吉林省洮南市瓦房鎮の村民である黄徳義(こう・とくぎ)さんが家族と自費で浮き橋を建設し、人々の交通を便利にするために尽力したが、当局から重い処罰を受け、家族全員18人が有罪判決を受けた。この事件が最近、ネット上で暴露され、国民の怒りを引き起こした。

 黄さんによると、2014年、彼は家族たちと、13万元(約257万円)以上を費やし、13隻の漁船を購入し、溶接して、浮き橋として建設したという。黄さんは、橋を建設した主な目的は、村人や通行人の交通を便利にするためだ。橋を建設した後、村人は1元から10元(約20~200円)までの範囲で、自主的に渡橋料金を支払っており、強制的な規定はなく、自分も橋の建設費用を回収したかっただけだ」と述べた。

 しかし、浮き橋が完成した2年目に、地元の水利部門は違法建設の理由で黄さんに罰金を科した。2015年と2016年、黄さんはそれぞれ水利部門に1万元(約19.7万円)の罰金を支払った。2017年に罰金を支払わなかったため、水利部門は黄氏の職場へ罰金の支払いを要求しに来た。仕方なく、黄さんはお金を借りて、2017年の罰金1万元を支払った。

 しかし、2018年10月、洮南市水利局は突然、違法に橋を建設したとして、黄さんを処罰し、浮き橋の撤去を強制した。黄さんは水利局に、罰金を払って、橋を無料で政府に寄付して、撤去を免れることはできないかと頼んだが、水利局に拒否された。結局、黄さんは仕方なく撤去した。

 報道によると、浮き橋を撤去したにもかかわらず、5歳の子供1人と学校に通っている子供1人を除いて、黄さんを含む家族18人が有罪判決を受けたという。

 浮き橋が撤去された後、村の人たちは川の向こう側に行って畑を耕したり、荷物を運んだりするのに70キロも迂回しなければならない。これまで十数分かかっていた道のりが、今では3時間以上かかるようになった。

 このニュースが広まると、人々の怒りが高まり、政府に対する批判が相次いでいる。ネットユーザーの中には、「政府に本当にがっかりしている」、「地方の悪吏は必ず天罰を受ける!」などとコメントした。

 中国政法大学の教授である羅翔(ラ・ショウ)氏は「司法は常識や論理から逸脱してはならない」とし、「中華人民共和国水法第65条によれば、民間人が勝手に橋を建設したとしても、最も重い法的結果は行政罰金であり、刑事責任はない。民間人が勝手に橋を建設した場合でも、事後に手続きを行うことができるため、橋を一律に撤去する必要はなく、特に人々の交通を便利にするための橋を撤去することは好ましくない」と述べた。

(翻訳・吉原木子)