中国は現在、「全国民の減給時代」に突入し、中国の地方政府財政は大きな危機に陥っています。12の省・市が「破綻リスクの高い地域」と指定されています。最近、北京が地方政府の債務問題に対処するために数十兆円規模の債券計画を開始したというビッグニュースが海外メディアから伝えられました。

中国12の省・市が財務破綻の兆候
 ラジオ・フリー・アジアの報道によると、江蘇省、天津市、広東省など中国の経済大省で、財政の枯渇により公務員の給与未払い問題が発生しています。複数の体制内関係者がこれを明らかにしました。

 具体的には、天津市政府および天津公共交通グループの1万8000人以上の従業員が数か月間にわたる給与未払いに直面しています。天津のある有名な企業家は、天津の財政がすでに破綻状態であり、債務がその資産価値をはるかに上回っているため、政府は財政収入を維持するために企業への増税を頼りにしており、これが企業に過大な負担を強いていると述べました。この企業家は今年、政府から根拠のない理由で数十万元(約200万円)以上の罰金を課されたと明かしました。

 一方、昨年の中国第2位のGDPを持つ経済大省である江蘇省では、その省都である南京市の一部地域で数か月にわたり公務員や事業機関の労働者に給料が支給されない状況が発生しました。最終的に、地方政府は市内の異なる地区間で借り入れを強行し、一部の給料未払いの問題を解決しました。一部の学者は、南京市政府が財政破綻の危機に瀕していると分析しています。

 広東省でも財政危機に見舞われ、退職者の給与が大幅に削減され、広州市の退職教師の給与は半減しました。これは、全国で唯一GDPが10兆元(約200兆円相当)を超える2つの経済大省の財政収支がバランスを崩していることを示しています。

 中国の個人メディアである趙蘭健氏は9月29日、「危機が悪化しており、雲南省全体が給料の支払いを停止し、各市が財政圧力に直面しており、役人の給料がニラのように刈り取られている」とネット上に投稿しました。

 また、ブルームバーグはこのほど、中国当局が「高リスク地域」として、貴州省、湖南省、吉林省、安徽省、天津市など12の省・市を特定し、これらの地域に「さらなる支援」が提供されることを報じました。言い換えれば、中国には現在、政府の破綻が懸念されている省・市が少なくとも12あります。

 経済状況が悪化するにつれて、ビジネス環境は悪化し、基層の役人たちの、管轄内の企業に対する恐喝やゆすりが一層激化し、多くの人々が直接的な被害者となっています。

 一部のネットユーザーは、天津、南京、大連などの地域の警察官が給与を2割削減されていると明らかにしました。「これはコロナ流行後に起きたことだ。一般市民から見れば、『鉄飯碗(安定した仕事や雇用、特に国有企業や政府部門での仕事を指す)』、『金飯碗(高収入や高待遇の仕事を指す)』が今は存在しない。これは単一の地域ではなく、体制内での給与削減は全国的なもので、各地で削減率に差があるだけだ」

 財政破綻の危機に直面する地方政府は、収入を増やす方法を考え尽くしています。9月23日に中国のネット上で話題となった動画には、江西省撫州市の歩行者専用道路で、公然と通行料が徴収される場面が映っています。ある老人が、通行料の徴収員に向かって、「コロナの流行期間中でもないし、交通事故も起きていないのに、なぜここで道路を封鎖して通行料を取るのか?」と怒りを表しました。

 ネットユーザーからも怒りのコメントが相次ぎました。
「これはどんな時代なのか?歩行すら有料になるのか?」
「極度の貧しさで狂ったのか。給料を支給できない政府が道路を封鎖して強奪しようとしているのか?」

中国当局、数十兆円の債券発行計画を開始
 ブルームバーグは9月28日、中国当局が地方政府に再び債券を発行させ、古い債務を新しい債務で返済する計画を開始したという重要なニュースを報じました。

 記事によると、中国当局は、省レベルの地方政府に対して、様々な債務を返済するために債券を発行し、約1兆元(約20兆円)を調達することを認める計画を推進するとされています。

 中国公式のデータによると、今年1月から8月までの期間で、地方政府の債券発行総額は6.3兆元(約130兆円)に達しました。昨年11月までに、全国の地方政府の債務残高を合わせて、すでに78兆元(約1600兆円)に達しています。

 また、中国の公式文書によると、内モンゴル自治区は3種類の「再融資」債券を発行する予定で、その総額は663億元(約1.4兆円)で、債券の期限は3年から7年になります。これらの債券は満期に一括して元本を償還し、最後の利息を支払う形となり、発行後は全国の銀行間の債券市場や証券取引所で取引が可能になります。

 しかし、これは単なる空虚な約束に過ぎないと見なされています。内モンゴル自治区政府が発行する再融資債券の一つは、調達された資金が「政府が滞納している企業の金を全額返済する」と明記しており、他の2つの債券は「2018年までに政府が企業に滞納していた債務を返済する」ために使用されます。つまり、中国当局は新たな債券で既存の債務を返済しようとしており、それらの債券を購入する一般庶民は、再び「ニラとして刈り取られる」だけとの見方が広がっています。

地方政府の債務危機
 中国の地方政府の債務問題そのものが、中国恒大集団(エバーグランデ)の債務不履行後に発生したさらなる危機です。福耀玻璃工業グループ(福耀集団)の創業者である曹徳旺氏(70歳)は、恒大集団の許家印会長の創業秘話を公開し、「中国商業銀行は不動産に資金を供給できる。過去に会社を登録し、ある土地を繰り返し抵当に入れることができた。許家印氏は自己資本が全部で39億元(約800億円)しかないにもかかわらず、2兆元(約40兆円)もの融資を受けることができた。2兆元は、2022年の中国のGDPの約2%に相当する」と述べました。

 曹徳旺氏は、「これは単なる許家印一家の事例に過ぎない。中国には他にどれだけの不動産デベロッパーがいるのだろうか?張家、李家、劉家、王家など、さまざまなものが混在している。これこそが『中国式金融』だ」と語りました。

 アナリストの分析によると、過去11年間、中国の大手不動産デベロッパーである万科グループ(チャイナ・バンケ)は、収入の48.36%を地方政府に支払っており、本来なら裕福であるべき地方政府が巨額な債務を抱えています。地方政府の債券発行は、中国経済の悪循環をさらに悪化させるだけであり、これに巻き込まれた一般市民は、恒大の被害者と同様に、資金回収の難しい状況に追い込まれる可能性があります。その結果、国民の不満が高まり、抗議デモが発生し、中国共産党政権に大きな衝撃を与え、大規模な内乱に発展するでしょう。

(翻訳・藍彧)