻繁に発生しています。

 河南省平頂山市(へいちょうざん・し)で11歳の女の子妞妞(にゅーにゅー、仮名)さんは11月14日に人工呼吸器から外されました。同日の午後、少女の心臓、肝臓、両腎が収奪され、鄭州市の複数の病院に送られました。

 福建省泉州市の13歳の男の子、小焜(しょうこん、仮名)さんは11月16日に突然の脳出血と心臓停止が発生し、8日後に脳死と確認されました。両親は「人体臓器提供親族確認登録書」に署名しました。その後、子供の心臓、肝臓、片肺、両腎、両眼の角膜が収奪されました。

 20歳の女性大学生、鄧興燕(とうこうえん、仮名)さんは11月5日、広西チワン族自治区柳州市人民病院で、臓器摘出手術が行われ、心臓、肝臓、肺、両腎が収奪されました。彼女は山村出身で、2023年10月27日に交通事故に遭いました。

 こうした事例は数多く存在しています。中国メディアや中国赤十字会の公式サイトには、このような事例があふれています。

 中国本土の元メディア関係者である趙蘭健氏はXプラットフォームでの投稿で、中国各地に多くの臓器移植センターが設立され、臓器移植が中国の経済産業チェーンの一翼を担っていると述べました。どれだけの人々の臓器がこのビジネスプロセスに組み込まれているのでしょうか?臓器の売買は、貧しい人々の臓器が富裕層に寄贈されるということを意味しています。

 趙蘭健氏は大紀元とのインタビューで、「脳死診断や臓器移植を行うのは同一のグループである。病院は利益を上げなければならない。ここに腐敗や不正行為はないのか?良心に背く可能性はないのか?」と懸念を表明しました。

海外華人の実体験
 長らく中国の臓器収奪の実態を追跡しているニュージーランド在住華人、厳克維氏は、大紀元とのインタビューで、交通事故に遭った患者の家族として、非常に悲しい思いをしており、自発的に臓器を寄贈することはほとんど不可能であると述べ、中国当局の医療制度が強制的な手口で家族に臓器寄贈を強要していると指摘しました。

 2021年1月初め、厳克維の父親である厳邦国さんは三輪バイクにはねられ、その場で3分間意識を失いましたが、目が覚めてから意識ははっきりしていました。しかし、広西チワン族自治区の河池市人民病院の医師は、患者の血中酸素不足を理由に気管切開手術を行い、手術後に患者は昏睡状態に陥り、ICUに移されました。数日後、医師は患者が植物状態になる可能性があると述べ、臓器寄贈の話を持ちかけました。

 家族は同意しなかったため、医師はICUに2、3ヶ月入院し、人工呼吸器を外して高気圧酸素室に移るという長期的な治療計画を示しました。

 しかし、20日経っても父親の状態は良くならず、医師は再び家族に赤十字会の臓器寄贈を検討するよう促しました。「私の精神は崩壊寸前で、やむを得ず同意した」と、厳克維氏は大紀元の記者に語りました。

 翌日、適合がうまくいかなかったのか、医師がまた考えを変え、あと数日で父親の状態が悪化するだろうと伝えました。2021年1月24日深夜、62歳の厳邦国さんはこの世を去りました。

 厳克維氏は、その後、この出来事を繰り返し考えてから得た結果は、「病院は最初から、患者が臓器寄贈を行うことを目的として治療していた可能性が非常に高い。入院の処置から高額な治療費まで、相当長い期間にわたる効果のない治療を行った後、医療費を蓄積させることによって、患者の家族にプレッシャーを感じさせ、最初から最後までさまざまな策略を図っていた。その後、医療費を免除する方法として、再び臓器寄贈の話を持ちかける。これは段階的に誘導されるプロセスであり、非常に巧妙な手口だ」と語りました。

調査追跡「中国の病院では臓器提供の強要が後を絶たず」
 父親に起こったことは、厳克維氏に臓器収奪が本当に実在することを確信させました。「この出来事で、このようなことは私たちのとても身近にあると感じさせた。私は法輪功学習者ではないが、このような出来事に遭ったのだ。このような事例を調べてみたら、類似のケースが多く存在することに気づいた」

 「多くの患者は病院に騙されている。中国には無料の医療がない。ICUで1日あたりの費用が1万元(約20万円)で、10日から20日以上の治療を続けると、その費用は20万元(約400万円)になると、ほとんどの中国の家庭にとっては天文学的な金額である。そこで、脅迫や誘導の下で、患者の家族は臓器寄贈に同意せざるを得なくなる」

 注目すべきは、中国の赤十字会が臓器収奪の主要な主導機関であり、全国各地の病院と密接に連携していることです。

 中国の赤十字会の公式サイトの情報によると、2010年1月25日に、当時の保健衛生部が中国赤十字会に対して全国で臓器寄贈活動を展開するよう正式に委託しました。それ以来、いわゆる市民による臓器寄贈システムは「機関、制度、および資金の保証」を得て確立されました。
厳克維氏は、「もし臓器寄贈を選択すれば、赤十字会がその臓器を受け取り、患者の生前にかかったすべての治療費用を負担してくれる。実際には、臓器売買を装った一種の強制的なものであるとも言える。中国では肝臓を移植するのに数百万元かかる。これは非常に利益のある売買だ」

 厳克維氏はまた、中国ではほとんどの人が自発的に臓器を寄贈することはないとし、「彼ら(病院)は圧力をかけて、あなた(患者の家族)に苦い果実を無理やり飲み込ませるのだ。なぜなら、もし寄贈しないと、20万元または30万元(約600万円)の医療費を支払わなければならず、家族が破綻してしまうからだ」と述べました。

 厳克維氏は、中国共産党はすでにこのようなシステムを構築していると指摘しました。

 まず第一に、体制内には長寿を望む高齢の幹部が多く存在しており、彼らがこれらの臓器を必要としています。

 第二に、中国共産党はすでに生体臓器収奪を産業に作り上げており、これらの臓器を世界の権力者に売っています。産業が形成されている以上、非常に成熟した臓器収奪、輸送、売買のシステムが存在している可能性が高いと考えられます。

 趙蘭健氏は、非常に早い段階で、ネットや海外の紙媒体など多くのチャンネルを通じて、生体臓器収奪の真相に触れていましたが、「これらの事実は私の想像力をはるかに超えている」と語りました。

 中国のネットイースニュースによると、2022年には中国で100万人が行方不明となっています。
趙蘭健氏はかつて、中国の人里離れた地域で人身売買の問題を深く調査したことがあり、中国社会では非常に多くの人が失踪し、死亡していることを突き止めました。

 趙蘭健氏は、あらゆる臓器売買、移植、および生体臓器収奪をすべて禁止すべきだと訴えています。

(翻訳・藍彧)