中国の有名な料理ブロガーである王剛氏は最近、卵チャーハンのレシピ動画を投稿した後、中国のネットユーザーから猛批判されました。その後、王剛氏は謝罪の動画を投稿し、「今後は料理人として、卵チャーハンを作らない。卵チャーハンに関する動画も撮影しない」と発表しました。


 ウィキペディアによると、王剛氏は四川省自貢市出身で、料理を教える動画を撮影したことで、ネット上で人気を集めました。彼の動画は独自のスタイルがあります。まず自分の顔を出して、料理の名前を紹介し、その後、材料や調味料を処理し、調理を行い、最後に注意点をまとめます。王剛氏の動画は、料理の手順を明確に説明し、無駄話をせず、派手なフィルター効果やBGMも使わず、わかりやすい言葉で説明しています。現在、王剛氏は全世界で数千万人のファンを持っています。

 しかし、最近、この人気のある料理ブロガーは、多くの小粉紅に猛批判されています。その原因は、王剛氏は個人のSNS(BilibiliやWeiboなど)で卵チャーハンのレシピ動画を投稿したことにあります。これらの小粉紅は、王剛氏が中国共産党(以下、中共)の前指導者である、毛沢東の長男である毛岸英の死を、意図的に暗示していると主張しています。

 1950年11月25日、朝鮮戦争に参加していた毛沢東の長男である毛岸英は、北朝鮮平安北道にあった中共軍の指揮部で、連合軍の空爆で亡くなりました。中共軍作戦処副処長を務めた楊迪氏は回顧録で、毛岸英が卵チャーハンを作っていた煙が連合軍に発見され、空爆を受けて、死亡したと暴露しました。卵チャーハンに使われた卵は、朝鮮軍が当時の中共軍司令官である彭徳懐に贈ったもので、当時非常に貴重だったと言います。

 その後、「卵チャーハン」は毛岸英と結びつきました。近年、毛岸英の誕生日である10月23日や、その忌日である11月25日の前後に、「卵チャーハン」は禁句となっています。

 王剛氏は非難を浴びた後、謝罪の動画を投稿しました。王剛氏は動画の中で、「今後は料理人として、卵チャーハンを作らない。卵チャーハンに関する動画も撮影しない」と発表しました。

 しかし、王剛氏が謝罪の動画を公開したにもかかわらず、事件は収束せず、多くの小粉紅が「英霊を侮辱した」として、王剛を調査するよう求めています。一方、卵チャーハンをもう二度と作らないまで、調理人を追い込むのは、やり過ぎだという意見もあります。さらに、「これから、卵チャーハンのことを提起せず、食べなくてもいいんじゃない?」とコメントするネットユーザーさえいます。

 この認知度の高い定番の料理に、余計な意味づけがされ、タブー視されるようになってしまったのです。多くの人々が不安を感じています。なぜなら、卵チャーハンが一体どうやって禁句になったのか、すべての人がその経緯を知っているわけではないからです。

 実際、王剛氏は10月や11月だけでなく、過去数年間にも、卵チャーハンに関する様々な動画を、異なる月で投稿しています。混乱しているネットユーザーからは、「だからいったい何月に卵チャーハンの話をしてはいけないのか、明確なルールを教えて」というコメントが寄せられています。

 実際、中国では不注意で「タブーの話題」に触れてしまい、猛批判や封殺された出来事が、頻繁に起こっています。昨年、中国の超人気インフルエンサーである、李佳琦(リ・ジャアチ)氏は、ライブコマースであるアイスクリームをプロモーションしていた際に、当局によって中断されました。その原因は、そのアイスクリームの形が、戦車に似ていたからです。当時は六四天安門事件が33周年を迎える直前であり、これは当局が学生を抑圧するために、戦車を動員した場面を、連想させやすいものでした。

 中国ではこのような「タブー」がますます増えており、公式の封殺力も強まっています。例えば、2013年に習近平氏と当時のアメリカ大統領である、オバマ氏の歩行姿勢が、クマのプーさんと非常に似ていたため、多くの海外ネットユーザーが習近平氏を、「習プー」と揶揄しました。その後、クマのプーさんは中国で禁止用語となりました。また、中国当局は、中国の民衆に「天安門事件」を意図的に忘れさせようとしており、近年、毎年の6月4日、多くのオンラインゲームが、チャット機能を強制的に閉鎖するようになっています。

 しかし、当局が行ったこの一連の神経質な行動は、真相を知らない多くの人々に、詳細な調査を促す結果となりました。一部のネットユーザーは、「6月4日に、何故ゲーム内のチャット機能が、閉じられたのかわからなかったので、わざわざ海外のウェブサイトで調べてみたら、その真実は身の毛がよだつものだ」、「いつかうっかりして、当局のタブーに触れてしまう可能性があるので、共産党の本当の歴史を知る必要がある」とコメントしました。