人生にはなぜ、いつもこんなにも悩みが多いのでしょうか?理想的じゃない生活を送っていた時は、悩みが多くありましたが、しかし、生活が良くなっても、心配事はかえって増えていますよね。
では、どうすれば「悩み」を捨て去ることができるのでしょうか?今回ご紹介する物語は、もしかするとそのヒントを与えてくれるかもしれません。
「李さん」という年配の男性がいました。彼は生涯懸命に働き、中庭のある家を購入し、その庭に一本の木を植えて、のんびりと暮らしていました。
ある日、通りがかりの人がこの木を見て、李さんに「急いでこの木を切り倒しなさい!」と言いました。
李さんはその意味が分からず、「良い木なのに、どうして切らなければいけないのですか?」と問い返しました。
通りがかりの人は李さんに、「お宅の家は正方形でしょう。中庭には一本の木が植えられています。これでは困惑の『困』という字になるのではないですか!」
これを聞いた李さんは「その通りだ!これでは本当に『困』という字になる」と、ハッと気づきました。
通りがかりの人に礼を言って、李さんは家に入り、斧を持って木を切り倒そうとしました。しかしその時、別の人が通りかかり、李さんが斧を持って木を切り倒そうとするのを見て、「木を切らないで!」と言いました。
李さんはそれを聞くと、斧を下ろし、「なぜ切ってはいけないのですか?」と聞きました。
するとその人は、「この木を切り倒せば、正方形の家の中にあなた一人で住むことになりますよね。考えてみてください。これでは囚人の『囚』という字になるのではありませんか?」と言いました。李さんはジレンマに陥ってしまいました。この木を一体どうすればいいのでしょうか?
そんな時、ちょうどよく、一人の禅師が通りかかりました。李さんは急いで、禅師に声をかけ、「禅師さん、庭にあるこの木を見てください。切った方がいいですか?」とアドバイスを求めました。
禅師は「切ったほうがいいよ。切ったら、日当たりがよくなるから、日光浴ができるね」と答えました。
李さんは「なら、もし切らなかったらどうですか?」と続けて尋ねました。
禅師は「切らなくてもいいよ。切らなければ、毎日木陰で涼めるからね」と答えました。
禅師の答えに、李さんは悟りました。
実は、自分はすでに良い暮らしを送っているのに、他人の意見を気にしすぎるため、悩みを抱えることになったのです。
この世には「得るものがあれば、必ず失うものがある」という法則があるのです。
人は何も持っていない時は、唯一の心配事は「次の食事を食べられるかどうか」だけでしょう。しかし、人が多くのものを持つようになると、悩みも自然と増えてきます。何かを手に入れると、それに相応する悩みが一つ以上出てくるのです。例えば、車を持てば、ガソリンの価格が上がるのではないか、車を家の外に置いておくと何か起きやしないか…などと心配になります。
したがって、人はものを多く持てば持つほど、それに相応して、悩みも多くなるのです。もし、つまらない問題に頭を悩ませ、他人の言葉に左右されれば、その人の生活はきっとつらいものになるでしょう。
「幼い子供やお年寄りの笑顔は純粋だ」と言う人がいます。幼い子供の笑顔には、人生が始まったばかりで悩みがないからであり、お年寄りの笑顔には、人生を見通せて心に引っかかるものがないからです。実は、元々人には悩みはありませんが、多くなり過ぎた欲望が悩みとなってしまうのです。良いマインドセットを心がけることができれば、誰もが楽しく過ごすことができるのではないでしょうか!
(翻訳・夜香木)