習近平総書記が先週、浙江省紹興市にある楓橋経験陳列館を視察した。中国公式メディアはこの後、習近平は毛沢東が設立した楓橋経験を継承し、発展させたことを複数の報道で強調した。外界は、中国当局が非常に危険なシグナルを出していると分析した。
浙江省諸曁市楓橋鎮は1960年代に「群衆を働かして敵を制圧する」という統治経験を打ち出した。その後、毛沢東は中国各地でこのやり方をまねて、普及するよう指示した。これは「楓橋経験」と呼ばれている。
「楓橋経験」は、数千万人が餓死する三年間の大飢饉の背景に生まれた。毛沢東は矛盾を転嫁するために、全国で階級闘争を大々的に行い、中国共産党(以下、中共)が引き起こした大飢饉を敵に帰するようにした。浙江省諸曁市楓橋鎮は毛沢東に応え、群衆を巻き込んで身近な人々と対立し、これを「群衆を頼りに現地で対立を解消する」と称した。その後、毛沢東は各地に楓橋県のやり方をまねて普及させようとした。
米国在住の時事評論家である蔡慎坤ラジオ・フリー・アジアとのインタビューで、「楓橋経験」とは基層に権限を与え、基層が自由に行動し、群衆同士が争うことを意味しており、法治国家が法に基づいて対立を解決するので、「群衆を頼りに対立を解消する」ことはないはずだ。毛沢東時代に「楓橋経験」を肯定したことが中国社会に巨大な災害をもたらし、現在、習近平の立場は非常に危険なシグナルであると述べた。
時事評論家の陳破空は、「楓橋経験とは階級闘争そのものである」とし、中共が定義したいわゆる「階級の敵」を群衆に監視させ、いつでも批判闘争を行わせると述べた。
現在、中国は経済的に困難な状況にあり、毛沢東時代の3年間の大飢饉の悲劇的な状況は再び発生することはないが、中国経済の崩壊、社会秩序の混乱が発生する可能性がある。このような背景で、戦争を利用して、矛盾を転移させる可能性がある。群衆を群衆に対立させた「楓橋経験」を蒸し返したことは、中共が国内反対派を統制しようとしているのではないかという見方もあった。
(翻訳・吉原木子)