中国は景気回復が遅れており、深センや北京などの大都市ではオフィスビルの空室率が上昇を続けている。現在、中国のオフィスビルの空室率は、中国当局が厳格な「ゼロ・コロナ」政策を実施していた時期の空室率を上回っており、苦境に陥っている不動産業界にさらなる打撃を与えている。
英国を拠点とする不動産サービスプロバイダーであるサヴィルズ(Savills PLC)が発表した報告によると、4月から6月にかけて、中国の大都市である北京、上海、広州、深センの優良A級オフィスビルの空室率が前年同期比で上昇したという。
深センのオフィスビルの空室率は前年比4.1%増の27%で、上記4つの都市の中で最も高い率となっている。中国で最も強力なオフィスビル賃貸市場の一つとされていた広州では、空室率が5.9%上昇し、10年ぶりの高水準である20.8%に達した。
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの統計によると、2023年第2四半期には上海の優良A級オフィスビルの空室率が18.59%に上昇したという。
空室率の上昇は家賃の低下を意味する。4月から6月にかけて、北京のA級オフィスビルの平均月賃料は1平方メートルあたり312.5元(約6440円)で、前年同期比で7.4%減少した。広州と深センの賃料も若干下落した。
新型コロナ感染拡大の間、中国当局は非難を浴びていた「ゼロ・コロナ」政策を実施し、旅行やその他の活動を厳しく制限した。昨年年末、中国当局は政策を一転したとしても、オフィスビルの空室率は依然として、増加している。
これに対して、一部の分析家は、「需要が持続的に低迷であるため、中国の一線都市の賃料はさらに下落するだろう」と分析した。
(翻訳・吉原木子)