最近、中国福建省のスラム(都市部で極貧層が住む過密地域)での開発と強制解体中に、暴力的な流血事件が発生しました。一人の住民が撤去を拒否したため、数十人の解体作業員によって暴行を受け、意識を失った後、救急車で病院に搬送されました。
暴力的な強制解体
福建省福州市晋安区桂山村で、今年の4月末から解体工事が実施されています。地元住民によると、同プロジェクト解体事務所の蘇勇主任を初めとする解体チームは、社会中のならず者で構成されたものです。彼らは、解体・移転の合意書に署名していない住民の家屋に対して、公式な通知書や法的な手続き、そして裁判所からの解体・移転の命令もない状況下で、政府の名義で不法に強制解体を行いました。
2023年9月1日、蘇勇主任は約500人の解体チームを率いて、2軒の住民の住居を強制的に解体しました。
そのうちの一軒は、住民である高蒿さん(男性)の家で、その日、解体チームのメンバーが高さんの家に侵入し、彼を強制的に連れ出し、制御しようとしていました。双方はしばらく対峙していたところ、別の住民が2階から「あなたたちは合法な手続きや裁判所の解体・移転命令があるのか?数百万元もの価値のある家をこのように取り壊すのか!」と叫びました。
解体チームは民衆の声を無視して、しばらくした後、動物の捕獲用ネットで高蒿さんを地面に取り押さえ、数十人が意識が失うまで彼を殴ったり、蹴ったりして暴行を加えました。その後、高蒿さんは路地の脇に運ばれ、救急車が来て、救急隊員が彼を救急車に乗せました。
村の住民である趙さん(男性)は9月6日、大紀元の記者に対して、「高さんの家が強制的に解体されたが、幸いにも彼は無事だった」と語りました。
趙さんは、「晋安区政府全体が暴力団化し、桂山村は都市部のスラム地区の改造という名目で商業開発が行われている。情報は公開されず、解体・移転の合意書も存在せず、晋安区解体事務所が一方的に許可を出しただけで、すべてが違法だ。私たちは鎮政府に報告し、告訴したが、政府は何の行動も起こしておらず、誰も私たちに気をかけてくれなかった」と述べました。
裁判所の判決を無視して強制解体
桂山村の住民、張昌珍さん(女性)は、700平方メートル以上の広さを持つ自宅が違法建築と決めつけられ、蘇勇主任が率いる強制解体チームによって解体されました。
張昌珍さんは北京の弁護士を雇い、政府と法廷で争い、8月17日に裁判所の勝訴判決を受け取りました。しかし、予期せぬことに、8月25日に蘇勇主任が200人以上の解体チームを連れてきて、張さんの家を強制的に解体しました。
張さんは9月6日、大紀元の記者に対し、自宅が解体された時の状況を次のように語りました。「9月25日の朝、私と夫、長男は家にいた。彼ら(解体チーム)が来た後、私たち三人を車に拘束し、それから私たちの家が強制的に解体された。解体作業が終わってから、私たちが解放された」
当日、張さんの次男は家にいなかったが、強制解体されることを知らされてから急いで戻り、村の裏山から自宅の裏側に回り、解体される現場をこっそりと撮影しました。
現在、張さんの弁護士は強制解体事件に関して裁判所で訴訟中です。
猛暑中に村全体が断水された
2023年4月末、晋安区新店鎮の鎮政府が住宅収用のパンフレットを持って桂山村に訪れ、解体作業を開始しました。
桂山村に代々住んでいる住民である王敏さん(男性)は、「2020年更新版の『土地管理法』第45条に基づき、2020年末にはすでにスラム地区の改築プロジェクトが中止されたはずだ。そのため、私はこの解体プロジェクトの合法性を疑った。やがて、予想通りに、村の多くの家屋が、いわゆる財産権の欠如や標準以下の築年数など、さまざまな理由をつけられ、解体事務所に騙され、解体・移転契約にサインさせられた。彼らの目的は補償金を最小限またはゼロにすることだ」と述べました。
解体作業者が王敏さんの家を訪れた際、彼に対し、福州市人民政府公式サイトで発表している公式文章(榕政辦(2022)44号)が解体の許可文書であり、新店鎮の幹部がこれらの文書があれば、合法的な解体であること伝えました。
王敏さんは、「2023年6月初めに私は弁護士を雇い、自宅の解体問題について、市政府、区政府、都市資源局などの部門に弁護士書簡や政府情報開示などの文書を送り、今回の解体の合法性を確認しました。そして、7月2日、今回の解体の法的手続きは立証するものではなかったとの回答を受けた」と述べました。
「6月30日にまさか断水されるとは思わなかった。桂山村の朱曉平村長(兼書記)にこの問題を確認したら、新店鎮解体事務所が福州市水道局に書簡を送り、村全体の水供給を停止するよう命じたとの回答を受けた」
王敏さんの家族には91歳の高齢者がおり、自分の身の回りのことができず、この暑い夏の日に断水されて非常に不便を強いられていました。
村民が蘇勇の主任という身分を疑問視
晋安区桂山村の村民、龔滸さんは、「今回、蘇勇は桂山村で政府のスラム地区改築という名目を利用して、法律を踏みにじり、政府幹部と結託して私的利益を図っている」と述べました。
5月21日の午前9時ごろ、蘇勇主任はまた、50人以上の解体作業員を率いて、龔滸さんが住む桂山村112号の通路を完全に封鎖し、法的手続きを経ずに、迅速に正面のドアと管理人室をクレーンで取り壊しました。
その後、6月10日の午前9時半ごろ、蘇勇主任は再び50人以上の撤去作業員を率いて、クレーンを使って桂山村84号の前のガレージを取り壊しました。元々、その家屋も強制解体する計画でしたが、家主が屋根に登り、飛び降り自殺で解体作業に抵抗する覚悟を見せたため、解体作業を停止しました。
龔滸さんは、「解体事務所の主任」と呼ばれる蘇勇が、同時に隆順住宅収用工程有限公司の法人代表でもあると指摘し、この間の関係について疑問を呈しています。隆順社は政府の解体事務所を代表する権限を持つのでしょうか、また、蘇勇主任は解体作業員を組織し、法の執行根拠なしに暴力的な解体を行う権限を誰が与えたのでしょうか。
福州市の住民である顏さんは、大紀元とのインタビューで、「中央政府の規定では住民の移転が解体作業よりも優先されるべきだと主張しているが、それはメディアを欺く嘘だ。もし本当に従うべき法律があり、国家の法律に従って地方政府の役人が厳格に処罰されるのであれば、これらの政府幹部や役人らは、誰もが法に背いてやり放題にできないだろう。実のところ、中央政府もこれらの略奪行為を黙認しているからだ」と指摘し、中央政府がこれらの行動を黙認している可能性を示唆しています。
(翻訳・藍彧)