ミャンマーの最大の都市ヤンゴン(写真撮影:Andre Lettau/Wikimedia Commons)
中国の習近平国家主席が17日、ミャンマーを訪問した。これに関し、ミャンマー駐在米国使節団の団長を務めたPriscilla Clapp氏は、ボイス・オブ・アメリカの訪問を受け、習近平主席のミャンマー訪問の主要目的は、この国を中国の勢力範囲に入れようとすると指摘した。
Clapp氏は現在、アジア・ソサエティと米国平和研究所の上級顧問で、1999年から2002年まで駐ミャンマー米国使節団の団長を務めた。習近平主席のミャンマー訪問に対し、中国側はかなりの時間をかけて計画したという、目的はミャンマーを中国西部の省にしようとすると同氏が述べた。
中国・ミャンマー経済回廊の設計から見ると、ミャンマーのインフラが中国のインフラと結びつけ、雲南省より先に新たな西部の省を建設するという中国の意図が見て取れる。
Clapp氏は、ミャンマーは中国のインド洋への門戸だけではないと考えており、中国は東南アジア全体を中国の勢力範囲内に入れようと決意している。この故に、これはミャンマーだけの問題ではないと同氏が指摘した。そもそもミャンマーは東南アジア諸国の中で、中国との国境線が長い国であるため、両国の間には国境を越える往来が多く、長い歴史的なつながりを有している。このような背景のもと、ミャンマーは他の東南アジア諸国と異なり、中国がインド洋への門戸であると同時に、東南アジアへの門戸でもある。
先日、中国駐ミャンマー大使の陳海氏は取材インタビューで、習近平主席はミャンマー訪問期間中に数十条の協定を締結すると明らかにした。
しかし、これに対し、Clapp氏は、双方は最終的な合意でなく、了解覚書のみを締結する可能性があるという、中国・ミャンマー経済回廊もただ一つの覚書に過ぎないとコメントした。
(翻訳・柳生和樹)