中国「京津冀」(北京市・天津市・河北省)地域で洪水に見舞われている中、被災地に赴いて、被災者を慰問する中国共産党の指導者は一人もいない。多くの国民の不満が高まる一方で、公式メディアは当局を宣伝する虚偽の情報を大々的に報道し、さらに多くの人々の怒りを買った。

 河北省公式メディア「河北日報」は3日、若い消防士が疲れて地面に座り、車のポンプにもたれながら食事をし、途中から居眠りをしている様子が映っている写真を公式ウェイボーに投稿した。「一線で頑張る最も可愛い人々に敬意を表す」というキャプションも添えられている。

 しかし、この写真は、2020年7月17日の江蘇省無錫市の豪雨で太湖の水位が上がり、食事をしながら居眠りをしている若い消防士を撮影したものであることがすぐにネットユーザーによって発見された。この写真は最初に同年7月20日付の「人民日報」のウェイボーアカウントに掲載された。

 これに対して、一部のネットユーザーは、「2020年7月、太湖のほとりで一人の消防士がお弁当を手に、居眠りをしていた。目が覚めた時には、2023年8月3日の河北省の洪水現場だった」とからかった。

 大きな世論の圧力の下で、「河北日報」は、「審査が不十分であったために、誤った写真を投稿しました。悪い影響を与えてしまい、心からおわび申し上げます」と謝罪した。

 一部のネットユーザーは、「政府が救援活動を行うにはお金も人も必要であり、偽の記事を書くほうが、簡単で省コストだ。本当に国民を人間として扱っていない」とコメントした。

(翻訳・吉原木子)