中国は最近、医療界で反腐敗運動を展開しており、多くの医師も突然の圧力に怯えるようになっている。
中国共産党(以下、中共)中央紀律検査委員会と国家監査委員会は7月28日、「全国医薬分野腐敗問題集中取締り大会」を開催し、「執行力を強化し」、「医薬分野全体、全産業チェーン、全範囲での管理を徹底する」と強調した。現在、少なくとも159人の病院院長と病院党委員会書記が調査対象となっている。先週以来、医療システムの幹部が次々と処分される報告がほぼ毎日発表されている。
第一線で働く医師たちは、突然の圧力によって怯えるようになっている。中国メディア「時代週報」の報道によると、湖南省長沙市にある中南大学湘雅三病院(しょうがさんびょういん)の医師である李威(仮名)氏は、最近医師たちは手術を行いたがらないと明かした。また、広東省のある三甲病院(最高クラスの病院)の医師も、整形外科や眼科の手術が大幅に減少し、以前は行うか行わないかを選べる手術でも現在は一切行わないと暴露したという。
同医師はまた、現在、病院内部の管理が厳しくなり、手術を行った医師は罰を受けることが少なくない。さらに、整形外科や心臓内科で使用する消耗品と薬品の量が多く、現在は厳しくチェックされており、医師らは皆、ミスを犯すのを恐れて、怯えていると述べた。
ユーチューブで117万人の登録者を有する時事評論家の文昭氏は、中国の医師の給与はカナダの医師の10分の1しかなく、一部の県級病院の医師は月給がわずか3,000〜4,000元(6~8万円)しかない。これは工場で働く労働者とほぼ同じだ。そのため、中国の医師たちが自分たちのエリート的な地位に見合うように、さまざまな隠れた収入に依存してなければならないと述べた。
中共中央党校の元教授である蔡霞氏は、いわゆる「医療界の反腐敗運動」は、極端に悪質な権力と非道徳的な行為で医療業界のエリートを壊滅させ、中国の医療業界を壊滅させることだとし、中国が政府関係者から各業界に至るまで、普遍的な腐敗と道徳的な堕落が広まっており、もはや誰もが知っているほどであり、本気で腐敗を防ぎたいのなら、まず専制体制を改革しなければならないと述べた。
(翻訳・吉原木子)