カナダに亡命中の中国企業家、楊さんが数日前、弊社の独占インタビューで「粉紅(民族主義者)」から反体制派へ変貌する物語を語りました。
楊さんは現在、カナダのトロントに住んでおり、亡命前は中国南部のある省で20以上の支店と数百人の従業員を抱える大企業の代表取締役でした。
20年以上の激務の末、5億元(約100億円)以上の資産を築き上げた楊さんは、まさに自分が一文無しの惨状に陥ることは想像もしていませんでした。
不動産プロジェクトによる政府の迫害
2014年、楊さんの会社は土地の入札によって市中心部の土地を購入しました。商業・オフィス・住宅の3つの用途を持つ複合ビルを建設する予定でしたが、すぐに工事を開始しませんでした。
楊さんが土地を購入した後、その土地の価値は急速に上昇し、数年で数倍になりました。2017年になると、地元政府はその土地を取り戻すことを望み、土地の容積率をほぼ半分に引き下げました。それにより、建築面積が大幅に減少することとなり、楊さんはこのプロジェクトで数億元(約数十億円)の損失を被りました。楊さんは、政府が容積率を変更して彼の土地プロジェクトを損失させ、それを地元政府に返却させる意図があると考えました。楊さんは土地を返却したくなかったため、政府と何度も交渉しましたが、無駄でした。
「政府は目的を達成するために、私に対して虚偽の罪状をでっち上げ、その後、いわゆる証拠を収集した。当局は私を指名手配し、私の全財産を没収した。私の家族と親戚の財産も凍結された。そして、兄を逮捕した。親戚を拉致し、私を脅迫した」と楊さんが語りました。
楊さんの従姉妹である殷さんは、2023年4月下旬に楊さんの兄(楊さんの不動産開発会社の法人代表者)などが裁判にかけられた際、傍聴席に座っていました。当時、被告側の弁護士は有力な弁護を行い、相手を言葉に詰まらせましたが、地元の裁判所は結局、楊さんの兄に懲役6年8ヶ月の判決を下しました。他の被告も14ヶ月から4年の刑を宣告されました。
殷さんは「中国では、法律は単なる飾り物だ。本当に恐ろしい!」と述べました。
現在、楊さんの兄は省都の刑務所に収監されており、家族が面会に行くと、楊さんの兄は監房(かんぼう)にベッドがなく、床に寝なければならず、毎日朝5時に起床し、夜10時まで服を作ることを強いられていると伝えられています。
当局はまた、楊さんの80歳以上の父親の家にしばしば嫌がらせに訪れ、中風の老人を非常に怖がらせています。
一夜で全財産を失い、親戚や友人まで連座
楊さんは、自身と同じように迫害を受けている企業家が彼の省だけではなく、全国に数多く存在していると述べました。通常、政府はまず罪名をでっち上げ、その人物を逮捕し、社会に情報提供を呼びかけ、親戚も逮捕し、本人や家族が所有する会社の口座を凍結し、すべての不動産も凍結し、さらには個人の銀行口座までも凍結し、最終的には全財産を没収します。
2022年夏、地元の警察は突然、楊さんの会社の社長や大株主、子会社の社長などを含む数十人を逮捕し、数百の店舗を封鎖しました。当時、楊さんの会社の銀行口座にあった数千万元(数億円)の現金も凍結されました。翌日、地元政府がネット上で楊さんが逮捕されたことを発表し、市民に楊さんの犯罪行為を告発するよう呼びかけました。当局は楊さんの財産、妻子の名義を含む、合計5億元(約100億円)以上の財産を没収しました。
殷さんは憤りを込めて次のように語ります。「警察に有罪判決を下す権限なんてあるのか?有罪かどうかは裁判所で決まるべきではないのか?まず罪名をでっちあげ、その後、有罪の手がかりや情報を集める。公安が有罪だと疑った時点で有罪だと決めつける。庶民には抵抗する余地がまったくないのだ!」
楊さんはまた、会社の数十人がその夜逮捕された後、彼らは留置場に送られず、半年にわたり「監視居住」と呼ばれる臨時の拘留施設に収容されたと語りました。「まる1か月間、彼らの手と足は手錠・足錠で鉄の椅子につながれ、毎日寝ることも許されず、排泄物までその場で処理しなければならなかった。私の会社の共同出資者の一人は、財産を没収された後、拷問を受け、肋骨が折れてしまい、その後、3年以上の刑期が言い渡された」
楊さんは、彼がいる省で数億元(約数十億円)の資産を持つ企業家が迫害され、資産が没収され、家族が刑を宣告され、会社や個人名義の資産がすべて没収され、本人が海外に逃亡した例がたくさんあると述べました。政府の狙いは、富裕な企業家たちから利益を収奪することです。
民族主義者から反体制派への変遷
楊さんは、幸いにも香港の居住権を持っていました。彼は2019年初めに地元政府に陳情に行ったが無駄だった後、香港に行き、その後カナダに渡り、ついに自由の地に足を踏み入れました。
楊さんは2022年9月に中国民主党カナダ支部に加入し、さまざまな抗議活動に積極的に参加しています。
楊さんは、自分の両親から文化大革命の時に祖父が迫害されて亡くなった話を聞いて育ちましたが、それに対してあまり胸を痛めたことはなかったと語りました。
2013年、楊さんは香港で『共産党についての九つの論評』という本に出会いましたが、当時はその内容を笑い話だと考え、真剣に受け取りませんでした。
「私はカナダに来て初めて完全に目を覚まし、中国共産党に迫害されている多くの人々を目のあたりにして、問題の根源は中国共産党という一党独裁の制度にあることに初めて気づいた。中国共産党は中国を代表しないことを、今はっきりと分かった」
「カナダに来て、3年大飢饉(1959年から1961年までの人類史上最大級の人為的災害の1つ)に3000万人もの人々が餓死したことも初めて知った。それまでは知らなかった。中国で誰もこのような記事を載せる勇気はないはずだし、ありえない」
「例えば、法輪功の冤罪事件も、法輪功は海外でこんなに多くの人が修練していることが判明し、天安門焼身自殺事件も嘘であったことを知った」
「香港にいたとき、香港人の2019年-2020年香港民主化デモを見て、当初、香港人は愚かだと思った。中国政府がとても優れているのに、なぜ抗議しなければならないのかと思った。しかし、今なら分かる。なぜ『逃亡犯条例』改定案を抗議するのか、抗議しないと、中国共産党が逮捕したい人は誰でも逮捕して中国に送られるのだから、恐れない人はいないだろう」
「これまで長年騙されていた自分が、突然目が覚めたのだ」
楊さんは、中国共産党の滅亡は歴史の必然であり、中国は現在、社会的な大変革の前夜に立っていると考えています。楊さんは、自分の微力を尽くして中国の大変革を促進し、中国人がカナダ人のように自由な生活を送れるようになることを望んでいます。
(翻訳・藍彧)